ギルド登録 2
「バレてないと思っていたのか。案外ここのギルドマスターとやらは弱いのか?それとも腕力だけという事か?」
よく見ると筋肉ダルマだ。腕は筋肉で盛り上がり、シュウの腕の細くしなやかな筋肉の付いた腕と比べると約2.5倍程ありそうだ。身長もそれに比例して高く、2m半程か。某有名拳法漫画のラ◯ウのようだ。
「小僧、俺のハイドを見破ったぐれぇで威張るんじゃねぇ。それに頭だけでギルドマスターになれる程マスターへの道は甘くねぇんだ。あまり舐めた口を利くな。勇者だか何だか知らねぇが・・・・・・今ここで潰しても良いんだぞ?」
「ふっ、お前にそれほどの実力があるとは思えないな。マスターへの道は甘くない?お前でなれるのならギルドマスター達を統べる長になれる」
ダンッッ!!
「本当に潰・・・・・・消えただと!?バカな・・・・・・完全に不意打ちだったはずだ・・・・・・躱せるはずがない。それにあれは瞬間移動か?」
「残念。ただ姿勢を一瞬で低くして全力で移動しただけだ。・・・・・・そして」
スッ・・・・・・。
「やはり大した事なかったな」
俺が刀をギルドマスターの首に当てがると相手は大人しくなった。
「くっ・・・・・・分かった。俺が間違ってた。正直たかがガキと侮っていたが、お前は違ぇようだ。分かった!受付から上がってきた魔力0の件、俺の権限でランク付けとは無関係とし、お前をランクSとする!・・・・・・言っておくが、これは特例中の特例だからな?これ、下手すると俺の首飛ぶからな?そこんところ考慮して動いてくれ!」
「断る。俺は俺のやりたいようにやる」
ギルドマスターは地に両手をつき、うな垂れた。
「では俺は人を待たせてるから行くぞ」
さっさと部屋を出て最初の受付に戻る。するとあの受付嬢が追いかけて来た。
「ま、待ってください!いきなりギルドマスターを挑発するからビックリしましたよ!」
「いたのか」
単純にギルドマスターの気配に掻き消されて感じれなかっただけだったのだが受付嬢はひどい・・・・・・と泣き崩れた。
「で、あんたは俺に用があったんじゃないのか?」
「確かに私は・・・・・・ですけど・・・・・・の役には・・・・・・」
・・・・・・もう置いて行くか。
受付嬢を放って外に出ると丁度ユークリゥドが中に入ろうとしたところだった。
「あら、終わったのですか?今丁度中に入ろうとしたところでしたが・・・・・・。出てきたという事は終わったのですね?それでランクはどうなりましたか?」
「ランクSだそうだ」
それは凄い!と手を叩くユークリゥドの周りは静まり返った。人々の声を纏めるとこうだ。
「え?ランクS?マジ?」
「じゃあ少しギルドカードを見せていただけますか?」
もしかしたらあの時受付嬢が俺を呼び止めたのはギルドカードの事で話があったのだろうか。
「まだ終わってなかったようだ。中に戻る」
ユークリゥドは何があったのか察したらしく、苦笑している。流石学園長だ。
ギルド会館の中に入ると受付嬢はまだ地面に座り込んでいた。
「おい。さっきは・・・・・・まぁ、悪かった。パーティーの仲間となる奴を待たせるのは気が引けて、急いでたからあんな事を言ってしまった」
「は・・・・・・はい。ぐすっ。すみません、お見苦しいところをお見せしました」
なるべく丁寧にという別れ際のユークリゥドの助言が効いたようだ。
「さっき呼び止めたのはギルドカードの事か?」
「はい。発行したから渡して来い!と言われました」
あのギルドマスターは沈んでたはずだが誰に言われたんだ・・・・・・?
「ああ、貰おう」
渡されたのは日本でいう免許証のようだった。顔写真が左上にあり、シュウについて書いてある。後ろを見ると魔法陣が書いてあった。受付嬢によるとこれは偽装を防ぐ為に書かれたらしい。
「確かに受け取った。それと、しばらくここを拠点にしようと思っている。お前とは顔も合わせる機会が多いだろう。だから名前を教えてくれないか?いつまでもお前、あんたじゃ悪い」
すると受付嬢の顔がぱぁっと明るくなり、
「ユルト・エンスです!これからよろしくお願いしますね!シュウさん!」
と言った。
「ああ、よろしく頼む。ユルト」
周りにいた女冒険者の一言を抜粋しよう。
「ああいう無愛想なのにふとした瞬間にちょっとした心遣いを受けると結構グッと来るんだよね~」