死の間際
出来るだけ2日に一話くらいは更新していきたいと思いますがやむを得ない事情または手詰まりになった場合は更新が遅れることも考えられるのでそこの所はご理解していただけると幸いです。
「はあああっ!」
ズバァッ!!
一条修はいつものように人外の敵と戦っていた。
「・・・そろそろここら辺に妖はいないな。一旦家に戻るか・・・」
神斬流を教えてくれた師匠が死んでから3年。なんとか神斬流を越えようと幾多の剣豪が修に挑んだ。そのことごとくを返り討ちにし、あまつさえ自分から名高い剣豪に挑み破ってきた。最早日本人に敵はいない修は妖と戦い続けているのだった。
そんな一条修の紹介をここでしておこう。
両親は5歳の時に交通事故で他界。その後両親の知り合いであった神斬流の継承者、山峰藤五郎の元に引き取られ神斬流を叩き込まれた。まるで乾いたスポンジが水を吸うように神斬流の技を会得していったという。妖と戦う知識も普通の学校で習う勉強などは全て山峰藤五郎から教わった。
元々人付き合いの悪かった修は山峰藤五郎が死んでから特に人との関わりが無く、最後に家へ人が訪れたのは2ヶ月も前になる。
修の外見は黒髪で鋭い目つき、178センチのそこそこ長身のイケメンだ。
「・・・ただいま」
扉を開け誰に言うともなく言葉を発し、風呂へ入った後質素な食事を済ませて寝る。そんな生活が続いていた。
「そろそろ邪竜が復活する頃合いか・・・。心構えだけはしなくてはな・・・」
そう。今の季節は春。春は最も邪竜が復活しやすい季節だ。
その2日後、伝書鳩がやって来た。足に付いた手紙を取り、読む。内容はこうだった。
「邪竜 復活 山梨県 山中 至急討伐されたし」
(山梨県・・・?確かあそこには八岐大蛇が封印されていたな・・・。今回は流石に死ぬかもな)
圧倒的な戦闘能力を持つ八岐大蛇を相手に生き残った者は皆無である。
「ま、なるようになるか」
愛刀、八重桜を腰に差し家を出る。修の暮らしていた家は静岡県と山梨県の県境にあった為すぐに八岐大蛇の封印されていた山に着いた。
「ここか。せめて封印くらいはして死にたいものだ」
妙に自らの死に対して淡白なのは元からの性格である。
グォォォォォォオオオ!!!
突如として山の中腹が爆発し吹き飛んだ。
「わざわざ場所を教えてくれるとは親切だな!」
修は山の中へ走って突入した。
5時間後。
「ォォォォォ・・・・」
遂に八岐大蛇が倒れた。人類が初めて八岐大蛇を完全に倒した瞬間だった。しかし修もまた致命傷を負っていた。
「ぐ・・・ごほっ!・・・腕を一本、腹を大部分失ったか・・・。これは助からないな」
激痛に顔を歪めながらも修の頭の中は冷静だった。
(あの世で師匠に自慢できるな。俺は八岐大蛇に勝ったぞ・・・ってな)
とうとう修の意識が失われようとしたその瞬間、魔法陣が展開され、修の身体は忽然と消え去っていた。
記念すべき第一話!
これからの展開楽しみにしてくれる方がいる事を願います。