表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウィザーズ  作者: 緒詞名
1巻「4人の魔法使い」
PR
21/60

3章 「上級悪魔」9

「シャーナ、診せて」

「アンジェ、ソニアは大丈夫なのか……」

「一年の時より酷いけど、意識があるならまだ大丈夫だと思う」


アンジェはグループの中で一番治療魔法に長けていた。

ソニアに何かあった時はだいたいアンジェが診る。


「意識があるのはユーリが手当てしてくれてたおかげね。言っておくけど、あたしのも応急処置のようなもんだから、帰ってから病院連れて行かないとダメよ」

「ああ……」



アンジェはすぐにソニアの治療魔法に取り掛かった。


シャーナはアンジェにソニアを任せると立ち上がった。

そして、せっかくアンジェが張った結界を、人が通れるほどに剣で穴を開ける。


「ちょっと!何処に行くの!?」

「……」


アンジェがシャーナに声をかけるが、シャーナはそれを無視して結界の外に出る。


「まさか悪魔倒すんじゃないでしょうね!?」

「……」

「あんたバカ!?さっきニ対一でやっと攻撃出来た相手よ!?一人だと勝ち目ないの分かってるでしょ!?」

「……」

「死ぬ気!?怒るの分かるけど、ソニアは大丈夫だから冷静になりなさいよ!」

「……」

「聞いてるの!?いい加減にして!リーダーでしょ!?」

「……アンジェ、あたし今キレてるの」


シャーナがアンジェの方を見た。

その眼光は鋭く殺気を纏い、アンジェでもシャーナに恐怖を感じ鳥肌が立った。


「大丈夫、ちょっと一匹悪魔殺すだけだから……」


真剣に言ってるところが怖い。

目がいっていた。


アンジェは止めることが出来なかった。

ハートンとレナーナはもしかすると悪魔より怖い、シャーナの異様な威圧感に圧倒され立っていられなかった。


アンジェはソニアに治癒魔法を使いつつも、シャーナを止められないかユーリを見た。

しかし、ここでユーリがいつもと違うことに気づく。

ユーリはしゃがみ込み、自分の身体を抱きしめ震えていた。

アンジェはユーリの珍しい反応に、首を傾げる。


「ユーリ?どうした?」

「……違うの、悪魔が、怖かっただけ……何でもない……」

「……」


悪魔を専門的に調べていて人より悪魔に慣れているユーリが、このような様子なのは明らかおかしい。


「本当にどうしたの?」

「……大丈夫だから、……後で話すから」


この場では話せないらしい。

アンジェはユーリを心配しながらも、本人がそう言うので今はソニアの応急処置に意識を戻した。




※※※※※




「あ、先生!気がついた!」


グレアムが目を覚ますと、そこは川の中だった。

周りには殆どの生徒がいて、水結界で避難しているように見える。

まだ生徒たちがここにいるということは、応援はまだ来ていないと思えた。

意識を飛ばしていた時間も短いと考えられる。


「良かったー」

「どうしようかと思った……」


グレアムが意識を取り戻し、周りにいる生徒たちが泣き出しそうになっていた。


「ここは……あれからどうなりました!?」


すぐ近くにいた女子にグレアムは聞いた。


「先生が気絶した後、私たちで何とか悪魔と応戦してたんですけど、限界があって、もうダメだって思った時、シルキーさんがみんなを水結界で川まで運んでくれたんです……」


女子は目に涙を浮かべながら話した。


「シルキーさんは!?」

「……こっちに来ないからまだ悪魔のところかも」

「でも、あれから数十分は経過してるし……」

「俺のグループのハートンとライネスさん、レナーナもシルキーさんの様子見に行くって悪魔のところへ行ってしまいました……」


ハートンのリーダーもグレアムに説明した。

グレアムは状況を聞き、血の気が引いた。


(なんで生徒が危ない時に寝てるんだ……!)


グレアムが悪いわけではないが、気絶していた自分に腹が立った。


「みんなはここで助けがくるまで待機して下さい。応援は呼んであるから大丈夫です。私はシルキーさんたちを助けに行きます」

「先生!その身体じゃまだ無理だ!」


ハートンのリーダーや皆が止めようとする。

が、グレアムは聞かない。


「誰か水結界を作って私を陸まで上げて下さい。無理なら泳いで上がります」

「……」


生徒たちはグレアムを止めることは出来ない。

グレアム用に水結界を作った。

しかし、そこにもう一人入ってきた。

ハートンのグループのリーダーである。


「先生、俺も行く。先生の傷まだ癒えてないし、一人じゃ歩けないだろ。それにハートンが心配だ」

「……何かあったら先生を置き去りにしてでも逃げると約束出来ますか?」

「分かったから」


グレアムとハートンのリーダーは陸に上がった。

グレアムは生徒の肩を借りて歩く。

二人は悪魔がいるであろう場所に引き返していった。




※※※※※




ハートンとレナーナはソニアの時もその魔法の凄さに驚いていたが、シャーナの悪魔の戦いも人間離れしたもので、ある意味怖かった。

狂ったようにシャーナは悪魔をメッタ斬りにしていた。

シャーナの動きは俊敏で、悪魔と互角に渡り合っていた。

しかし相手を剣で攻撃する分、シャーナも悪魔の攻撃をもろに喰らい、相当深手を負っている。

全身傷だらけで、あちらこちら服が裂けて血を流し、顔面にも痣や血が流れていた。

しかし愛剣の焔を振るうことは止めない。


「フレア!フレア!フレア!」


剣に火を纏い、悪魔の攻撃を喰らいながらも、悪魔の身体に突き刺すように剣を刺す。

固い皮膚の悪魔も、流石に連続して火の魔法を喰らいながら剣で刺されるため、弱まっていく。


(あたしが危機一髪で出した火魔法はあんなに効いたんだ……守る隙を与えないで攻撃したら、倒せるはず……!)


シャーナは無我夢中で攻撃をした。

そしてシャーナが腹と胸の間に剣を刺した時、悪魔の急所をついたのか、悪魔が悲痛な叫び声をあげた。


グゴォオオオオオ!!


シャーナは重点的にそこを攻める。

数秒後には耳障りな大きな叫び声が消えた。

しかし、シャーナは剣を収めることをせず、まだグリグリと突き刺していた。


「悪魔なんか、悪魔なんか……」


ハートンとレナーナはシャーナに引いていた。恐ろしかった。

シャーナは狂ったように動かない悪魔を見据えて、ぶつぶつと呟いていた。

その様子をただ静かに見ていたアンジェ。


「シャーナ」


シャーナに静かに声をかける。

呼ばれてシャーナは手を止めた。


「そいつ、死んでるよ」


ただ淡々に事実をシャーナに告げた。

シャーナはそれを聞くと、今気付いたように、やっと剣を引き抜き、剣を杖に戻した。

シャーナは静かにポロポロと涙を流していた。


(守りたかっただけなのに……)




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ