表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

とある殺人鬼の告白

作者: 十日兎月

 どうして女子高生ばかり誘拐して殺したのか、ですか。ずいぶんとおかしな事を訊きますね貴方も。殺人鬼に何故人を殺めたのかだなんて。喩えるなら犬にどうして犬なのかと訊ねるくらいの愚問ですよ、それ。

 ま、いいでしょう。僕も来週には刑を執行されてこの世からいなくなってるわけですし、最後くらい僕の崇高な行いを文字として残すのも一興かもしれませんね。こうして目の前に週刊誌の記者さんがおられるわけですし。え、どうして急に話す気になったかですか? まあいいじゃないですかそんな事は。面会時間も少ないですし、早く話を進めましょう。

 そうですね。まず何故女子高生ばかり狙ったかという点ですが、女子高生の苦痛に歪んだ顔が何よりも好きだったから、と言ったところでしょうか。きっかけはとある動画サイトからだったんですが、興味本位で観ていたはずがいつの間にかのめり込んでいる自分がいましてね。いつしか女性に……とりわけ女子高生に乱暴を加える妄想ばかりするようになりまして、気が付いたらこの有り様だったというわけです。

 初めに殺した女子高生との関係ですか? いえ、お互い面識はありませんでした。たまたま真夜中に一人で歩いていた所を強引に誘拐してきたんです。ええ、決して計画的なものなんかでなく、完全にその場の衝動だけでした。でもまあ、心のどこかで常に女子高生を誘拐できるよう目を光らせていたのかもしれません。

 被害者の名前なら何となく覚えてますよ。初めて殺した子は直美さんとか言いましたか。とても良い死に顔でしたよ彼女は。髪の毛を毟った時の顔、歯を折った時の顔、骨を砕いた時の顔……今思い出しても愉悦に身が震えそうです。

 いえ、他の三人も無計画に誘拐してはいませんよ。最初の殺人でいかに死体の処理が面倒か痛感させられましたからね。それ以降はちゃんと事前準備して殺すようにしましたよ。持ち運びが楽になるようボストンバックを買ったり、死体を分断する為の鉈を買ったり。

 何も殺す必要は無かった? はは、何を言ってるんですか記者さん。人はね、死ぬ時が一番輝いた顔をしているんですよ。だから僕はこの手で何人もの女子高生を殺したんです。その素晴らしい瞬間をこの瞳に焼き付ける為にね。

 ああでも、最後の件に関しては僕が殺したとは言い難いですね。なんせ彼女、人気の無い真夜中の道中で轢き逃げにあったのをそのまま誘拐しただけでしたから。とても良い表情をして倒れていたので、あまり気にしませんでしたが。

 そうそう。轢き逃げで思い出したんですが、あの時現場近くで名刺入れを拾いましてね。それで中を見てみたら、これが貴方と同じ出版社の物だったんですよ。多分轢き逃げした犯人が落とした物なんでしょうけれど、今頃その犯人、一体どこで何をしているんでしょうね。

 おや、顔色が真っ青ですよ。気分でも悪いんですか?

 おっと、もう面会時間も終わりみたいですね。それでは、僕はこれで。

 あ、そうそう。どうして貴方にこれを話すつもりになったかという問いの答えですけど、それはね、記者さんから僕と同じ臭いがしたからなんですよ。

 僕と同じ、人殺しの臭いが、ね……。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 水夏さんはやっぱりすごいですね~ 犯人の深い笑みが容易に浮かび上がってきましたよ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ