82「空を求めて-2」
その襲撃は俺の油断だった。
可能性は考えても、まさかという思いがあったのは間違いない。
まさに完全なる奇襲。
馬車で道を行く俺たちの横合い、
偶然にか道のそばにあるちょっとした死角。
ごつごつとしたいくつもの岩が作りだしたその隙間から、
2つの巨大な影が襲い掛かってきた。
「うぉ!?」
「「きゃっ!?」」
俺たちではなく、中身のわからない馬車の荷物でもなく、
馬を襲った影。
『~~~~!!』
影の声なのか、別の何かなのか、わからない声のような叫びが
周囲に響き、俺たちの意識を半ば強制的に引き締める。
力強く動いた1対の翼が地面の砂も巻き上げた。
砂煙の中から現れた影の正体。
鋭い爪、黄色く巨大なクチバシ。
恐らくは気配を隠すのに使っていたであろう、風の魔法を今も纏う巨体。
そう、グリフォンだ。
しかも二頭。
「まさか地上で襲われるなんて」
「……空から来るという思い込み……か」
地面に投げ出された俺はなんとか受身を取り、
同じように転がったキャニー、ミリーと共に武器を構え、相手と相対する。
正面に一頭、その背後にもう一頭。
と、その後ろの一頭が馬を咥えたかと思うと空に舞い上がる。
「くぅっ!?」
止めれるとは思ってはいなかったが、思わず1歩踏み出したところに
手前の一頭が暴風のように突撃してきた。
とっさに武器、スカーレットホーンを正面に横にし、
その攻撃を受け止めようとし、俺は内心の驚きと共にその勢いに耐える。
まるで金属同士がぶつかったような音を立て剣とクチバシが接し、
相手の纏った風の魔法の威力も合わさってか、
俺は防御の姿勢のまま後ろへと押し込まれた。
「! やらせないっ!」
結果的には無防備に姉妹へとその横をさらしたかに見えたグリフォンであったが、
それを予期していたかのように巨体を感じさせない俊敏さで大きく後方に距離をとった。
音を立て、ふわりと舞い降り、こちらをにらむグリフォン。
そこに獣のとしての荒さは無く、瞳にも意思の力を感じる。
グリフォンとヒポグリフの特徴、体を覆う風の魔法が地面付近で
わずかに砂をまわせている。
「体躯を活かした攻撃だけかと思えば、魔法込みとは、厄介だな」
「あれ、魔法なのね。何の冗談かと思ったわ」
「動きが読めない……」
グリフォンやヒポグリフは空を飛ぶ。
それは巨大な翼が物理的に生み出す力だけではなく、
風の魔法を使うという。
さらには時に、かまいたちとして飛び道具のようにソレを使う個体もいる。
それゆえに、ほとんどは空中からの攻撃が一番厄介で、強力なのだ。
現にもう飛び上がった一頭は小さくなっている。
(獲物を持ち帰るというわけか……)
じりじりと間合いを計る3人に対し、翼を威嚇するように広げ、
時折小さいながらも鋭い声を漏らすグリフォン。
その姿は力に満ち溢れ、こうして対峙しているとその魔力も感じる。
だが、強敵を相手に俺はどこか違和感をぬぐえないでいた。
街で森とグリフォンの話を聞いていたときから抱えていたもの。
(……んん?)
だがそれがはっきりと形を持つ前に、相手は動き始めた。
最初と同じ、風の魔法を利用した高速の突撃、
一流の戦士をしのごうかというその一撃が俺に迫り……俺は同じく防いだ。
受け流すということは困難で、やはり防御するしかなかったが、直撃ではない。
「このっ!」
「……っ!」
グリフォンに迫る2人だったが、相手はがむしゃらとも思える動きで
クチバシと、刃物のような輝きを持つ翼で2人の手にしたダガーをはじく。
とっさに反撃を試みる2人であったが、グリフォンは一瞬早く、
その巨体を再び舞い上がらせて間合いを取った。
三度、相対する。
その後もグリフォンか俺が突撃し、その後の2人の攻撃をグリフォンが防ぐ、
というようなことが繰り返された。
何度目かの相対の最中、にらみ合ったままのその体が少し揺れたとき、
俺の中の違和感がはっきりと形になった。
(こいつ……時間稼ぎが目的か!?)
確かに強い。
その一撃は力強く、はじいて踏み込む、といったことがなかなか出来ない。
だが、まっすぐすぎる。
MDで戦ったグリフォンはもっと恐怖の対象で、一撃を防いだと思えば
実はそれが罠で頭上から空気の塊が襲いかかってくる、といったこともあった。
だが目の前のグリフォンの攻撃は俺が十分防ぐことが出来る攻撃で、
キャニーたちへの反撃も良く考えれば必死すぎる。
すばやい連続攻撃で、といえば聞こえはいいが、
言い方を変えれば手数でとりあえず防いだ、ともいえる姿だった。
とても、本来のグリフォンの戦い方には思えなかったのだ。
思えば、初手からしておかしかったのだ。
確かに奇襲にはなったが、自らの一番の有利な部分、
反撃の効かない、空中からの一撃を使わず、
わざわざ地上での攻撃が始まりだった。
事前に聞いていた話や、本来のグリフォンを考えれば、
空中からの一撃離脱がベストなはずなのだ。
そして街の人の話からわかった、グリフォンが街に来ることがあるという話。
通常のフィールドで遭遇するグリフォンやヒポグリフと違い、
森に住む彼らは、不用意に人は襲わない。
家畜が襲われたといっても、それは彼らの領域に人が入ってきたからといえるのだ。
そんな彼らが街や街道、つまるところは人のいる場所にまで出てきて
獲物を狩るというのは異常なのだ。
「間違いない。こいつ、俺たちを倒しきる自信が無い……。
いや、そもそも目的が違うんじゃないか?」
その呟きが完全に理解できたわけではないだろうが、
ニュアンスは伝わったのかもしれない。
慌ててといった様子で突撃してきたグリフォン。
だが、今度は風の力が弱い。
魔法に失敗したのだ。
「このっ……でえい!」
魔法による増幅がなければ、大きな獣としての突撃、それだけだ。
十分な威力を持ってはいたが、そらす隙はあった。
一度姿勢を崩されれば、巨体ゆえの重量にそのバランスは大きく崩れる。
「今っ!」
「!」
見るからにやわらかさを感じさせる腹が視界に入ったとき、
姉妹はその隙を逃さないようにほぼ同時に同じ場所にダガーを突き出し、
俺はなんとか横合いからスカーレットホーンを割って入れる。
甲高い音を立て、絶好ともいえる2人の攻撃を防ぐ俺。
何を、と疑問を表情に浮かべ俺を見る2人。
表情は読めないが、無理な姿勢のまま反撃をしてこなかったグリフォン。
「2人とも、待った。お前も、これがわかるか?」
俺は右手にスカーレットホーンを持ったまま、
左手で1枚の札を取り出す。
テイミングカード『グリフォン-B』
グリフォンとのマイン王の契約の証。
その豪華とはいえない装飾の札を目にしたグリフォンは威嚇の姿勢を止め、
ゆっくりとだが、まっすぐな姿勢をとる。
警戒はしているようだが、先ほどのように襲いかかってくる様子は無い。
(やっぱりか。グリフォンは、わかっている)
確かにグリフォンはモンスターの一種。
だがテイミング対象であるということは、ただのモンスターではない。
そして、テイミングは無理強いが出来ない。
つまり、人語をある程度、何かしらの手段で理解できる相手に限られるのだ。
それは犬や猫のような相手であれば、言葉を介さない物でもいいのだが、
モンスターのような相手の場合、そうはいかない。
説得というわけではないが、相手が納得しなければならないのだ。
グリフォンはそれが出来る相手、
言い方をかえれば戦いとなれば頭のいい厄介な相手なのだ。
「俺達はお前達を倒しにきたんじゃない。話をしにいこうとしてるんだ」
「え? この子とするの?」
流れが変わったのを感じたのか、幾分か明るい様子で聞いてくるキャニー。
至近距離で見るグリフォンに改めて感動しているようにも見える。
「とりあえず肉を出してくれないか?」
俺がそういうと、ミリーがおもむろに馬車の荷物として
つんでいた中から豚の肉を取り出す。
いぶされ、ブロック状になった塊だ。
興味があるのか、驚きながらも俺から視線をはずさないグリフォン。
「契約に来たんだ。わかるか?」
見詰め合ったまま、通じるかはわからないが俺はそう言った。
沈黙の後、じっと何かを見られた気がした。
明確な言葉を持たない、野生ゆえの視線。
何分かたっただろうか?
唐突に、グリフォンは翼を下げると体も座るように下げた。
傾いており、その背中を向けている。
「まるで乗れって言ってるみたい」
「……当たりだな、よし、肉は俺が仕舞う。2人は先に乗ってくれ」
背中を触っても拒否する様子も無く、
そんなグリフォンを見た俺は馬車の荷台に近寄ると、
アイテムボックスへと肉を次々に放り込んでいく。
全部の肉を仕舞って振り返ると、少女2人は既にグリフォンに乗っていた。
「ほら、ファクトくんも早く!」
「うわー……さっきは硬かったのに、今は柔らかいとか、不思議」
どうやらグリフォンの背中は見た目と先ほどの攻防に反して、
なかなかの感触のようだった。
それはすぐに証明され、3人を乗せたグリフォンは
重さを感じさせないように魔法の気配をさせたかと思うと空へと舞い上がった。
「これが……空」
「見てよ。さっきの街があんなに小さい」
「ああ、すごいな」
グリフォンは若いが、3人が乗っても問題はないのか、
ぐいぐいと高度を上げ、空を舞った。
本当ならば風がすごいことになっていそうだが、
魔法のせいなのかグリフォンにつかまっていればそうでもない様子だ。
空からの光景に俺たちが驚く間にもグリフォンは一気に進み、
正面に山の数々と、その下に広がる森が見えてくる。
あれが恐らくは、ヒポグリフの森。
と、奥のほうに何か普通ではない気配の雲のようなものが見えた気がした。
「……あれは?」
俺のつぶやきに誰かが答える前に、無言でグリフォンが姿勢を変え、
急降下を始めた。
「わわっ!?」
「あっ、何かいるよ!」
ミリーの声に前を向けば、巨木が数本と、森が開けた形のちょっとした広場。
巨木の下に、影が見える。
勢いを感じさせず、グリフォンが静かに舞い降りるとその姿がはっきりとわかる。
一頭は先に逃げた若いグリフォン、もう一頭は明らかに成体だ。
その体躯は乗ってきたグリフォンと比べればまさに大人と子供。
だが今は巨木の元に横たわって顔だけこっちに向けて警戒しているように見える。
(この二頭の親……か?)
無言でグリフォンの背中から降りた俺達は、その場を動かずにいた。
どうしたものかと思ったとき、予想外の出来事が起こる。
『人の子が何用だ』
「……しゃべった」
「というより、頭の中に聞こえるような」
唐突に響いた声に驚くミリーとキャニー。
俺も驚いてはいたが、ある種懐かしさすら覚えていたのだった。
実際の声とも、頭に響くとも区別がつきにくい独特の会話。
「驚いたな、魔法だ。しかも属性のない、古代の」
俺はグリフォンを変に刺激しないよう、
何かの都合でたまたま知っていた、という体を演じ、口に出す。
親のグリフォンが、反応した気がした。
ゲームではよくある話。
念話とも呼ばれそうな敵との会話。
その役割などから、MDのプレイヤーの間では翻訳魔法とか呼ばれていた。
設定上は一定以上の魔力と知能があると行える意思疎通の魔法なのだ。
それは人と、魔物と同一視されていた一部の存在、
目の前のグリフォンや、その親戚ともいえるヒポグリフ、
その他の意思疎通が出来、テイミング対象であったりした種族達とが
共通の敵に対するために編み出されたともどこかで読んだ事がある。
勿論、MDにおけるその話は都合をつけるためのただの設定に過ぎないのだろう。
だが、この場においてはこの設定は俺の助けになる。
「契約に来た。これが前に契約をした主からの委任状代わりだ。
だが……平和というわけじゃなさそうだな?」
剣は意思表示のためにその場に置き、
札を見せながらゆっくりと親に歩み寄る俺。
親は一度、上半身を持ち上げるように動いたが、またその巨体を沈める。
『人には関係が無い。……といいたいところだがな。そうもいかぬか。
それに、アレはほうっておけば人にも襲い掛かるだろう』
「アレって? 何か、貴方達を襲ってるやつらがいるの?」
3人が乗っていたグリフォンをなぜか撫でていたキャニーが、
親のグリフォンの言葉に緊張した面持ちで疑問を口に出した。
『ああ……やつ等は……むうっ』
親はうめいたかと思うと、咳き込むようにして黒々とした液体を吐き出す。
明らかに、体調不良なようだ。
しかも怪我をしたというよりは……。
親を心配するように、傍らにいた一頭が体を摺り寄せ、鳴く。
3人が乗ってきたグリフォンも親に近寄り、首元にそのクチバシをこすりつける。
「……ファクトくん」
「うーむ、人間用だからな、どこまで効くやら」
かけられたミリーの声に、悩みながらも俺はアイテムボックスから
ストックしたままの毒治療用のポーションを3本ほど取り出し、
親のグリフォンの前に持って立つ。
……何か前にも同じようなことがあったな。
「さっきも言ったが、人間用だから効くかは保障できない。
一応毒用なんだが……飲むか?」
じっとそんな俺を見ていた親グリフォンだったが、
覚悟を決めたようにその大きなクチバシを開いた。
俺は無言で3本とも栓を抜き、中身をその中に注ぐ。
人間で言えばコップ一杯にも満たないような量のはずだが、
ポーションを飲み干した親グリフォンは、ため息にも近い深い息を吐いた。
『……まだ残っているが、これならばこのままでも大事は至るまい。
まずは礼を言おうか、人間よ』
親グリフォンの声には幾分か張りが戻っており、試みは成功したようだった。
そこから聞いた話によれば、若い二頭は倒れた親のために
獲物を求めて森を飛び出し、何度か獲物を持ち帰っていたようだった。
感じたとおり、残っていたほうが逃げたほうの時間稼ぎだったわけだ。
だが、俺はそこに新たな疑問を覚えていた。
たとえ理由があろうと、この森はグリフォンやヒポグリフのものだ。
昔からそこで暮らし、生きてきたはずだ。
森にだって、動物はいるはずではないか、と。
街にまでグリフォンが行くことがあることと関係があるのだろうか?
『うむ。理由は憎き奴ら……名も知らぬ狼たちよ。ただし、
その体は妙ではあるがな……』
親グリフォンが語る相手、それはいつしか
ヒポグリフの森の端にやってきた相手のことだった。
どこからか現れた、紫の体を持つ狼たち。
最初は気にならなかったが、彼らは森の動物を狩った。
しかも、見合わない量を。
明らかに過剰と思える量を狩りつくし、
おもむろに場所を移動する。
適度な量を狩ることですごしてきたヒポグリフやグリフォンにとっては、
普段の生活を邪魔する相手でしかなく、ある日狼たちを
数頭のヒポグリフが排除しようとし、失敗した。
相手も生きるために必死なのを見誤ったのだと判断した親たちであったが、
それは間違いであった。
何度かのやり取りの途中、狼たちの行動はグリフォンたちをも脅かした。
狼達は狡猾で、森に隠れ、グリフォンより弱いとされるヒポグリフをまず狙った。
かと思えば、グリフォンとの戦いの際にはまだ若い方を狙い、
親がそれをかばったところを……となかなかにえぐい流れでやられたようだ。
だが、ついにグリフォン達は数をそろえ、一気に狼に襲い掛かった。
結果、見事に全滅させた……のだが、
半年ほどしたところでなぜか復活してきたのだそうだ。
『その姿は不気味だった。魔法にも動じず、爪で貫かれ、
クチバシで引きちぎられようとも、仲間を救おうとせず、向かってきた』
親グリフォンはそんな戦いの中、とある狼にかまれたのだという。
『ただの一噛みと思えばこれだ。厄介な相手よ。
今頃は同胞の中でも選りすぐった者達で狼に攻撃をしかけているだろうよ』
たとえ復活するにしても、放置しておくよりは
倒したほうがいいと判断しているようだった。
「ほっとけないよ!」
響いた声の主はミリー。
振り返ればいつの間にか近寄ったグリフォン、
先に逃げたほうの翼に手をやり、それを撫でていた。
グリフォンも抵抗する様子は無い。
「そうね。それに、そんな状態では契約してくれるような
グリフォンも少ないのではないかしら?」
横合いからかかるキャニーの声に、俺は頷く。
『……人はもっと慎重なものだと思っていたがな』
やる気に満ちた俺たちに、半ば呆れもまじったような声が届く。
「何、そんなやつらもたまにはいるさ。……ん?」
親グリフォンに顔を向けたところで、背中を何かがつつく。
見れば、3人が乗ってきたグリフォンが俺の背中をそのクチバシでつつき、
俺が振り返ったのを見るとここに来たときのようにその背中を向けた。
「連れて行ってくれるのか?」
『妹が自由に飛べる空が欲しいのだろうよ。兄だからな』
背中にかかった声に、俺は親グリフォンと、
背中をつついてきたグリフォン、どうやら雄らしい相手を見る。
(……ははっ、面白いじゃないか)
俺はそう心でつぶやきながら、乗らずにしゃがみこむ。
そしてグリフォンの爪に左手でさわり、右手は虚空を操作する。
「もっと作っておけばよかったかな……まあ、無いよりはいいだろう」
それだけを言い、アイテムボックスからいくつかのアイテムを取り出す。
グリフォンの驚きの気配が伝わるが、
俺は敢えてそれを無視して取り出したアイテム、
金属の光を放つグリフォン用の付け爪を手際よく装着させる。
グリフォンも困惑しながらも、それが自分を害するものではないとわかると
おとなしく俺の手の動きに従い、装着しやすいように足を動かす。
装備し終わった後は感触を確かめるように動かしていた。
『……お前は……』
「本当は乗るための物だけど、これなんか装備しとくか?」
続けて取り出したのは鞍。
こちらは親グリフォンへとなんとか装備させる。
効力として付与されているのは単純な能力強化。
装備した相手の嗅覚や各種感覚の強化なのである。
「妹にはこれな」
人の手ではなかなか難しかったが、
妹側のグリフォンには首輪のようなものを付ける。
これは防御数値の向上効果がある。
『何者だ?』
親グリフォンからの声に、俺はにやりと笑みを浮かべ、
返答代わりに仕舞っておいた肉を適当に広場に出す。
突然現れた肉塊の数々に驚く親グリフォンの視線を感じながら、
既に乗っていた2人に続けてグリフォンに飛び乗ってから口を開いた。
「ただの冒険者してる鍛冶職人さ。まあ、ちょっと伝説の武具を
作ろうって思ってる、そんな変なやつさ」
『……そうか。戻ってくるのだぞ。話がしたい』
なぜか親グリフォンは納得したのか、そういって起こしたままだった体を沈める。
そんな中、我慢が出来なかったのか、
肉塊の1つをつつきはじめた妹なグリフォンを見て、
俺は笑いながらグリフォンの背中を軽く叩いた。
「よし、行こう!」
「またねー!」
「早く終わらせて、もふもふしたいな!」
戦いに挑むには少々気の抜けた声と共に、
俺たちを乗せたグリフォンは空へと再び舞い上がる。
向かう先は、降りる前に見えていた謎の雲の方向であった。




