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208「人ならざる者、人足り得る者-8」

ロマンスもどきでも、イメージしてた自分は砂糖吐きそうでした。


わずかな明かりの中、影たちが躍る。


ジュエルスコーピオンの巣穴は意外にも砂は少なく、

そのほとんどは岩肌であった。


慣れない足回りのスパイクは取り外しており、

ファクトらはいつもの靴となっている。


幸いにもこの場所は足を滑らせるような状態ではなく、

適度な湿気がむしろしっかりと踏みしめることができる状況を産んでいた。


逃げ出すでもなく、ばれてしまっては仕方がないとばかりに

正面からファクトとミリーに挑む襲撃者。


その表情には今は感情はなく、

やるべきことをなすだけといった様相であった。


事前に襲撃者が調べた限りでは2人を相手にしても

なんとか途中で女王に一撃与えられるはず、そんな予想だったのだが

長く続くかと思われた命をかけた踊りはあっさりと終わる。


「どうし……」


て、までは言葉にならず襲撃者は力尽きて倒れる。


残るのは男が1人、女が1人、そして巨大な生き物たち。


緊張の面持ちのまま、洞窟の床に倒れ伏す襲撃者を見るファクト。


彼の布に覆われていない腕にはまるで元気があふれ出しそうなほど、

血管が太く浮き出ていたがそれも瞬きの度に収まり、いつも通りとなる。


「結局、何も聞けなかったね」


「まあ、しょうがない。迎撃できただけでも上等さ」


元より、ぺらぺらと素性や目的を語るなど、プロの襲撃者ではないといえる。


ファクトやミリーにもそれはわかっているのだが、

それでもミリーは言わずにはいられない。


急にファクトが女王を襲うやつがきっといる、などと言い出して

キャニーに先行するように言うのだからなおさらである。


これまでのそんな動きに慣れているキャニーとミリーはともかく、

付き合いの浅い兵士や元冒険者にとっては突然の話である。


問いただそうとする兵士らをなだめ、念のためだからと

理由を添えて半ば無理矢理に送り出した結果がこれである。


ミリーは無言で襲撃者の手から武器を離す。


なにはともあれ、危険な物は除外しておかなくては、と

隠してるものがないかごそごそとしだすミリー。


襲撃者は何も語らなかったが、実際問題として

喋るような襲撃者がいるとしたら、よほどの間抜けか、

その情報自体が嘘であるかぐらいであろう。


だが時に死者は生者より雄弁だという。


それはどんな追及にも反論できず、抵抗できないゆえか。


それとも、死ぬことを前提せず、対策をしていないからか。


今回の場合は後者であったようだ。


襲撃者は男だった。


命令書のような書面はなかったが、何よりも雄弁に素性を語る物があった。


それは服の下に身に着けていた装備群。


そこにはミリーにとっては見知らぬ、不思議な模様が刻まれていた。


ミリーに限らず、キャニーや兵士らに見せても同じ感想だろう。


不思議な模様だ、と。


だが、ファクトにとっては見慣れたものだった。


(漢字だ。習った覚えのない文法や使い方だけど間違いない)


ファクトがしゃがみ、食い入るように模様──漢字を見る様子を

ミリーは数歩下がって周囲を念のために警戒しながら見守った。


『終わったか』


「ああ。騒がせたな」


その女王の言葉で、ひとまず戦いは終わったことを

ファクトは答えながら実感した。


襲撃者は1人。


相当な手練れだったとファクトらは感じているが、

その意味では今回は襲撃者は運がなかった。


人間がいきなり強くなるなどとは考えもしないであろうからだ。


確かに襲撃者は強かった。


だが一時的に限界を超えた2人にとっては苦境に陥るほどではなかったのだ。


ヘラクレススピリット。


簡単に言えばドーピング薬である。


様々なゲームによくある、一時的な魔法やスキル以外の能力向上のアイテム。


今回は太古の英雄、その力が今蘇る!などとあいまいな説明があるだけの小瓶に入った液体。


経口摂取タイプのそれを、2人は戦闘直前に服用していたのだ。


効果時間の割に材料入手が非常にめんどくさく、

主に大ボスの際に、コストは重いが超威力、といった

大技を使う際に使う。


それでも割に合わないことが多いため、一部のランカーを除けば

保険のように持つぐらいというのが実情であった。


需要がそんなため、ファクトの手持ち在庫も多くない。


両手で足りる、というほどではないが

使い惜しみを考えるぐらい、といったところだ。


だが今回はそれが大当たりとなったわけだ。


襲撃者がルミナスの手の物であること、

そして多方面の作戦を考えることのできるだけの

指揮系統はあるとわかっただけでも上等、

ファクトはそう感じていた。


それが正解であるかはともかくとして、

現状からわかることはまだあった。


フェルドナンドらの攻撃は一筋縄ではいかなそうだ、ということだった。


そのためにはわずかでも自分たちが合流した方がいいだろうと

ファクトとミリーは襲撃者の死体を巣の隅の方で火葬にすることにした。


そのまま放っておくのもどうかな、と思ったからである。


女王はその間、問いかけにも小さく答えるだけで

特に意見や反対といった事はないように静かに佇んでいた。


ファクトにとっては少し意外なことであったが、

特別口にすることでもないので黙々と準備を進める。


『行くのか』


そうして諸々の作業を終えた後のファクトにそんな女王の声がかかる。


それは確認であり、別れでもあるようにファクトには感じられた。


「ああ。次は土産でも持ってくるよ。何がいいかな……

 そのはさみの根元につけられるぐらいの腕輪でいいか?」


ミリーとも頷きあい、次の約束をファクトが口にしたところで、

ざわめくように女王が震えた。


『人はなぜそうも気軽に言うのだ。次はいつ会えるかわからない。

 そもそもの生きる時間が違うというのに』


その様子にファクトが口を開くより早く、

それまで抑え気味だった女王からの声、脳裏に響く声が

鋭さと大きさを増して響く。


「……さあな。次を信じてるから、かもな。人間だろうが怪物だろうが、

 生きてさえいればきっと会えるからさ」


見た目の巨大さとは不釣り合いな、寂しさすら感じる言葉に

ファクトもしばし考え、そう答えを口にした。


そのまま踵を返そうとしたファクトだが、

女王がなおも何かを言おうとするのを感じて動きを止める。


『最後に1つ。お前は新規組か? コンバートプレイヤーなのか?』


そして響いた言葉はファクトを硬直させるには十分な力を持っていた。


「どうして、その言葉を……」


エルフの長老のように、女王は多くを知っているのだろうか?


そうファクトが疑問を抱きながら答えるが、

その前に女王は、何かをどこからか取り出した。


言葉に反応した、それが答えになったようだった。


それは腕輪。


女王には小さな、人間用の物だった。


装飾がくすんではいるが、女性用だと飾りの感じからファクトにもわかった。


「これは?」


『これを持っていって欲しい。私の代わりに世界を見せてあげてくれ』


ファクトの疑問には答えず、

女王はそう言ってはさみの先に腕輪を器用にぶら下げて差し出した。


「……わかった。さっきの報酬代わりに受け取っておくよ」


女王の様子に深くは聞かず、ファクトは頷いて腕輪を仕舞い込んだ。


そして無言のまま、ミリーとともに地上への道を歩き出す。


『……ありがとう』


出ていく際の背中にかかった声は、年若い少女の声のように聞こえた。





残っていた魔法の灯りが消え、暗闇が洞窟を支配し始める。


所々、そういう種類の苔でもはえているのか

ぼんやりとした灯りがわずかに暗闇を照らす。


ジュエルスコーピオンにはその程度の灯りでも十分で、

むしろ先ほどまでは明るすぎるぐらいであった。


残された女王はほとんど身動きしなかった。


物思いにふけっていたからである。


怪物と称されるような体で知能ある思考にふけるというだけで

驚かれそうな状況であるが、彼女にとっては日常である。


そう、今のようになってからは何もせずに考え込むのは日常であった。


思い出すのはこの大きさになる前の昔々のこと。


まだ牛よりやや小さいぐらいの、小さな時。


だがジュエルスコーピオンは強い力を持った種族だ。


恵まれた体と素質。


そしてそれを鍛えることを忘れなかった彼女は

近隣のワームであれば遅れはとらないような状況であった。


だが彼女は複数いる女王候補の1人で、

無数のジュエルスコーピオンの1人でしかなかった。


ゆえに時には地上に出ていくことも自由で

その時もまた、1人夜の砂漠を歩いていた。


一言でいえば油断。


夜にワームに襲われたことはなく、

その上これまでのワームは全て無傷で切り抜けていた女王。


それが慢心を産んだというのは無理のないことであろうか。


その夜、女王はワームに奇襲された。


しかもこれまでに出会った中ではひときわ大きな、明らかに強いであろう個体。


正面から当たれば倒せたであろう女王だが、

その時は不意打ちされた状況から手傷を負い、

不利な状況となっていた。


だがそんな中でも女王は冷静だった。


ああ、このまま自分は死んで他の女王候補が女王となるのだな、と。


そんなあきらめと言える冷静さのままで

迫るワームを迎え撃つべく迎撃の姿勢をとった女王の視線の先で

ワームは横からの何かの衝撃でふきとぶ。


「大丈夫か!」


飛び込んできたのは2本足、人間の少年であった。


噂には聞いていた彼女にとっては不思議な布の服を着込んだ

2本足の人。


ワームを打ち砕くためか、鈍器としてのハンマーを手にし、

女王に叫んだあと、まだ動くワームへとハンマーを振り下ろした。


突然のことに硬直したまま、その状況を見つめる女王。


すぐにワームが動かなくなり、夜の砂漠には

少年と、女王だけが動いていた。


「怪我してるじゃないか」


「……私が怖くないの?」


ワームに襲われ、ちぎられた脚の1本から

体液がゆっくりとだがこぼれ、

そこを少年がどこからか取り出した布で縛っている。


応急処置、ということのようだった。


そんな少年に、女王は顔をしかめながら問いかける。


「え? 何が?」


「何がって、私、貴方から見たら怪物でしょう? 足が8本あるのよ?

 2本足の人じゃないの」


何を言っているのかわからない、という様子の少年に

イライラしながら女王は怒ったように言う。


少年と同じ、人間としての口から。


ジュエルスコーピオンの女王は原則、一世代に一人である。


その女王になれるのは候補個体のうち、たった一人。


そして彼女の種族の特徴であったが、

女王候補が成長しきるまでは上半身は人間のようになっているのだ。


スコーピオンの顔とはさみがあるあたりに

急に細くなる壺のように人間の上半身がある。


胸元はなぜかスコーピオンとしての殻というべき物が覆い、

まるで肩を出したイブニングドレスを着たような状況になっている。


それでも人間ではないことは一目でわかるはずであった。


「? 生きてるんだから一緒じゃないか。そりゃあ僕を今から食べるんだ、

 とかいうなら抵抗するけどそうじゃないんでしょ? だったらいいじゃない」


彼女の苦情めいた言葉にも少年は動じず、

そんなことを言い放って笑顔となった。


「……変なの。私の知る2本足の人の子は違ったわ」


それが、少年との出会いだった。




それからの日々は特別歴史に残るような物ではなかった。


時折出会い、時折語り合い、そして……。


「もう、来ないほうがいいわ」


「どうしてそんなことを言うんだい?」


夜の砂漠。


寄り添って星空を眺めながらの時にそう女王は呟いた。


少年、いや年月が過ぎて既に青年となった男は

女王の言葉に寂しそうに答えた。


気が付けば女王はその体をかなり成長させていた。


特に足や尻尾の成長は著しく、

既に2人が出会ったころの数倍はあるだろう。


だが女王の上半身、人間のようなそこだけは

あまり変わらない状態であった。


「もう、しゃべられなくなるわ。それに、貴方とは違う姿になってしまう」


涙がこぼれるのを我慢するように上を向き、

女王はそうつぶやいた。


そう、女王も成長するのだ。


そして最後の成長の際には、今の人間のような上半身はなくなり、

一般的にスコーピオン種としての姿となってしまうのだ。


人間の面影は一切なくなってしまう。


そんな姿になってしまえば、今のようにはいかないと女王は考えたのだ。


「もう、語らうことも出来ないの。貴方と私じゃ、住む世界が違うのよ」


今は無理をして成長を抑えているのだがそれも限界。


口にはしないが、女王にその疲れが出てきているのは明白であった。


女王は怖かった。


喋られなくなるのが、ではない。


人間の上半身でなくなったあと、

少年が自分を嫌うだろう未来が、だ。


異種族は相いれない。


それが彼女の過ごしてきた世界の常識であった。


「それがどうしたんだい。僕らは出会った時から

 見た目は違ったじゃないか」


だが、男は少年だった時と同じ笑顔で、

女王の顔を見ないままその手を握り、呟いた。


「そんな……違う」


「違わないさ。ほら」


涙目のまま、首を振る女王の耳に金属音が届き、

右手にひんやりとした何かがはまる。


「え?」


「贈り物さ。どのぐらい君が大きくなるかわからないけど、

 それなら牛の腹にだって巻けるようになってるらしいよ」


女王にはわからなかったが、それは男が普段過ごしている町で

最近流行っている細工の腕輪だった。


幾重にも鎖が絡まったような形で、

必要に応じて大きさを変えられる仕組みだった。


それこそ、腕輪、首輪、腰への装飾、と使い方を変えられるようなものだ。


そして、らしい、と男は言ったが

実はこれを考案し、最初に作り出したのは男本人だった。


「……ありがとう。でも、離れたほうがいいのは確かなのよ。

 わかって頂戴……」


「……うん、わかったよ」


絞り出すような女王の声に、男は寂しそうな顔でうなずき、

彼女の体を抱きしめた。


「必ずまた会いに来る」


「ええ、ええ……」


2つの影が1つになり、そして別れた。






そして何年も過ぎ、女王は女王として正式に種のリーダーとなった。


仲間を増やし、別れを経験し、成長していった。


そんなある日、レッドスコーピオンとの大きな戦いに

彼女は身を投じていた。


かなりの劣勢であった。


だが彼女も引くわけにはいかない。


この戦いが終わらなくては、静かに過ごすことはできないからであった。


声なき声をあげ、仲間を、子供らを鼓舞して戦いを続ける。


その時、レッドスコーピオンの一団が戦場を割って迫ってきた。


少数精鋭による強行突破であった。


知覚はしても、それを防ぎきることはその時のジュエルスコーピオンにはできなかった。


女王に迫るそんなレッドスコーピオンの1匹。


表情の無いはずのその顔が愉悦にゆがんだように感じながら、

女王は相手の必殺の尻尾が空気を切り裂いて迫るのを感じながら……

それを打ち砕く何者かの気配も感じていた。


一瞬の沈黙。


その場のすべてが凍結したように止まっていた。


そして時が解凍されたように動き出したのはレッドスコーピオンの

ちぎれ飛び、上に跳ね上がっていた尻尾。


音を立て、地面に尻尾だった物が落ちる。


悲鳴を上げるレッドスコーピオンに、さらなる一撃が加えられる。


それは鈍器。


破壊の意志を込められた一撃は

レッドスコーピオンの頭を打ち砕き、沈黙させた。


そのハンマーを振るうのは、白髪の老人。


だが女王はそこに若い男の姿を見ていた。


『なぜ来た』


「ずっと、悩んでた。ずっと、探していた。一緒にいる方法を」


声は年相応に枯れてきていたが、いつかのように老人は女王に答えた。


そのひとみは、少年時代のままで。


周囲の戦いは先ほどの奇襲部隊を退けたことで

ジュエルスコーピオンに有利となっており、

女王の指示がなくてもジュエルスコーピオンたちは戦いを進めていた。


そのため、2人はその場で語り合うことができたのだ。


『住む世界が違う、と言ったはず』


「それがどうしたんだい、とも言ったよね」


ゆっくりと、老人は女王に歩み寄る。


そして、右のはさみの根元をそっと撫でる。


「着けていてくれたんだね」


『思い出、だったから』


突然のことに、女王は声も震える。


頭に響く形での声が震えるということは、

それだけ動揺しているということでもあった。


「実は自分はもうすぐ寿命みたいでね。だから最後ぐらいは一緒にいようと思って」


昔を思い出すためか、見た目にあわない若い口調で老人は言い、

小瓶をいくつも懐から取り出した。


「ずっととってあった虎の子も使っちゃったしね。

 クエスト報酬ぐらいもらわないと割に合わないのさ」


クエスト?と疑問を浮かべる女王になんでもない、と苦笑で老人は答え、

疲れたようにその体を女王の足にもたれかけた。


「いいだろう? 少しぐらい」


『こんな姿の私が怖くないの?』


そっと、老人を自らの背中に誘導し、

休ませながら女王は問いかけた。


「生きてるなら一緒じゃないか」


目を閉じながら、老人は少年のようにそう言って、休息のために眠りについた。


老人はその後、数年もしないうちに力尽きてしまう。


だがその数年は女王にとっては掛け替えの無いものであった。


そんな中、老人は女王に語った。


自分はプレイヤーなのだと。


細工が得意で、戦いはあまり得意ではなかったが、と。


女王にはなんのことだかわからなかったが、

嘘は言っていないと思った。


だから彼の言うとおりに将来、

普通じゃない相手に出会った時に

相手が『プレイヤー』かどうか確認をし、

反応する相手は彼の同郷だと思うようにした。


彼は伝えてほしいと言い残した。


この世界は、敵じゃない、と。


そんな彼の笑顔のために、女王は生きようと思った。


星の夜、2人で話した時間は何よりも輝いていたからだ。


洞窟の闇の中、女王はそんな思い出を久しぶりに思い浮かべ、

静かな時を過ごすのだった。










「あれは……仲間割れ……? いや、違う!」


「報告! 我々の反対側からジュエルスコーピオンらしき集団が

 目標に襲い掛かっています! 数は不明! 砂が見えないぐらいです!」


間もなく目標であるルミナスが立てたと思わしき建物に到着するという頃、

フェルドナンドが直接引き入る軍勢の視線の先で

砂煙が上がっていた。


生じた気配や動きが、これまでの状況とは何かが違う、と

フェルドナンドに訴えかけてきていた。


敵の敵は味方、というわけではないが

少なくとも敵の敵である。


それがわかれば、何の問題もない。


少なくともフェルドナンドにはそうであった。


「こちらからも確認できた。よし、我々はジュエルスコーピオンの

 攻撃を受けていない部分に攻め込むぞ。攻撃用意!」


両手剣を鞘から抜き放ち、鞘を部下へと預け自然体となって戦場予定の場所をにらむ。


背後に準備が完了したと声がかかると、

フェルドナンドは全身に力を入れた。


それまでのどこか優男風、三男にも似た空気が一変し

むき身の刃としての気迫が全身を包み込んだ。


それは徐々に移動し、構えた両手剣へと集まっていく。


「突撃!」


魔力剣ならぬ、気迫剣というべきか。


鳴り出す直前の鈴のように力を秘め、

人目を引くその両手剣の切っ先が示す場所へと

兵士と志願した冒険者は突撃を開始した。

ようやく次で本番の戦いが……。

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