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over the sky  作者: ゆほ
8/9

仮設 宮本の恋を応援する会

完全にお遊びの番外編です。


楽しいのはきっと私だけなんだろうなぁ。

【2-1田野倉篤たのくらあつし(現生徒会長)&2-3舞鶴桜子まいづるさくらこ(ミス青葉)】


「桜子くん、『3年生を送る会』の準備の方はどうですか?」


「はい、おかげさまで、宮本くんがバスケ部や他の運動部のご友人にもお声をかけて下さり主催側の人員が充実しております。各団体の発表内容もグレードが高いようですし、会場設置の方も今年度はかなり期待できそうですわ。」


「そうですか、僕の任期中の行事が例年以上になるのは生徒会長として誇らしいことですし、それを支えてくれているのが桜子くんかと思うと僕個人としてもとても嬉しいですよ。」


「篤さんたら、ウフッ・・ところで篤さんは何をご覧になっているのですか?」


「あぁ、学校事務局のファイルだよ。パスワードロックが設定されていたんだけど、最近そのパスワードが判明してね。今は去年の入学試験の時のデータを見ているところですよ」


「じゃぁ奈穂ちゃんや宮本くんが受けた時のデータですね。」


「そういうことです。ものすごく面白いことが分かったんですよ。」


「なにかしら?」


「どうやら奈穂と宮本くんは入試の時、席が隣りだったみたいですよ。ほら、座席表がこっちで、こっちの合格者の一覧には受験番号順に名前、出身中学、試験結果が記載されているでしょ。これを照らし合わせると・・・ね」


「まぁ運命の出会いですね。宮本くんがその時に一目惚れしたのかしら?」


「いや、奈穂は一目惚れされるタイプじゃないでしょう。」


「そうですわねぇ。奈穂ちゃんの良さは後からじんわりと来る感じですものねぇ。」


「桜子くんは上手い言い方をしますね。」


「ウフフ、篤さんたら。そうそう、思い出しましたわ。あの時は確か奈穂ちゃんが遠足や行事の前夜は眠れなくなるからと聞いたので、篤さんと二人で眠気覚ましになるようなキャンディーをたくさん試食致しましたわね。それで、一番メンソールの効いているキャンディーを奈穂ちゃんに持たせたんですわ。」


「帰って来た時『マズ過ぎる』って怒られましたよ。そのくせ残さず食べたみたいでしたけど」






【1-3佐藤靖久さとうやすひさ(バスケ部所属)】


よっしゃぁ!一番後ろの席ゲットだ。


一番長い2学期の席替えで一番後ろの席だなんて、俺いつもはくじ運悪いのに、ラッキー♪


バスケ部って青葉高校で一番ハードで厳しい部活だからというわけではないが、授業中時々眠たくなる時あるんだよ。


一番後ろの席なら前の人に隠れて寝ちゃっても目立たないはずだ。


ところで隣りは誰だ?うちのクラスの女子は結構レベルが高いから誰が隣りでもいいよなぁ♪


そう思ってたらさっき引いたくじを手に持って女子が一人俺の隣りの席に着いた。


「佐藤そこ?私隣りなんだ。2学期の間よろしくだね」


あっ藍沢・・・


誰が隣りでもいいけど、藍沢だけはダメだ。


宮本が面倒だ。


うわっ宮本がこっち見てる。うぅ変わった方がいいのかなぁ。でもせっかくの最後尾・・・


あっダメだ黒板に名前書かれちゃってるよ。


今日の部活のウォーミングアップ、宮本とは組みたくないなぁ。




・・・そう思っていたら今日は宮本と組む日だった。


がっくり


おいおい、宮本そんなに睨むなよ。


「俺の席・・・遊びに来いよな」


隣り藍沢だからお近づきになれるかもしれないぞ。部活中なので先輩に注意されない範囲で言葉を選んで宮本に言った。


「言われなくても行くつもりだ。それより佐藤」


「なんだ?」


「藍沢のこと、口説くなよ」


く、口説くって?


だったらお前こそさっさと藍沢に告白しろよ!


なんなんだよ。あんだけモテるくせに、好きな子には告白出来ないってどういうことだ。


挙句、藍沢の周辺男子には牽制するなんて、ったく。


まぁ宮本が慎重になるのも分からなくもない。


なにせ藍沢は宮本どころかバスケ部や人気のある部活には全く興味がないみたいだし、俺も宮本もバスケ部だってことさえ知らないと思う。


それでも宮本は藍沢と親しくなりたいと思っている。いや多分それ以上の気持ちはあると思うんだけど、まずは「親しく」からなんだろうなぁ。




しっかし、藍沢って・・・・


気がつけばいつもイヤホンを装着していて、宮本が声をかけても全く気がつかない。


むしろクラスの他の奴らが「宮本は藍沢狙い」って事実を掴んでいるくらいだ。


諦めたのか宮本も俺の席にくる頻度が減った。




あれ?今日はめずらしく藍沢がイヤホンをしていない。


チャンスだ宮本。あれ?宮本どこ行った?


廊下の方で余所のクラスの女子が宮本に告っているのが見えた。


藍沢は何かプリントを見ていた。


「藍沢、そのプリント何?なんか課題出てたっけ?」


「あぁこれ?去年の2学期中間の問題。佐藤もコピーする?」


「えっ、いいの?」


っていうか藍沢ってそんなもの入手できる人脈があるんだぁ。


「うんいいよ。ただ先生が違うから同じ問題が出る保証は全くないけどね。そうだ、こっちあげるよ。千佳に頼まれてた分だけど、千佳とは今日一緒に帰るからそのときコピーすれば間に合うから」


そう言って藍沢は鞄の中に用意してあった方のコピーを出してくれた。


「ありがとう。部活忙しいからこういうの助かるよ。うちの部は文武両道を掲げてるから逆に先輩はこういうの回してくれないんだよ。」


「どう致しまして」


藍沢はニッコリ笑っていた。


その瞬間俺は背筋に冷た視線を感じた。


ヤ、ヤバい。


振りかえると宮本が物凄い形相で睨んでいた。


「あっ、これ他の奴にも回して平気?」


「別にいいけど、ヤマかけの保障にはならないからね。そこだけ念押ししておいて」


「オッケー」


俺は背中に汗をかきつつ宮本の席に行った。




「藍沢がなんか人脈あるみたいで、去年の中間の過去問回してくれたんだよ。それだけだよ」


俺、なに弱気に言い訳してるんだ?別に藍沢のこと口説いたりしてないのに。


「人脈って生徒会長だろ」


「そうなのか?」


「藍沢と生徒会長は同じ西中なんだ。それに生徒会長は『奈穂』って呼び捨てで呼んでるし」


うわぁ。それってどうなんだろう。やっぱり付き合ってるのかなぁ。ただ仲のいい先輩後輩ならいいんだけど。


「宮本、やっぱお前普通に告白したら?」


「それでもいいけど、藍沢とはちゃんと親しくなりたいんだ。いきなり告白してその場で断られたら意味がない」


そこまで意気込んでいるのに、どうしてか宮本は藍沢と会話ができるタイミングにならない。


せめて、せめて会話が出来たら、宮本はいい奴だし、きっと藍沢だってそう思ってくれるだろうから。


生徒会長とはなんでもなくて、宮本が上手く告白出来れば・・・


俺は祈るしか出来ないけど、


頑張れ!宮本!!







【1-4内藤有沙ないとうありさ(バスケ部ファン)】


うちの高校ってなんて素敵な人が多いの!


第一はバスケ部、全国大会も常連で、部員のモチベーションも高いし、イケメン揃いでとっても華やかなのよね。


放課後、時間の許す限り私はバスケ部の応援に行っているの。


バスケ部以外でも、体育系文化系どちらも華々しく活躍している部は多い。部員のルックスも目の保養になる人はたくさんいる。


そんな人たちの活躍を見ながら送れる高校生活ってとっても楽しい!!


それは男子に限らず女子も「黒髪の天使、舞鶴桜子」さんだって、同じ女性としてあこがれたくなる青葉高校の代表的存在だわ。


でもやっぱりバスケ部の宮本くんが一番!!!


まだ一年生だけど、将来有望なのは間違いなしよ。


バスケの技術だけじゃなくてルックスもかなりのレベルだから告白してくる子もたくさんいて、バスケット最優先の宮本くんはことごとくお断りしているみたいだけどね。


そこがまたかっこいいわぁ。


彼のクラスは私のクラスの隣りで普段はどんな風にしているのか知る機会が少ないけど、体育の授業は一緒だから男子も女子も同じグランドのときなんかはジャージ姿の宮本くんを見ることが出来る。


これまた素敵に着こなしていて・・・


目の保養になるのよ~


部活の応援で見る宮本くんは本当にバスケに集中しているけど、授業中(体育限定)の宮本くんはよく女子の方を見ている気がする。


気になる女子がいるのかしら?


それは誰かしら?


私とは目が合わないので、どうやら私ではなさそう、うぅ残念。


でも最近それが誰だか分かってきたわ。


宮本くんのクラスの藍沢さんよ。


彼はいつも藍沢さんを見ているのよ。


当の藍沢さんは全然気がつかないから、こっちがイライラしてきちゃうの。


「宮本くんが見つめていますよ」って何度言いたくなったことか、でもきっと宮本くんはそんなこと望んでいないはずだから、私は沈黙を守ることにしているけど。


あ~今日も1,000mを走る藍沢さんを見つめているわ。


頑張って下さい。宮本くん!


バスケも恋も応援してます。









【1-3各務直人かがみなおと(ゲーマー?)】



僕は休み時間はほとんど寝ています。


理由はいつも深夜まで起きているからです。


それはネットをしていたり、ゲームをしていたり、本を読んでいたり、日によって色々ですが、深夜に集中してしまうので、休み時間に少しずつ寝ておくのが習慣になっています。


3学期の席替えで窓際が当たり。購買部で買ったパンを食べた後に自分の席で寝るのはかなり気持ちがよく。しっかり熟睡できるので、寝不足で辛いということはあまり感じてません。


でも、


最近寝られません。


特に昼休み、なんでだか背中に痛いくらいの視線を感じるからです。


それが何日も続くのである日僕はその視線が誰なのかうつ伏せになってから自分の脇の下から覗き込むように見てみました。


教室の後方で昼休みはお弁当を食べているバスケ部のメンバーだということが分かりました。


なんだろう・・・


特に宮本くんからは物凄い眼力を感じました。


なんだか怖いなぁ。


その次の日バスケ部の佐藤くんが昼休み前に僕に声をかけてきました。


「悪いけど、今日こっちで弁当食べないか?昼寝もこっちでしていいからさ」


へ?


どういうことだろうと思ったけど、佐藤くんは申し訳ないという感じを前面に出してきていたので、僕はバスケ部のメンバー3人と一緒に昼飯を食べることにしました。


いつもは一人で食べていたし、バスケ部のメンバーはみんな体が大きくて近寄りがたかったからちょっと戸惑ったけど、佐藤くんも山梨くんもとても感じが良かった。


僕が昼寝をしているのはやっぱり夜ふかしのせいかと聞いてきたので、僕は正直に深夜までやっていることを話しした。


偶然佐藤くんが同じゲームにはまっていて、でも彼は部活が忙しく、なかなか進まないとこぼしたので、僕が少しヒントになるものを教えてあげたら物凄く喜んでくれた。


ただ、宮本くんだけがずっと黙ったまま食べていた。


正直物凄く怖かった。


宮本くんの隣りで食べていた山梨くんがからかう様に「宮本こえーよ」と突っ込みを入れていたが、彼は何も返事をしなかった。


「宮本、藍沢が席に戻るぞ。急げ!」


突然佐藤くんが言った。


見ると僕の後ろが座席の藍沢さんが席に戻るところだった。


宮本くんは食べかけの弁当箱を急いで片付け始めた。


藍沢さんは普段お昼を仲良しグループで食べた後、いつも自分の席で音楽を聴いているようだった。


音が漏れてくることはなかったが、彼女が鞄からイヤホンを出しているところを何度か見たことがあった。


宮本くんは藍沢さんの席に行った。


「もしかして宮本くんて、藍沢さんなの?」


「そうそう」


面白そうに佐藤くんが答えた。


僕に聞かれるのが嫌だったから、僕はこっち呼ばれたのか。


「各務、寝なくて大丈夫か?午後持つか?」


山梨くんが聞いてきた。


「あっ、うん、でもなんだか気になっちゃって」


「だよな~。宮本がずっと各務起こしたら悪いからって遠慮しててさ、だったらこっちで寝かそうって話しになってそれで今日各務を呼んだんだ。俺はゲームのヒントがもらえたから返って助かったけど、悪かったな」


そうなんだ。僕の昼寝なんて出来ない日があっても構わなかったのに、宮本くんはそんなことを気にして・・・


「うわぁ藍沢断ってるよ。」


「あいつ今朝から超緊張してたのに、どうするかなぁ」


「昨日からだよ緊張してたの」


「宮本くんていつから藍沢さんだったの?」


僕は単なる興味本位で尋ねた。


「入学した時からもう藍沢だったよな。お近づきになりたいってずっと言ってて」


「そうそう、俺らには藍沢には近づくなって」


気がつくと僕達以外のクラスメートも宮本くんと藍沢さんのやり取りを注目していた。


宮本くんはなんとか試しに付き合ってもらうように説得していた。


「こ、今週いっぱいってのは?」藍沢さんの声が二人を見守っていた静かな教室に響いた。


「短すぎ~」とブーイングを送ったのは宮本くんではなく、ここにいる佐藤くんや山梨くん、他のクラスメートだった。


それでも宮本くんは藍沢さんがくれた僅かなチャンスで納得し、二人は今日を入れて3日間付き合うことになった。


宮本くんがさっきとは打って変わって嬉しそうな顔で席に戻って来た。


「良かったな」


「頑張れよ」


佐藤くんと山梨くんが声をかけている。


「各務悪かったな。」宮本くんが僕に言ってきた。僕が寝ていないことを気にしているようだ。


「いいよ。でもあっちの席で聞いてみたかった気もする。」


僕は少しだけ宮本くんをからかう様に言ったら、「勘弁してくれよ」と言われた。



次の日せっかくだから二人で食べなよと僕は僕の席を宮本くんのために空けた。藍沢さんはちょっと引いていたけど、僕は気付かなかったことにした。


佐藤くんが夕べゲームを少し進ませたらしくその次が聞きたいと言ってきたので、僕はまた佐藤くんと山梨くんと昼飯を食べた。




ふと宮本くん達の方を見たら、藍沢さんは背中しか見えないから表情が分からないけど、宮本くんは昨日お弁当を食べているときとは全く違う、物凄く嬉しそうな顔をしていた。



頑張れ、宮本くん!






【1-2神保将馬じんぼしょうま(吹奏楽部)&1-3入江千佳いりえちか(吹奏楽部)】



「将馬、たいへん奈穂が宮本に告白されたわ」


「へぇ宮本って藍沢さんのことが好きだったんだ」


「私もびっくりよ。将馬て宮本と同じ朝見中でしょ?彼ってどんな感じ?」


「う~ん、普通にいい奴だよ。バスケ命って感じで、実力もちゃんとあるよ」


「そうなんだ」


「千佳、藍沢さんのことが心配?」


「だって宮本ってイケメンでモテるから遊び半分で奈穂に声かけてるならちょっとねって」


「それはないんじゃないかな?そういう面は結構真面目と言うか一途な方だと思うよ」


「じゃぁ奈穂のこと大切にはしてくれるのね」


「うんそれは心配ないよ。僕もそんなに仲がいいわけじゃないけど、中3の時は同じクラスだったんだ。その頃の宮本はいい加減なヤツじゃなかったし、今だってそうだと思うよ」


「そっかぁ、でもなんで奈穂なんだろう??あの二人がしゃべったりしてるところ見たことないんだよなぁ」


「そうなんだ。宮本っていえばさ、中学時代から絶対青葉のバスケ部行くって言ってて、でも試験前日物凄い風邪ひいていたんだよね。」


「体育会のくせに風邪ひいたの!?」


「まぁそこはさ、青葉の試験も無理に行くなって言われてらしいんだけど、青葉は2次募集がないからチャンスが1回しかないって、無理に行ったみたいだよ。そのせいで他は1校も受験出来なかったんだ。でも奇跡的に青葉に受かったんだ。」


「へぇ・・・同じ中学だと席が近いから将馬大変だったんじゃないの?」


「それがね、宮本は併願の願書提出の関係で青葉の願書は一人で出しに行ったから受験番号が僕とは離れていたんだ。結構後ろの番号だったみたいだよ。そういえば千佳の番号も後ろの方だって言ってたよね。」


「そうよ最後のグループの教室だったの。学校でまとまって願書を出しに行ったから受験番号が西中で続いていて、奈穂が私の後ろの席で、奈穂の隣りの男子が・・・」


「どうしたの?」


「・・・風邪をひいていて、物凄い咳き込んでいたのよ。」


「えっ?」


「・・・それで、奈穂が生徒会長にもらったのど飴をあげたの。大事な入試の日になのに、なに他人におせっかい焼いてるのって思ったわ。」


「まさかその男子って」


「奈穂はマズイって言って1個しか食べなかったの。飴を貰った男子はそののど飴が効いたのか咳が止まって、だから奈穂、のど飴を全部隣りの男子に渡しちゃってた。」


「宮本ってことはないの?」


「顔は覚えてないわ。マスクしてたから」


「でもその男子は咳が止まらなかったら試験に集中できなかったかもしれないね」


「そうね・・・」





ゆほ以外にもお楽しみ頂けた方がいたら幸いです。


次の番外編は真面目?に書きます。

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