Friday Lunchtime 愛の心
クラス中、否、今では他のクラスの生徒達も知っている。
今日は私が宮本の告白に返事をする日だということを。
宮本が明日の練習試合のために昼休みはミーティング、放課後は2日ぶりの部活になってしまった。
宮本を応援しているクラスメート達は今朝から私を腫れもののように扱うし、千佳なんか「宮本ファイト!」とか叫んでる始末だ。
昼休みだというのに教室に居場所がないように感じる。
お弁当を持ってどこで食べようかと廊下をウロウロしていたらミス青葉にばったり出くわした。
「こんにちは奈穂ちゃん。宮本くんは一緒じゃないの?」
「・・・バスケ部のミーティングなんです」
「そお、今日までだったんじゃないの?彼、残念がってたでしょう」
ミス青葉の物腰は上品で、話し方も頬笑みも麗しかった。
「篤さんと生徒会室でお昼を食べるの、良かったら一緒にどうかしら?」
「お邪魔じゃないんですか?」
「邪魔だと思ったら誘いませんわ」
からかわれそうな気もするけど、この二人は宮本に肩入れしているわけじゃないからなぁ。
行くあてもなかったので、お邪魔することにした。
ミス青葉の言うとおり、宮本は一緒にいられる時間が減ったことを残念がっていた。
その代わり・・・
「部活の練習見に来て!」
そう言われてしまった。
正直体育館には行きたくない。
あそこにはバスケ部員の本当の彼女や、宮本を含めたバスケ部員のファンの子達が集まっているから。
告白されたからと言って私が行くのは違う様な気がする。
相談するつもりはなかったが、話しの流れで私は自分の正直な気持ちを二人に言っていた。
「本当のところ奈穂ちゃんはどうしたいの?付き合いたいの?断りたいの?」
「いや、それは・・・」
「断りたいと思っていない時点で奈穂の答えは出ているんじゃないのか?」
そ、そうかなぁ?
「でもさぁ、宮本のことを本気ですっごい好きって想っている子がたくさんいるんだよ。私は宮本のこと嫌いじゃないけど、そこまで想ってるという自信はない。」
「あら、想いの深さで恋人を決めるわけじゃないでしょう。」
「奈穂は愛されるより、愛したいなんだな」
愛って・・・・
「なら、愛させてあげるっていうのも愛してるってことじゃないかしら?」
「そういう高等テクニックは奈穂には無理ですよ。桜子くんはそんな風に僕を愛してくれているということですか?」
「いやだわ、篤さんたら。フフ・・」
げえ~~~っ
愛、愛、愛、愛と、あなた達は臆面もなく何言っちゃっているんですか?
しかも二人の世界、完成してるし。
愛シタイ
愛シテル
愛シテモラッテ、愛シタイ
深すぎる。
意味分かんない・・・・
次回ラストです。