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over the sky  作者: ゆほ
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Thursday Lunchtime 極悪天使降臨

クラスメートの気遣いのもと、その気遣いの主たる人物は親友千佳だが、私は宮本と一緒にお昼を食べることになってしまった。


私の前の席の各務くんがいつもならパン食べて机に突っ伏してお昼寝するくせに今日に限って宮本に机を貸したのだ。その机と私の机を向かい合わせにしてお昼を食べているところだった。


「あーお腹すいた」


「1周多く走ったしね」


「う゛っ自分だって何回も助走していたくせに」


「だっていいとこ見せなきゃでしょ?」


ふーんとか気のない返事をしていたら、教室のドアが開いて肩にかかる長さの黒髪の純和風美少女が教室に入ってきた。


教室にいた生徒は一斉に彼女に注目した。


その人はミス青葉、舞鶴まいづる桜子さくらこだった。


ミス青葉と目が合ってしまった。やっぱりこっちに用事があるのだろうと思ったが敢て無視したら、ミス青葉も私には気がつかない風に一番近くにいた男子の塊の方へ近づいて行った。


「こんにちは、藍沢奈穂さんのカレってどちらかしら?」


どう考えてもこの場合私の向かい奴だろう。分かってて知らんふりですか。


聞かれた男子達が宮本へ視線視線を送る。


誰だか分かったとミス青葉は「ありがとう」と彼らに会釈してこっちへやってきた。


「こんにちはあつしさんから聞いたわ。部活がお忙しくて奈穂ちゃんと一緒にいられる時間が少ないって」私のことは無視し続けて宮本にだけ言った。


「はあ」


ミス青葉のマイペースぶりに宮本も引いてるよ。


「篤」とは生徒会長のことで本名は「田野倉たのくら篤」だ。田野倉生徒会長とミス青葉舞鶴桜子は恋人同士だ。ただ宮本がそうだったように知らない人の方が多い。


「それで良かったら3年生を送る会の委員になってくれないかしら?」


こちらの反応には一切気にする様子を出さずにミス青葉は要件を切り出してきた。


青葉学園高校の「3年生を送る会」というのは卒業式の前々日に体育館で行われる会で委員会は各クラスから集うのではなく在校生の自由参加となる。


ただ部活でステージを使った出し物なんかを出したい場合は在校生の部員が委員会に参加するとプログラムから意見を出せるので、通常は部活に所属している部員が多い。


それでも会場作りやなんだかんだの雑用の人員を必要となるので委員会の幹部が個人的にスカウトして確保している。どうやらスカウト活動に来たらしい。


「もちろん作業分担は必ず奈穂ちゃんと一緒に致しますわ。仕事さえちゃんとやって下さるなら後はご自由に」


ご自由にって・・・


「あっでも先輩、俺と藍沢はなんていうかテスト期間というか明日までしか付き合わないかもしれないので・・」


そーだそーだ。


この後気まづくなるじゃないの!


「あらぁ、お別れしてもまたくっつくってこと、よくあるから私は気にしないわ。藍沢さんと宮本君委員会に参加ね」


気にしろ!それに勝手に委員にするなっ!


でも声に出して抗議できない。どうせ聞いてくれないってのは分かっていることだから。


「ところで先輩、藍沢と会長ってどういう関係なんですか?」


委員にされたことに講義することなく、昨日私が答えなかった疑問を、宮本はミス青葉に尋ねた。


「奈穂ちゃんのお母さんのお兄さんの次男が篤さんよ」


もう「いとこ」って言っていいよ。


「ねぇ宮本くん、仮にも彼女なんだから「藍沢」じゃなくて「奈穂」って呼ばなきゃ、ね」


そういう助言はいらない。それに宮本が圧倒されてる。


「じゃそういうことで、ごきげんよう」


一部では「黒髪の天使」とか言われているけど、どっちかっていうと本性は「極悪」だ。


私と宮本が上手く行くことより「3年生を送る会」の準備でこき使える人数を増やしたいだけだろう。




「生徒会長がいとこね。あんまり似てないね。」


「生徒会長=彼氏疑惑」がなくなったからか宮本が機嫌良く言った。


「それにこれって身内公認になったってこと?」


「ミス青葉は身内じゃないです。」


いや、遠くない未来に身内になるんだろうなぁ。


「どっちにしても3月までは委員会が一緒になったね」


交際期間は伸びたということなのだろうか?それとも一旦お別れしても関わりが続くと言うことだろうか???



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