Episode7 さよなら義勇兵爵叙爵合宿、そして旅立ち——— 後編
「ふーん、あと一人ってわけね…。ミ・ナ・ヅ・キ・ダーンチョー。私にも1人あてがあるけど…問題が解決したらきっと入ってくれそうなのが1人いるんだけど~」
嬉しい誘いかと思ったが…なんだか急に不安にしか感じない誘いに聞こえる。まぁ確かにこの休憩室は多くの講習メンバーが集まっている状態ではあるが、全員ではない。つまりここにいない人で心当たりがあると。なんて考えていたら様子を見に来たみんながこっちに集まってきた。
「とりあえず、それが誰かだけでも先に教えてくれないか?」
「それは~、会ってからのお楽しみー…ほら来てだんちょー!」
フィラーレに半ば強引に腕を引っ張られて休憩室から出ていく。その後を俺の騎士団に参加してくれるメンバーがついて来る。しばらく廊下を歩き階段を上り…その道は試験の合格のために何度も通い試験対策をした資料室への道そのものだった。
「なああああぁぁぁぁんもおおおぉぉぉぉぉ」
突如廊下に誰かの声が響き渡った…。どうやら例の問題が解決したら入ってくれそうな人だろう…、俺達はその声で色々と察しがついた。俺達の足は自然と止まり、全員で振り返り帰ろうとした。
「とりあえず必要な部屋ってなんだろ?」「まず宿部屋だろ?」「工房は?」
「飯食えるとこ欲しい」「ガレージっている?」「なんか乗り物買うの?」
「まって!まーってぇ!!あと一人なんでしょ!?いるから!!」
「いや…いるのは分かるけど…、ほら」
俺は無理やり引っ張るフィラーレに耳元で小声でつぶやきながらドロフィーをそっと指さす。ドロフィーも参加メンバーな以上、ドロフィーの関係で誘いにくい人は当然避けたいのだ。
「そこはほら、私が上手くやってあげるから…それに足りなくて困るのはミナヅキもでしょ、いーから!」
俺は仕方なくフィラーレに引っ張られ、その当人がいる資料室に連れ込まれる。そこには…多くの資料に囲まれてうなだれているカトレナの姿があった。その隣ではアルフィーがつきっきりであれこれ教え込んでいた。カトレナが俺に気付くとさっきまでのうなだれがなかったかのように急にお上品にふるまいだした。
「あら、あなたは…えっと、…ミナヅキではありませんか、何か御用で?」
ちゃんと名前覚えてもらえてよかった…、ウルフの一件で色々あったのにもかかわらず俺の事を異界人呼びで続けていたのはカトレナくらいだったからな…。ここにきてようやくちゃんと名前で呼ばれるのがなんと嬉しい事か…。いやそんなことより今この時期に叙爵に必要な単位だか試験だかが足りていないのはやばいんじゃないかな…?ドロフィーですらもうなんとか終わらせることが出来たのに未だにやってるのは…
「カトレナちゃ~ん、ミナヅキ君がね~ここ出てから騎士団作りたいけど一人足りないんだって~」
「あら、そうなのですの。殊勝なこと…せいぜい頑張ってくださいまし。わたくし今忙しいのですわ、向こうでやってきてくださいませ」
カトレナのその一言でフィラーレは膝をついて頭をかきむしった。隣で聞いていたアルフィーもつられてうなだれる。
「いーいカトレナ!ミナヅキは騎士団をつくるためにあと一人集めなきゃいけないの!!そしてあんたは叙爵のために足りない点数を稼がないといけない!!わかる!?」
「えぇ、ですからこうして今頑張っているではありませんか」
「あー!もー!カトレナ!!復唱!!」
「はっはいぃ!?」
怒りのままにフィラーレがヅカヅカとカトレナに寄るのに驚いてカトレナはペンを手離し背筋がピンとなる。
「ミナヅキは騎士団設立のためにあと一人必要!」
「み、みなづきは…きしだんせつりつのためにあとひとりひつよぉ…」
「わたくしが騎士団に入ってあげてもいいですよ」
「え?わ、わたしが、騎士団に?は、はいってあげても…いいですよ???」
「そのかわり騎士団に入るために私の叙爵取得を手伝ってください!!」
「…あ、そういうことですの!?」
「復唱っっ!!」
「あ、えっと…そのかわり…ええと…手伝ってくださいまし!!」
「いや、他にも声かけてない人はいるし、そっち先に声かけてくるよ」
と言い残して去ろうとした途端にカトレナが物凄いスピードで俺の足にしがみついて離さない。わざとらしく柔らかいものを押し付けているのは自覚あるのかないのか分からないが、俺は必死に引き抜こうとするががっちりつかんで離さない。
「お願いです!!手伝ってくださいまし!!リューゼルト様…いえあんな奴が真面目にやるだけ時間の無駄だって言ってて、それであいつと一緒になってやらずにいたらたまりにたまってしまって、フィラーレ様もアルフィー様もこれ以上ご迷惑かけるわけには…ずっとわたくし見ながらため息ばかりつかれてしまい…、騎士団、入ります!入ると決めました!!ですので責任を取ってくださいまし~!!」
なんで俺が責任取らなきゃならないんだと思いながら振り払おうとするが、完全涙目でがっつりしがみついて離さない。というかついてきてくれたみんなの目線も痛々しいもので、バーケニーさんに至ってはまるでごみを見るかのような目で見てきて…俺の頭は真っ白になった。
「全く…仕方ありませんね。皆さんは騎士団の相談を続けててください」
はぁ…と呆れため息をついている見かねたバーケニーさんが俺ごとカトレナを引きずって資料室の中に戻っていった。ぽつんと残されたメンバー達は呆れながらもまた談話室に向かいながら各々で話し始めた。
「…そいやぁさぁ、俺達の騎士団の名前ってあいつなんか言ってたっけ?」
「いや…、特には。確かに名前がないと相談するにも不便だったりするか?」
「んー…じゃあ、とりあえず、団長は旦那ですし…ひとまずはアラタ騎士団(仮)で、改めて旦那に決めてもらいましょう」
それから俺達は残りの数日でカトレナの叙爵できるまでのサポートをしながら騎士団としての決め事を相談し、そして最後の思い出作りも済ませて…ついについに永かった義勇兵爵叙爵合宿が終わりに近づいてきた。俺達が過ごしてきた思い出の寮室も、はしゃぎ合った食堂室も、教官に叱られた講習室も、風呂も洗面室も…すっかり最初に見た元の状態に戻ってしまった。俺達が過ごしてきた荷物は何もかもが荷物の中にぎゅっとしまい込んだ後となった。そして16月の半ば…ついに講習日程が最後の一日となり、俺達50人全員が無事叙爵出来る事となった。
あの日開講式が行われた体育館と同じように俺達は体育館に集まり、教官達の話を聞いて一人一人が叙爵証明証を受け取る。なんだかまるで卒業してるみたいな雰囲気だった。中にはめそめそと泣いている声が聞こえてきた。そしてイヴァン総監督長の話が終わるのを最後に…閉校式が終わり、そして俺達の義勇兵爵叙爵合宿が終わりを告げた…。
「…ミナヅキよ、俺は残念だ。お前達は俺達と一緒にスポーツ騎士団に入ってくれると思っていたのだがな」
「悪いなアルケイド…」
俺達ミナヅキ率いる騎士団と、ライオネット率いる騎士団の二つが門入口で俺達以外のメンバーが出ていくのを見送ることにした。まず初めに来たのはアルケイド率いるスポーツ騎士団に入団希望の面々だ。シルヴィアとアルケイドが帝都、ルクロとパトリックが城塞都市、アンジュが農業都市と地元に帰る形でスポーツ騎士団にそれぞれ入団しに行くとのことだ。
「おいおい、今更謝るなんてカッコ悪いことするなよ。むしろ俺達が不甲斐なかったときは遠慮なくスカウトに行ってやるくらい言ってくれよな。それと…俺達のデビュー戦は絶対皆で見に来てくれよな」
「ははは、当たり前だろ」
「コノハちゃーん!プラノー!、ぜったい、ぜったい私の試合見に来てね!!」
「およよ、勿論ですよアンジュ~、身体には気を付けてくださいね」
「アンジュならレギュラー入りはすぐだから!私達が保証するよ」
俺がアルケイドと話していると、あの三人が仲良く抱き合っている。以外にも結構な頻度でアンジュの空中ラクロスの練習相手になってあげたりしてたみたいだ。他でもシルヴィアもルクロもパトリックも…俺達との別れを惜しんでいる。特にライオネット達とは同じ組だったから思いは色々あるだろう…。だがそんな彼らも大きく手を振って去っていったのだ。
「やぁミナヅキ君。君にはいくら返しても返したりないほどのお礼が残っていると思っているのに…それなのにお別れだなんて、こんな残酷なことがあっていいのだろうか?僕の心は今嵐で飛ぶ力を失い、雷で翼をもがれ地へと落ちていくシジュウカラのようだ…」
このライオネットにも似ているけどちょっと違う独特な話し方は…演劇騎士団に入団する3組Cグループの三人、その中の男装担当のローズさんだ。お礼というのはウルフに襲われたときに身動きのできない女の子グループを助けた一件のことである。まぁあの時はあの場にいた全員がピンチではあったが、ウルフを打ち倒したローズの目には俺がまるで王子様みたいに映ったらしい。ちなみに残りのプリミランテとソフィアは、ライオネットにお礼を伝えている。それとプリミランテさんは帝都、ローズさんとソフィアさんは農業都市に里帰りして地元の演劇騎士団に入団するみたいだ。
「そんな、もう充分楽しい思い出出来たのですからお礼になってますよ。それより、ローズさんの出ている舞台が、俺みたいですよ」
「ふふっ、そうだな。君のためにも最高の舞台となるようこれからも精進していくつもりだよ。観劇できる日をまるで躍動する乙女心のように、心待ちにしていてくれると…僕も嬉しいよ」
凄いキラキラしたボーイッシュな語り掛けをしながら手をぎゅっと握られる。その手からは男のものではない女性的な柔らかいものが感じられなんとなく…少しだけ胸が高まり頬がにやける。その握られた手がするりと抜け出た途端演劇騎士団希望の三人は手を振って去っていってしまった。
「やっほーミナヅキ君。私らもそろそろ行くよ」
そう言ってぞろぞろと出てきたのは1組のラフィラ、トリーダさん、イレイザさん、キコクさん、2組のレイフェルさん、ギャノンさん、ポールワンさん、3組のフリッド、レンド、ツィーレの10人だ。
「よぉラフィラ、えっと『白翼騎士団』への入団に行くんだっけ?頑張れよ」
「頑張らなくちゃならないのはあんたらでしょ?そのうち戦闘かどっかでまた一緒になるかもだし、その時はよろしくね」
ラフィラとは軽い挨拶だけで他の面々とも別れを惜しんでいる。ちなみに他のメンバーの行く当てとしては、帝都に残るメンバーとしては…トリーダさんは花屋かケーキ屋に、イレイザさんは人形を作る企業に、レイフェルさんは、その他のメンバーはギャノンさんとポールワンさんが水上都市に、フリッド、レンド、ツィーレの三人は城塞都市に、キコクさんは和風都市に帰るとの事…それぞれがそれぞれの道を歩むために歩き出し手を振り去っていった。そしてこの10人をもって…残りは俺達二つの騎士団だけとなった。
「ふっ…ミナヅキよ。君との決着はここではつくことが出来なかったが…僕たちの戦いはまだ終わってはいない。そうだろう?」
「いや俺の勝ち…」
「うるさい、…君と僕はそれぞれ別の道を行くが、それでも僕は何度でも君との勝負を受けて立つつもりだ。それになにより…僕の仲間達も、君の仲間達も我ら二つの騎士団の関係は不滅のものだと思ってるよ」
「あぁ、勿論だ。ぶっちゃけお前との決着はどうでもいいんだけど…お前の仲間達も、一緒にこの講習所で過ごした俺の大事な友達だからな。少し寂しいけど、それでもお前達とはこれからもずっと一緒に頑張っていきたいと思うよ」
「…ふん、いつもいつも余計な一言の多い奴だ」
俺がライオネットと話している間にもみんながそれぞれ別れを伝え合う。
ここでライオネットと共に活動することにした騎士団メンバーを整理する。
『ライオネット』祖人種のグラップラースタイル。2組Aグループに所属してた。
『ガーランド』祖人種のサポータースタイル。2組Aグループに所属してた。
『プラノ』龍人種のクラージースタイル。2組Aグループに所属してた。
『ヨハン』翼人種のストライダースタイル。2組Aグループに所属してた。
『セレイア』水人種のサポータースタイル。2組Bグループに所属してた。
『グラシアス』牛系獣人種のストライダースタイル。2組Bグループに所属してた。
『セビアン』シルキー系精人種のクラージースタイル。2組Bグループに所属してた。
『ガイマン』ドワーフ系精人種のサポータースタイル。2組Cグループに所属してた。
『バカラ』馬系獣人種のストライダースタイル。3組Bグループに所属してた。
『アルフィー』シャドーエルフ系精人種のストライダースタイル。3組Bグループに所属してた。
『ルーレン』翼人種のグラップラースタイル。3組Bグループに所属してた。
『ファイグル』、水人種のグラップラースタイル。1組Aグループに所属してた。
『カロア』、水龍系龍人種のサポータースタイル。1組Aグループに所属してた。
『イプロクス』、蠍系虫人種のサポータースタイル。1組Bグループに所属してた。
『ジョン』、黒犬系獣人種のクラージースタイル。1組Bグループに所属してた。
『ホオズキ』、鬼人種のグラップラースタイル。1組Bグループに所属してた。
以上のライオネットを含めた16人がライオネット率いる『最強!Knights of Strongest』で活動していく事に決めたのだ。ちなみに活動は戦闘だけでなく、メンバーに結構貴爵が多いのを活用し多岐の新規事業を開始しライオネットが必要な事業に人材派遣をするという複合型事業をやっていくとの事だ。既にそんなヴィジョンを掲げているのは素直に凄いと思う…。俺達もあれこれ活動について考えたが結局未だにとりあえず戦闘をしていく事しか決まらなかった。
そうこうみんなで別れを惜しんでいるものの無駄に時間が流れて行っているのも事実で…そろそろ俺達も、そしてライオネット達も出発する頃合いになってきた。
「ウルヴァもトレイスも、次あった時はもっといいとこ見せてやるでゴワスよ」
「いつでも遊びにきていいからね~」
「ちゃんと飯食えっピー」
「お前らもなー」「むしろ遊びに来いよな~」「面白い話仕入れといてね~」
「…ミナヅキさん、色々とお世話になりました」
「そんなことはないですよ、セレイアさんがいるからあのバカも頑張れるんですから…これからも支えてやってくださいね」
「おい、本人の目の前で何言ってんだ。ふざけてんのか」
「お前もあんまりセレイアさんに迷惑かけるなよ…それじゃ、頑張れよ」
「一言余計なんだよ…、お前達もな」
「「「「「じゃあなー」」」」」「「「「「ばいばーい」」」」」
俺達は互いに最後の別れをして、そして同時にこの講習所の門を…みんなで一緒に、その一歩を踏み出しこの場所とお別れをしたのだ…。
それから俺達はイヴァン総監督長のプレゼントと称した騎士団拠点のある場所まで全員で電車で移動した。揺られること20分、そして歩いて5分…辿り着いた拠点は、外装は明らかに新築とは思えない年季の入った洋館のような建物だった。みんなで場所が間違ってないか確認し、俺は恐る恐る渡された鍵で開錠し扉を開けると…中は驚くことにまるでリフォームしたかのような綺麗なホールが目の前に広がった。
「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉ――――!!!」」」」」
俺達はその外とのギャップに驚きながらも感動して次々に皆が中に押し入り、重たかった荷物を下ろしてそれぞれがバラバラに拠点内部を探索する。ホール部分は俺達16人全員がいても十分に動けるほどに広々としており、壁も一面真っ白で綺麗なフロアマットが敷いてある。質素ながらもオシャレだ。他の部屋は俺達の要望が盛り込まれた部屋がちゃんとあり、何かをやるためにお願いしただだっ広いだけの仕事部屋もしっかりとつけてもらえた。さらに別棟には今いる全員以上の社宅ならぬ騎士団宅までついている。二人一部屋で男女それぞれで15部屋…60人も泊まることが出来る設計になっている!?まさかそんな俺達がそんな規模の騎士団になると思っての準備だと思うと…身が引き締まる思いだ。
とはいえ今はまだ一人一部屋でも余るくらいだから全員自室を選んで荷物を置いてくる。そして一通り拠点を楽しんだ後…俺達は食堂に集まった。食堂はなんとちょっとしたパーティーの飾りつけが備わっていて、冷蔵庫のような貯蓄箱の中にちょっとした食事と飲み物が準備してあったのだ。ここまで準備してくれたなんて…改めて講習所の教官達にお礼をするとして、今はパーティーだ!早速みんなで食事を並べて全員集合する。
「えー僭越ながら勝手に進行役をやらせていただきますコノハでございまーす。それではこれより…我らが団長であるミナヅキ君に挨拶を!」
勝手にしゃべりだしたコノハの言葉に皆が耳を傾け、そしてひゅーひゅーと煽り盛り上げる。俺はウルヴァとトレイスに背中を押されてみんなの前に立つ。その全員の視線が俺に向けられると、これまでに感じたことのない重圧の様なものが心臓を押しつぶそうとして、背中に、手に汗がじんわりと滲む。だがグッと堪え、一呼吸いれて、ゆっくりと口を開く。
「えっと…まずはみんな、合宿お疲れ様!みんながどんな思いで叙爵しに来たのかはそれぞれ違うかもしれないが、今こうやって俺達がここにいるのは同じ思い、そしてあの合宿に集まった不思議な縁で今ここに俺達の騎士団が結成することが出来た。俺はまだまだ団長だなんて肩書き…似合わないかもしれないけど、みんなと一緒なら頑張れる。だから、えっと…とりあえず今日はぱーっとやってこれから頑張ろう!!それじゃ…かんぱーい!!」
かんぱーい、の掛声の後に俺の声だけが響いていた食堂が一気に騒がしくなった。食事は俺達がいつ食べるか分からないためあまり痛みにくいちょっとした肉や魚のジャーキーにチーズ、野菜の酢漬けピクルス、日持ちパンと料理というよりつまみに近いもので全員が満腹になるというわけではなさそうだが、それでも初日のパーティーでみんなでわいわいやるにはぴったりだったかもしれない。
「ねぇ、フィラーレ様。せっかくの騎士団新設パーティーにしては少し地味では?もっとパーッと煌びやかにやれなかったのかしら?」
「あのねぇカトレナ…そんなお金一体誰が出すのよ。まぁ次の機会では煌びやかなパーティーするためにも、もっと頑張って稼いできてね♪」
「はいダーリン♪あーん…」
「…んっ、ありがとうハニー」
「くそぅ…マアダさんとイヴさんは相変わらずだな。あー、俺も彼女欲しいな~」
「安心しろウルヴァ、俺達騎士団が大活躍すれば箱人気で俺達にもチャンスが巡ってくるかもしれねーだろ」
「随分楽観的な作戦だなドレイク殿。…それよりもドロフィー殿って、あれはフリーという事でよろしいですか?」
「おい抜け駆けのつもりかツヅリ!」
「ならばホタルにアタックして来いよ」「いやコノハはどうだ」「カトレナ嬢は」
「…全く、あの三人は…ドロフィー、あの三人には注意してくださいね」
「よぉコノハにドロフィー、折角のパーティなんだし初めての酒行ってみねーか?」
「「「おいビヨンド!!てめぇ何抜け駆けしてやがる△Ш∇¶〒Д$>◇◎‱η
「お前ら、今夜暇だろ。いい店連れてってやるぞ、来るか?」
「「「お供しますぜビヨンドの兄貴ぃ!!!」」」
「ドロフィー、ビヨンドは再警戒危険人物ですよ」
「…ホタル、せっかくみんなで食べてる時にガキしか読まねーような本読むなよ。つか本が汚れるだろ」
「でも、トレイスだって」
「…ん?あ、たしかにそーだよな。悪いなキヨミツ」
「お前…飯食いながら解剖書なんてよく読めるな…」
みんなが思い思いわいわい喋って楽しくしていると、バーケニーが歩み寄ってきた。
「異界…いえ、ミナヅキ騎士団長。今後の方針についての相談ですが…」
「あぁ、俺もあいつを交えてその話をしたかったんだ」
「…あいつ?」
バーケニーが不思議そうに思いながら俺の後をついてくると、俺達はみんなでわいわいしている中で一人距離を離しているラセツの近くにやってきた。
「…なんのようだ?」
「用はいろいろあるけど、まずはやっぱりお礼かな。ラセツさん達4人が加わってくれなかったら俺達は騎士団として動き出せなかった。ありがとう」
「…それで」
「コノハにちょっと調べてもらったけど、ラセツさん達は叙爵後は実家に帰らないといけなかったんですよね?どうしてここに入ってくれたのですか?ここに入ってでもやりたいことがあったのでしょうか?」
「大した理由ではない。お前に負けたからだ」
「…それだけ!?」
「あぁ、お前に負けたままでおめおめ帰れば力不足の恥知らずと言われるのが目に見えている。ならばここで腕を磨き、団長に勝った暁には家に帰ることにすることにした。だから出来れば俺としては腕を磨く活動をしたい」
「ラセツ様の方針計画は既に聞いており、こちらのとりあえずの活動方針に合わせております」
「そ、そっか…ありがとうバーケニーさん。ラセツさんも改めてよろしく」
なんだかどこか腑に落ちないもののバーケニーさんがそういうからにはラセツさんの意志を汲んでいるから大丈夫だろう…そう思うことにした。がバーケニーが俺の服の袖を持って食堂から出るように誘導する。
「な、な、何?」
「…ラセツ様のお言葉に一つ付け足すことがございます。実力が充分になればこの騎士団を抜ける意思をラセツ様から既に聞いております」
「う、うん…それは残念だけど…」
「騎士団維持のためには補充メンバーを入れ16人以上を維持しないといけません」
「…そりゃそうか、そっか…4人も抜けるんだし、大々的に募集しないとか」
「…一人です」
「え?」
「キヨミツ、ツヅリ、ホタルの3人は騎士団に残し、ラセツ様一人で騎士団を抜けると言っているのです」
「え…ええぶぼっ」
俺が驚く声をバーケニーが手で押さえる。俺達の声はみんなが騒いでいる食堂には聞こえていないようだった。
「…勿論三人にはそのことはお伝えしていません。…どうか、ラセツ様の事はしっかりと考え、そして今後この騎士団はどうするか考えておいてください」
「ど、どうして、ラセツは」
「…さぁ、それ以上は何も分かりません。それも団長である貴方が今後頑張って聞き出してみてはいかがですか?それでは」
そう言い残しバーケニーは食堂に戻っていった。なんとか結成した騎士団は期待以上にまだまだ多くの課題があることがのちのちさらに判明していくことになるのだが…今は新たなる門出をみんなで笑って祝っている。そんな楽しい時間が少しでも長く続きつつ、俺達の仲間との合宿生活は騎士団生活として形を変えこれからも長く永く続くと…今は信じるしかなかったのだ。
本投稿を読んでいただきありがとうございます。SKMRでサキモリと申します。
長かった、ようやく終わった義勇兵爵合宿編、言ってしまえばここでようやく作品としての「プロローグ部分」がようやく終わって、ここからが本ストーリーとなります。皆さまここまで長々とお付き合いいただきましたが、ここからがもっともっと長い本編の始まりと考えています。
特にここまではミナヅキを中心とした物語で書いてきましたが、今後はミナヅキ達以外もガンガン書いていく予定であり、聖ルーマルコーランド帝国を中心に、ティストレイ連邦との戦争、ホーブへプンとの関係、グレート・ウィンチェストローズとの冷戦…そしてまだ見ぬ国家やオズランド帝国との結末などを描きつつ12の王証を巡る物語を描いていけたらなと…そんな風に夢見ていますが自分の技量でどこまでやれるか分かりませんが、頑張っていきますので応援よろしくお願いします!!!
また今回も誤字脱字、文章構成などまだまだ課題がありますのでよかったらアドバイスなどしていただければ幸いです。
次回は11/8に、Episode6のEx編を投稿予定です。もし少しでも面白かった、続きが待ち遠しいと思えたら嬉しいです。次回もよろしくお願いします。




