Episode5Ex 対決、1組対3組の集団模擬戦闘訓練——— 番外編
講習施設宿泊棟、それは義勇兵爵になるために合宿に参加したメンバー達が寝食を共にする施設。兵爵において最も重要なこと、それは同じ兵爵同士での共同生活が出来るだけの最低限の人格形成の確認と、報連相の元同じ生活をしているメンバーとの正しい情報伝達が出来るかという練習をするためでもある。とは言っても軍隊のような厳しいものでなく、ただ同じ部屋で生活し、同じ一つの宿泊棟でコミュニティを形成する。それだけであり消灯時間などの多少の最低限度の規則はあるが基本的には自由そのものだ。
宿泊棟は主に3階層構成となっており、1階が男性用宿泊空間、2階が食堂兼談話室、その他様々な部屋があり、3階が女性用宿泊空間となっている。宿泊空間は1部屋が4人まで宿泊できる部屋が1階は20部屋、3階は15部屋あり、トイレと洗面室が一部屋として別についている。1階は大きな風呂が1部屋としてあり3階は各部屋に1~2人が入れる程度の風呂がついている。そして女性と男性で入口は異なり、女性入り口側にだけエレベーターのような移動機器が備わっているのだ。ちなみに男性側は2階にのみいける階段があるがエスカレーターの様なものはない。当然だが女性は1階には入れないし、男性が3階に近寄ろうとしたりすれば容赦なくシバかれるのだ。だが毎回シバかれる講習生は出ているという話だ…。なので当たり前ではあるが男性側は3階がどんな風になっているかなどは当然分からないのだ。
「「というわけで~」」
「コノハと」
「ラフィラの~」
「「突撃、何処が汚部屋でShow~!!」」
コノハとラフィラの声が3階廊下で響き渡る。
「いやぁー、かれこれこの合宿生活も1/3が終わったという事で、そろそろいい感じに汚部屋が出来てきたんじゃないでしょうか。今回進行を務めさせていただきますコノハと!」
「解説役のラフィラで、おとどけしまーす。…おとどけ?」
「はいぃ、今回全部屋を回りまして、どこが一番汚い部屋だったかを記事にして!出来れば一階に掲載したかったのですが、なくなく二階に掲載しようかと」
「あー、男性方にどこが汚いのか知られるという事ですね~というか私解説できるような事何も言えないよ?」
「細かい事は気にせず、私一人では寂しいじゃないですか。まぁ解説としてはラフィラ殿には是非帝都学童院時代ご一緒だった人の話があれば~」
「うーん、ピンポイント…つまり期待はしてないってわけか」
「まぁまぁ、合いの手打ってくれるだけでも助かるので。それでは張り切っていきましょー!!まずは…3-1からぁ!!」
「えっ、私達の部屋から!?…なのはそっかぁ、当然かぁ…」
なんだか自分から勝手にしょぼくれているラフィラをよそに、コノハは勢いよく1組Cグループの4人が生活している3-1の部屋の扉を開ける。そこには…荒れに荒れ放題になっているまさに汚部屋と言わざるを得ない光景が広がっていた。
「お…およよ…、しょっぱなから優勝候補が来ましたね…」
「いやぁ…お恥ずかしい限りで…」
足元には鞄やら書類、飲みかけのジュースが散乱しまさに足の踏み場もない状態、ベッドの淵には脱ぎっぱなしの服。雑誌やらグッズなどがベッドを占拠していた。
「え、なになに?ラフィラちゃんだけじゃないの?」
ベッドの陰になっている奥に置かれた机からひょっこりと顔を出したのは女性陣の中でも一際体躯の大きめで翡翠のような色をしたウェーブがかったストレートな髪をしているトリーダさんだ。にしてもなんだか顔が赤くて目がトロンとしているような…一応今は昼盛りな時間帯な上自室だけどまさか。
「ところでこれどうやって部屋の奥に行くのですか?」
「うーん、なんとかして歩いていく感じで」
そういいながら床に転がっているものを踏んだり蹴ったりして右に左にうろうろしながら奥まで進む。ちなみにだが部屋の中で飛ぼうとすればタンスやベッドの角に翼をぶつけて暫く悶絶するから飛びたくはないのだ。というか単純に部屋で飛ぶには狭いのである。それと魔法や魔道具でふわっと浮いて移動すればいいかと思うかもしれないが、過去に無断で室内での魔法使用した講習生が家具や窓を壊したせいで魔法や魔道具の使用禁止令が出されているのだ。
奥も足場が少ないのは分かっていたとはいえ、机の上も案の定化粧品や書類の山で埋め尽くされている。そしてトリーダさんの机にはやっぱりというか、お酒の缶が置いてあった。コノハは即座にこの一連の様子をメモに書き残し、持ってきたカメラのような機器で部屋の様子を写真に残す。
「おーおーおー。いーですねー、イー感じですよ。是非とも残りの2人にも感想聞きたかったですが…今はカリキュラム中かな?」
「えっ、えっ、なになに?どゆこと?」
「みんなの部屋を記事にして男性に見せびらかすんだって」
「えーちょっと~、そんな急に、恥ずかしいからやめてよ~」
「いやいや、まさに優勝候補の貫禄感じますよ。というかこんな状態他の2人はどうしているんですか?」
「バーケニーさんはいつも資料室に籠ってて、寝るときくらいしか帰ってこないし、イレイザさんは…その…申し訳ない気持ちでいっぱいだけど、慣れさせちゃったというか、でもちゃんと一緒に掃除とかはしているというか…週一くらいだけど…というか私のとこはもういいでしょ!」
ラフィラがもごもごしながら答えるのをコノハが熱心にメモを取る。耐えかねたラフィラがコノハを押して部屋から追い出す。
「ほ、ほら、それならコノハの方の部屋見せてよ!!私のとこと同じくらい汚部屋であってくれっ!!」
ラフィラがそう願いながら1組AグループのイヴとDグループのコノハとドロフィーの3人が生活している1-2の扉が開かれる。そこには…ちゃんと荷物が整理整頓され掃除もしっかりしている綺麗な部屋があった。そして急に扉が開き驚いて固まってしまったドロフィーもそこにはいた。その様子を見たラフィラは愕然と膝をついたのだ。
「およよよよ~、残念でしたねラフィラ殿~。あ、ちなみに聞きそびれていましたがあの汚部屋の匠はラフィラ殿とトリーダ殿のお二人って事でよろしかったですかね?」
「うぅ…くそぅ…、たかが部屋が綺麗ってだけなのに…別に部屋なんかどうでもいいしぃー!!」
悔しがるラフィラを見ながらニマニマ見つめるコノハ。その様子に困惑するドロフィー…そんな状況下で部屋に入ってきたのは同室のイヴだった。
「…え、何この状況?」
「いやー、実はかくかくトナカイで」
「ふぅーん、汚部屋ねぇ…まぁ私達の部屋ってそっちと違って3人しかいないから、ベッドや机一つ分物置スペースに使ってるから、かしら?」
「っそ、それだ!私達は4人も一緒にいるんだから、仕方ないんですよ!」
「いやそれにしても多分もう少し整理整頓は出来ると思いますよ。バーケニーさんなんか殆ど部屋を使ってないようなものみたいな話でしたし」
「う゛っっ…」
結局言い負かされてまた崩れ落ちるラフィラ。そんなラフィラの横を通り抜けてドロフィーと一緒に奥の机に向かうイヴ。そして崩れ落ちたラフィラを引きずって部屋を出るコノハ。
「さてラフィラ殿、ある意味この二つの部屋は私達の部屋だったから知ってた部分がありましたが…ここからが本番ですよ。まずは2組Bグループの帝都お嬢様部屋になります…」
「…頼む!汚部屋来いっ!!」
ラフィラがパンパンと手を叩いて神頼みしている横でコノハが2組Bグループの4人が生活している3-3の扉に手をかける。そしてゆっくりと扉を開く…。そこには、なんと部屋の隅々まで天井からの淡い紫ピンクのような色のドレープで彩られ、棚やベッドには白い飾り布がかけられさらに各ベッドにはお洒落な間切りカーテンまでついており、お洒落なライトスタンド、机にもテーブルクロスがつけられているなど…まさにお嬢様な特別な空間がそこに拡がっていたのだ。
「あら、何か御用で?」
そんな絢爛な部屋で優雅にお茶とケーキを楽しんでいたのはピンクなツインテールに綺麗というより可愛らしい感じの水色のドレスを着た2組Bグループのレイフェルだった。
「あ、えあ、あの…お、お久しぶりですレイフェルさん…学童院ぶり…、今は1人だけ?」
「…何言ってますの?組は違えどここに来てひと月以上も経過して今更お久しぶりもないでしょう?毎日何かしらは話してるではありませんか。まぁでも私達の部屋に来るなんて珍しいですわね。…あ、セレイアたちは今二人を連れて講習所外でお買い物中ですわよ」
「いやー実はですね、かぼすっ!?」
「あ、あ、じ、実は…みんなのお部屋を、見せてほしいなって、コノハが!」
咄嗟にコノハの口を塞いでラフィラが会話に割り込む。コノハはもがもがしながらラフィラを振り払おうとするのをレイフェルが不思議そうに眺める。
「…ま、まぁ。別に荒らしたりしなければ好きに見ていってくださって結構ですわよ…?」
「ありがとうレイフェル、それにしてもお洒落な装飾だねこれ」
「えぇ、この講習合宿が始まる前にヴェリパドキノヴォのバザールに行って、そこでこのドレープを見かけすごく気に入ったのでセレイア様がよければと思い持ってきたのですが、そしたらセレイア様ってばこのドレープにピッタリなカラーのライトスタンドを選んで持ってきてくださったのです。それから二人で少しずつこの部屋の彩りの方向性を相談しながら飾っていったのです。とは言ってもたった100日間だけ借りている部屋なのにこんなにも飾る必要なんてないとは分かっているのですが…やっぱりおかしいですよね」
「そそそ、そんなことないよレイフェル!!すっごい素敵!!わたしそんけいしちゃう…ワタシソンケイシチャウ…」
「ありがとうございます!ふふっ、ラフィラも共感してくださるなんて…グラシアスやセビアンの2人にも最初は居苦しい思いをさせてしまってはいないだろうかと思ったのですが、とても落ち着ける、安らぐ空間だと言ってくださいました。やっぱりこういう事も決して無駄ではないですよね」
「ウン…ゼンゼンムダジャナイ…トテモスバラシイ…スゴイ…ウラヤマシイナー」
「…ラフィラ様?なんだかやっぱりおかしいですわよ?…そうだ、せっかくですし私もラフィラ様のお部屋を」
「あーーーっ!!!コノハ!!そそそそろそろ次のお部屋見に行かないと時間足りなくなっちゃうよ!!ごめんねレイフェル!もっとこの部屋堪能したかったけど!ちょっと私達他の部屋も見に行くつもりだったんだっけ!?わ、私の部屋はまた今度紹介するね!!!それじゃあ!!!」
まるで捲し立てるように騒ぎながらコノハを抱え出ていくラフィラ、それをただ茫然と見ている事しか出来なかったレイフェルがぽつんと残されたのだ。ばたりと扉を閉めた後そこにはまた地に這いつくばるラフィラであった。
「そっか…そうだよね…貴爵の女の子って、普通あれくらいキラキラしてるもんだよね…汚部屋のベッドの上でチップス菓子食べながらアイドル雑誌読んでる貴爵とか、ありえないよね…」
「…あー、元気出してくだせーや。いや別にそーゆーのもいいじゃないですか、きっとここにいる誰か一人くらい同じようにしてる貴爵いますって多分…」
ラフィラの肩をぽんと叩き慰める。はたして今後ラフィラみたいな貴爵がいるのか…そして3-1を超える汚部屋は見つかるのか…そんな淡い願いを持って二人は2組AグループのプラノとDグループのアンジュとシルヴィアの3人が生活している3-4の扉を開く…すると突如部屋の中から異様なにおい…というかもはや悪臭に近い何かが二人の鼻をツンと突きさす。それはまるで酸っぱいような、汗とも制汗スプレーとも違うキツイ匂いに、それにさらに汚水とも違う下水のような臭いがむあんっと臭ってきたのだ…。二人は即座に顔を手で覆い鼻をつまむ。
「くっさぁ!!?な、何この匂い…」
「3-4ということは…スポーツ騎士団希望の2人がいますので…」
「ちょ、なになに?コノハに…ラフィラ?」
部屋の中は殆どが箱という箱に埋め尽くされており、3-1と同じくらい足の踏み場もないような状態。だがそれ以上にこんな悪臭の奥からピンクと白の縞々部屋着を着た、虎柄尻尾を生やした体中から虎柄の毛が生えている人の顔をした少女である虎系獣人種のシルヴィアと、黒いワンピースの様なものを着た、体の各部に深紅の鱗がついた赤い翼に爬虫類のような尻尾、二本の角を生やしたような人型女性である飛龍系龍人種のプラノが様子を見にやってきたのだ。
「ひやぁ…実はかくかくムフロンで…」
「汚部屋、ねぇ…まぁ私達の部屋も汚部屋と言えば、汚部屋かな…?」
「ひょれよりも…こんなにも臭くて、よく居れますね…」
「いやぁ…ちょっと色んな匂いが溜まりにたまって、壁にしみついちゃったみたいで…あ、奥も見てく?」
プラノの誘いに二人は全力で嫌な顔をしつつ、鼻を抑えたまま奥に嫌々ながら入っていく。足元にはたくさんの箱が置かれているが、足をつける場所は小物が転がっている3-1よりかはましだった。置かれた箱の中身は大量のスポーツタオルや清涼飲料水、スポーツ雑誌やよく分からない工具の様なものが詰まった箱などが置かれていた。ちなみに窓は全開に開けているのにこの匂いなのである…。
「ホントに…なんでこんな臭いんですか?」
「話せばながくなる…こともないんだけど、私とアンジュのDグループの2人はカリキュラム外でもやたら運動するから冬でも汗一杯かくんだよね…それを制汗スプレーで服の上から匂い消しするんだけど、いちいち洗濯するのめんどくさいじゃん。だからその汗と制汗スプレーが混ざった服をまとめて洗濯するために溜め込んじゃってたら…匂いが壁に移っちゃって」
「わ、私は…その…任意カリキュラムにゴラグーンの飼育を選んでて…その軍用ゴラグーンのその、獣臭って言うのとか…その、フンの匂いが…しみついてて、あっ作業服とか長靴とかは持ち込んだりとかはしてないよ!!」
「はぁぁ…なるほろぉ…」
「コノハ…もういいんじゃない?早く出ようよ」
鼻を抑えたままのラフィラに押されとりあえず写真だけ取ってそのまま退散する二人。一度二人で3-2まで戻り窓の外の空気をめいっぱいに吸う。
「ふぅ…ホントにやばかった…」
「いや~、なかなかいいお相手でしたね。これはいい勝負になりそうな予感」
「…もしかして、私の部屋も、…臭う?」
「まぁ、ほんのりと」
またもラフィラが自分の部屋の置かれている状況でしんみりしながらも、呼吸を整えて3組Aグループのホタル、Bグループのフィラーレとアルフィー、Dグループのカトレナの4人が生活している3-5の部屋の前へと向かっていく。
「いやーラフィラ殿、ここに来てなんですが実は私の中では、優勝予想はこの部屋なんですよ」
「優勝予想!?優勝予想って事はつまり一番の汚部屋って予想だよね!!でもでも、3-5って貴爵が多い部屋だよね!?私よりもやばい貴爵いるって事!!」
そう聞いた途端ラフィラは急に元気になりだしてうっきうきで色々と質問をコノハに投げかける。
「いやー、まさにその通りでして…貴爵ではないですが色々と噂の多く、その中でも掃除をしないという話もあるカトレナ嬢に、我儘で惰性的なフィラーレ嬢。この二人が汚部屋を作っていると私はふんでいます。というか実際3組の女性部屋の実情を調べたく1組汚部屋代表のラフィラ殿にも見ていただこうと思いまして声をかけた次第なのです」
「はぇ~、あとでお前の部屋を素敵な汚部屋に替えてやる」
そんなこんなでコノハがゆっくりと3-5の扉に手をかける。
「では参りますよ…これが、我儘令嬢方による、素敵なお部屋ですっどうぞーっ!!」
「汚部屋来いっ、汚部屋来いっ、汚部屋来いぃっっっ!!!」
勢いよく開かれた扉の中にあった光景は———…、3-3程ではないにしても家具には飾り布がかけられ綺麗なお洒落グッズがちりばめられ、床には綺麗な薄いカーペットが引かれ、比較的可愛いよりなデザインがされた部屋だったのだ。その可愛い部屋の内装を見た二人はまさに期待を裏切られたとばかりに唖然としていた。
「…あら?誰ですの、いきなり部屋の扉を開けて…何様のつもりですの?」
部屋の中央にはまるで庭に使うような可愛らしいデザインの丸いテーブルにフルーツやケーキの乗った台座、紅茶のティーセットが置かれており、その机に向かって座っているドレス姿に紫色の髪をロールした、ここが宿泊部屋でなければまさにお茶を嗜むお嬢様という風貌のエルフ系精人種のカトレナがそこにはいたのだ。
「あー、えっと私達…実はかくかくガゼルガゼルでして…」
「…汚部屋?どうしてそんな汚い部屋で過ごさなければならないのですの?」
コノハの説明を聞いてもピンとこないカトレナの放った言葉が深くラフィラに突き刺さる。完全ノックダウンしているラフィラをよそにコノハがカトレナに詰め寄る。
「しかし驚きですね…カトレナ嬢がこんなにもしっかり掃除を徹底するとは、聞いていた噂と違いますね」
「あら、わたくし掃除なんかしたくないのでしてませんわよ」
「…へ?あ、あぁ…他のメンバーにおしつk…任せているってわけですね」
「そうだな。だいたい私とホタルの2人でやってる。一応フィラーレも嫌々ながらもやってくれはするんだが…」
会話に割り込んできたのはベッドで雑誌を読んでくつろいでいたワンピースのようなランジェリーのような部屋着を着たアルフィーだった。
「カトレナってば掃除全然してくれないからね…だけど二つだけルールを守ってくれてるからまーとりあえず許すことにしてるの」
「二つ…ですか?」
「ひとーつ、ゴミになるようなものは部屋に持ち込まない。やたらと溜まる荷物を持ち込まない事~。ほっとくとよく分からないもの買ってきてどんどん部屋が物だらけになるから、そういうのを買わせない、部屋に持ってこさせなければそれだけでも十分部屋はスッキリするからね」
「ということですってラフィラ殿」
「ふたーつ、家具や床の上にカバーとなる布を敷くこと。これだけでも床汚れや埃とか布を交換するだけで幾分か綺麗になるから掃除をする量が減る。取り替えるのはカトレナの仕事にしてるの」
「えぇ、このわたくしがみんなのために、1週間に1回か2回その日の気分とか占いで出た色や柄に取り替えてあげてるのですわ」
「いや、それでもあんた未提出の書類溜め込んで山積みにしてるの、そろそろなんとかしたらどうなのよ」
なるほどとメモを取るコノハとラフィラ、さらに自慢げに今飾っている飾り布について語っているカトレナをよそに部屋の写真を撮影し終わると話の途中でしょと叫ぶカトレナをよそに部屋から出て行った。そして扉が閉まり終わると…ラフィラは徐にコノハのメモ帳に手を伸ばした。
「コノハ、この企画は打ち切りにしよう。今ならまだ間に合う」
「いやいや~、ここまで来たらもうやり遂げないと」
「私はコノハの事友達だと思っていたけど、残念だよ。ここで永久の別れとなるなんて」
「およよ、もろちんズットモですよ。マヴですよ。心の友ですよ~」
なんてふざけながらコノハの足は3-6へと向かって歩く。ラフィラはそんなコノハの進行を妨げようとする。
「まだ諦めるのは早いですよ。とは言ってもあのきらっきらに輝いている演劇騎士団に入団希望の3人が所属する3組Cグループですけど、よごれーとか、けがれーとかと縁のなさそうな4人の部屋ですが、一縷の望みにかけて、一緒に行きましょうよ~」
「やだーっ!現実見たく無―い!!汚部屋帰る~。お前のカメラぶっ壊して帰る~」
駄々をこねるラフィラを無理やり連れて3組Cグループの4人が生活している3-6の扉の前に行き扉を開く。だがまたも驚くことに、その中は…3-1をはるかに凌駕するほど…と言っていいのか、なんとデカい荷物?が置いてあったり物が上方向へと積まれていたりと床だけでなく完全に空間を圧迫してもはや汚部屋と呼ぶより物置小屋や、もうゴミ屋敷といって差し支えないレベルだったのだ!!
「「………おわぁ…」」
あまりの想像との乖離に唖然とする二人、すると奥から黒髪ショートで、まるで少女漫画に出てくる美男子ともとれるような見た目のローズが細身な身体で荷物の隙間をくぐりながらやってきた。
「あはは…こんなお恥ずかしいところを見られてしまうなんて、何か御用かなお嬢さん方」
「あー……えっと、今みんなのお部屋を順番に見て回っているのだけど…」
「最後にここを見に来たってわけか。やれやれ、そんなことならちゃんと見せられるようにしておくべきだったな」
まるで演技のような反応を見せながら、一応入口までで中を軽く案内見せてくれた…が、中は本当に足の踏み場もないくらいに物が散乱し、まるで芝居に使うかのような衣装が物の上に掛かっているが少し埃被っているようにも見える。なにより芝居で使うような小道具が押し込まれた箱やステージセットのようなものが乱雑に部屋の中に突っ込まれている。しかも化粧や髪のセットに使う道具も雑に箱に押し込まれているなど…とにかくありとあらゆる、多分演劇に使う「つもりだった」が詰め込まれていた。まさにさっきアルフィーが言っていた溜まる荷物を持ち込まない、埃が被らないように布を被せておく、がしてない部屋だ。いや衣装に埃がのってるからその布の下は埃がついていないだろう。せっかくの衣装が埃まみれだから本末転倒だろう…
「見ての通り、これでは楽屋どころかステージ用倉庫だろう。なるべくみんなには見せないようにしていたのだけど…今度談話室の一角を使って人芝居するんだけど、こんなところで生活しているって思われながら僕らの芝居をみんなが見ると雑念がでちゃうだろう。だから出来れば黙っててくれないかな?」
「…どうする、コノハ?」
「うーん…仕方ないですねぇ」
「ありがとう、それと今回みられたことは3人にも黙っててくれないかな?みんな今回のこと知ったら悲しんじゃうと思うからね。勿論内緒にしてくれたら二人にはみんなには秘密で些細ながらもお礼をするよ」
そういいながら賺した様子でウインクをするローズ、2人はそれぞれ何か別々の思うことがあるからか少々苦笑いしながら了承する。そして軽く挨拶をしながら扉をそっと閉める。
ラフィラ、無言のガッツポーズ!静かなる勝利の確信はそれはそれは先ほどの苦笑いとはうって変わって満面の笑み。1組Cグループの平和は自分がつかみ取ったと言わんばかりの晴れやかさだった。そしてそんなラフィラの横でまるで勝負に負けたかのような残念そうな顔…しわくちゃになったコノハが突っ立っていた。こうしてコノハとラフィラの突撃、何処が汚部屋でShowは没案という形で幕を閉じるのであった…。その後日3-1の汚部屋はラフィラの扇動の元徹底的に綺麗に掃除され、飾り布で生まれ変わったお部屋は無事レイフェルをお迎えすることが出来たというのはまた別のお話…。
…———…
…てな感じで、女性陣の部屋を全部巡ったのですがどの部屋も綺麗でしたよ。旦那方の部屋とか、男性陣の部屋はどうですか?」
「あー…みんな掃除はしてるはずなんだが、だいたいどの部屋もきたねぇよな。ゴミはないけど、なにかしら物は床置きしてる」
「あと俺らの部屋さぁ、焼肉パーティしてから焼肉とにんにくの匂いがカーテンに染み付いたよな」
「他のとこだと酒臭いとこもあるし、空の酒瓶並べてるとこあるよな」
「「「すげーな、女性の生活空間って」」」
コノハの何気ない嘘が、ミナヅキ達男性陣に幻想を見せてしまったのもまた別の話である…
本投稿を読んでいただきありがとうございます。SKMRでサキモリと申します。
前回は書きたい内容を重視したという感じで1話分丸ごと後回しで1か月かかってようやく書いて投稿をしましたが、今回は書きたいストーリーで中身があるんだかないんだかって感じで書き進めたらだいたい3日くらいで書き終えてしまいました。やっぱりプロットの下地の元ストーリーがある程度こうだって決めて書き進めるとすんなりかけちゃうものなんだなって
それと投稿頻度と言いますか、今後についてですが、以前までと同じように毎週土曜投稿に戻す予定です。ただし投稿時間は19時のままを頑張って継続していきたいと思いますので、引き続き応援よろしくお願いします。
また今回も誤字脱字、文章構成などまだまだ課題がありますのでよかったらアドバイスなどしていただければ幸いです。
次回は10/18に、Episode7の前編を投稿予定です。もし少しでも面白かった、続きが待ち遠しいと思えたら嬉しいです。次回もよろしくお願いします。




