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Episode5 対決、1組対3組の集団模擬戦闘訓練——— 中編

 次に対戦相手である3組についてだが…別の意味での問題なのが二つある。


Aグループ、早速頭を悩ませることにこのグループ、戦闘訓練カリキュラムには殆ど参加せず、参加した時の話では…実力が圧倒的に高く、全グループで一番強いのではないかと言われている…。ちなみに四人ともスンボリから来ているとの事


『ラセツ』、鬼人種のストライダー、武器は金棒を使用するとの事…だがこいつが戦ったところは一度も見ていないため実力は一切不明

『キヨミツ』、ヤマトエルフ系という綺麗な黒髪の精人種のクラージー、武器は妙なお札を使った魔法との事

『ツヅリ』、鬼人種のサポーター、武器は和弓、後衛からによる狙撃は一級品らしい

『ホタル』、鬼人種のグラップラー、武器は苦無やら手裏剣と言った暗器武器を使い、忍者みたいな戦い方をする


 正直実力派揃いでずるいかもしれないが、義勇兵爵になるためには戦闘能力が必須でないためこういうすごく強いグループがあるのは仕方のない事…とはいえ負けられない理由が出来た以上なんとかしなくちゃいけない悩みの種だ。


Bグループ、四人全員が貿易都市『ヴェリパドキノヴォ』から来たグループとの事、アルフィーとフィラーレはあのカトレナと一緒にドロフィーを囲んだ時の連れの二人だ。


『ビヨンド』兎系獣人種のグラップラー、武器はクラブだが強靭な足腰による蹴りも注意が必要。

『バカラ』馬系獣人種のストライダー、武器は甲手や脛当てなどによる格闘技

『アルフィー』シャドーエルフ系精人種のストライダー、武器は鞭だが蹴りによる戦闘も得意とする。呪、水、風の魔法も駆使する。

『フィラーレ』蝶系虫人種のクラージー、武器はブレスレッドタイプの魔具、翅を駆使して上空からの風魔法を得意としている。


 Aグループに劣るとはいえかなりの実力揃いだが、グループとしてはそれぞれが勝手に戦い連携らしい連携などは特に行わない自由な戦い方をする。厄介ではあるもののうまく各個撃破出来ればAグループよりかは全然勝機はある…と思いたい。


Cグループ、プリミランテのみ帝都からで、それ以外の三人は農業都市『アンダルハーグ』からグループで構成されている。


『プリミランテ』祖人種のクラージー、武器は杖

『ソフィア』エルフ系精人種のサポーター、武器は剣に盾

『ローズ』祖人種のストライダー、武器はレイピア

『ルーレン』翼人種のグラップラー、武器は長い両手持ちのポール


 こちらも一組のCグループ同様に女性だけのグループになっているが、彼女たちは全員戦闘に関しては全くという感じだ。なにせこのグループはルーレンを除く三人が演劇騎士団に入団希望、ルーレンも戦いには一切興味がないという3組の癒し枠となっている。参加しなくちゃならないから参加するだけで殆ど後ろで見てるだけだと思う。まぁ考えなくて大丈夫だろう


 そしてDグループ、噂の多いリューゼルトが帝都、カトレナはリーナリアの村の領爵主の娘…それ以外の三人は城塞都市『ムルフィルテンジュ』からの参加の計五人だ。


『リューゼルト』祖人種のグラップラー、武器は大剣、グラップラーらしく隙を見て一気に突撃して強力な一撃を叩き込むのが役割らしい。

『カトレナ』エルフ系精人種のストライダー、武器は杖…みたいだ。ストライダーの杖は見なくもないみたいだが…まぁメンバー的にも後衛役が欲しかったからかもしれない。

『フリッド』祖人種のストライダー、武器はメイスと盾、分かりやすい前衛盾だ。

『レンド』祖人種のストライダー、武器はポールハンマー、こちらも前衛盾

『ツィーレ』家禽系翼人種のグラップラー、武器はパイル…いわゆる片手で持つ短く重い突撃槍。そして盾だ。家禽系翼人種特有の蹴爪のある鳥の脚で突撃するらしい。


 この五人は実力こそ申し分はないメンバーで構成しているのだが、実はA

グループとは別の問題があり…まぁこのグループに関しては一旦スルーする。

 これで一応1組と3組全グループを纏めてみた。比べてみるともしかしたら悲観するほどの戦力差ではない気がしてきた。俺達の中にも戦えないメンバーがいるのと同じように3組もCグループがまるっと非戦闘グループだ。しかも3組Aグループは戦闘訓練にはあまり乗り気ではないという。なら警戒するべきはBグループとDグループ…そのため俺達もBグループにはBグループを、DグループにはDグループを合わせ、AグループとCグループは敵の動きに合わせ対応するという事前打ち合わせして…、訓練と再度計画の練り直しであっという間に9日が過ぎていってしまった…


 そして、来たる模擬集団戦闘訓練当日…、本日は快晴。ここ数日雨も降ってないため戦いの場となる講習場のグラウンドの状態は問題なし。気温はこの季節では比較的暖かくまさに戦うにはもってこいな状態だ。模擬集団戦闘訓練のフィールドはサッカーや野球に丁度いいようなだだっ広く何もないグラウンドそのもの。しっかり踏み固められた砂で足元が取られたりする心配はない。

 俺達1組も、3組もお互い朝食はすっかり消化しきってて、多少の乱不調は見られるがお互いに欠員はいないと言った様子。俺達1組メンバーは再度打ち合わせしながらアップをして体を温める。ちらっと見た限りでは3組はそれぞれバラバラに準備していてあまり連携している様子が見られない。


「うー…、緊張してきた。てか集団戦闘がぶっつけ本番って怖すぎんだろ…」


「まぁこうして全員が集まって参加する行事って貴重だからな」


「それに手の内明かした後なら組関係なく好きに集団戦闘やってもいいんだしさ、やっぱこの一番最初だけは特別なんだよ」


「大丈夫さ、小さい戦闘訓練なら何度もやってきたんだ。なんとかなるだろ」


 思い思い喋りながらも最後まで準備を怠らない。そして刻一刻と訓練開始の時刻が迫る。9時45分、教官たちが集まり俺達も武器を手に、手首に戦闘不能測定器を付けグラウンドに集まる。俺達は事前にした打ち合わせ通りに陣形を組む。想定通り3組はDグループとBグループが前に並び、後ろにAグループとCグループが並んでいる。俺達も同じようにDグループ同士、Bグループ同士が向かい合うように並ぶ。俺達の前に並ぶ前衛のフリッド、レンド、ツィーレの三人は不安そうに視線をきょろきょろさせる。後衛に佇んでいるリューゼルトは何やら不機嫌そうで、対称にカトレナは随分と自信ありげにしている。


「どうやら、想定通りっぽいな」


「あぁ…だけど、気を付けろよ。この後がアドリブなんだから…」


 前を張るウルヴァが小声で声をかけてくる。そう、作戦通りなら…多分大丈夫なはずなのだ。そう何度も頭の中でのシュミレーションを確認して、そしていつの間にか14分が経過していたのだ…、そして今日はいつものカリキュラムとは異なり教官たちとともにやってきたイヴァン兵爵養成機関総監督長がお見えになっていたのである。


「えー…皆さん、今日という日のために各々が様々な才を磨いてきたものもいれば、今日という日をあまり望んでいなかった人もいたことでしょう。ですが気難しく考える必要などありません。この集団戦闘訓練はいつか来たるどうしようもない戦いのための備えというわけではなく、あくまで隣の友を、同じ組の仲間と共に一致団結しほんの少しの勇気を試す…いわば団体競技なのです。怒り憎しみ恐れあるものではなく、一喜一憂し楽しみ高め合うものなのです。すこしでも戦いを恐ろしいものととらえるのではなく、楽しかった思い出の一つにしていただければ…そう考えているのです。少々話が長くなってしまって申し訳ない…それではこれよりー…1組対3組による模擬戦闘訓練を開始する………———


   試合、開始ぃぃぃいい———っ!!!」


 うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!激しい怒号がお互いの組から飛び交いながら一気に二つの組が距離を詰めた。10m程離れていた最前線は一気にお互いの武器が当たるか当たらないかの距離まで縮まる。すると今度は一斉に後衛から詠唱が聞こえると両陣営から魔法が飛び交いそれを前衛が弾き飛ばした。そして今度は両陣営から…音楽が聞こえてきたのだった。

 1組Cグループのラフィラさん、彼女は事前の準備で1組に対する全体の強化をするという話だ。それがこの彼女の歌う聖歌による歌魔法だ。歌による魔法とは味方の基礎能力を底上げするだけでなく士気や雰囲気や調子、テンポも上げてくれる力があるのだ。スポーツでも応援歌があるようにいわばノリに乗ってるって状態だ。

 だがそれに対して3組Cグループのソフィアさん、ローズさん、プリミランテさんの三人は演劇騎士団希望とあって、三人分の歌だけでなく踊りも披露している。こういった声援の差というのは対立している陣営同士で雰囲気で気圧し気圧される状況となるのだ。つまりラフィラさんの歌魔法は三人の踊りと歌にかき消され雰囲気で圧されているのだ。


「うおおぉぉお!行くぜ行くぜいくぜぇ!!」


 雰囲気に後押しされ先に攻め手を打って出たのは3組にBグループだ。Bグループメンバー総出で1組に突撃してきたのを俺達は気圧されながら防ぐほかなかった。4人に対して俺達はAグループとBグループのイプロクスとホオズキ、そしてCグループのラフィラが歌いながらも対応に当たった。


「っへ、この程度か…大したことねぇなぁ!」


「ビヨンド、品のない戦い方はよせ…相手に失礼だろうが」


 体躯がデカく人相の悪そうな、まるで野獣とも思える兎系獣人種…ビヨンドがAグループのファイグルとカロア相手に蹴りを叩き込み、ビヨンドとは逆に気品ある馬系獣人種であるバカラがホオズキの攻撃を躱しながら防御に徹しているイプロクスに甲手による連打を叩き込んでいる。


「きゃははっ、でもこれじゃ圧勝して面白くないかもね」


「流石に始まったばかりだ。油断するには早すぎるだろ」


 シャドーエルフ系精人種のアルフィーがグラップラー二人であるマアダとイヴの攻撃をひらりひらりと回避しながら反撃を叩き込み、蝶系虫人種であるフィラーレがラフィラと共に上空で対峙するもののフィラーレがラフィラを中心に旋回しながら魔法を連射しラフィラはされるがままの状態だ。他の後衛メンバー達もなんとかフォローしようとしているが味方への被弾を考えると手が出せない状態だ。


「おいやべぇぞミナヅキ…俺達もあっちフォローした方がいいんじゃないか?」


 その様子を横目に見ているウルヴァが俺に声をかける。だがかく言う俺達も今Dグループ同士の衝突の真っ最中だ。ウルヴァと俺とトレイスの三人で敵前線であるフリッド、レンド、ツィーレの三人と衝突している。さらに後ろからカトレナが何度も山なりの魔法を撃ってきているのをコノハが短刀で弾き落としてくれている。ドロフィーはこの後の作戦のために準備をしている…俺達からあっちのフォローに出せる戦力は今はまだないのだ。この一番最初の作戦が終わるまでは…




   ……———


「3組Dグループが問題だらけのグループ?」


 それは俺達が3組の対策を考えていた時の事だった。調べれば調べる程かなり強そうなやつが揃っている3組に勝つためにどうすればいいかみんなで話し合っている最中にコノハがDグループの資料を見せながら話した。


「えぇ、そりゃあもう酷いものですよ。例の問題児であるリューゼルトの身勝手なリーダー発言、それに賛同するカトレナ…反抗すればリューゼルトに何されるのか分からず渋々受け入れる三人…殆どリューゼルト一人の独裁グループですね」


「うえぇ…」


「だがそれでもリューゼルト自体すげー強いって話だろ?」


「確かにリューゼルトは戦いに関しては強いかもしれません。ですが前線が得意でないメンバーに無理やり前線を任せ、女性だからという理由なだけで魔法が得意でないカトレナに後衛からの魔法攻撃を任せ、挙句の果てにリューゼルトは火力担当ではあるのですが後衛から味方ごと攻撃を振るっており、しかもあろうことか前衛三人に避けれないのが悪いという始末です」


「なんだよそれ、めちゃくちゃじゃないか」


「…そうなるとそこから崩して、人数有利を作っていくのがよさそうだな」


「だったら、それまで俺達他のグループはDグループが片付くまで粘ればいいってわけだな」


「安心しな、俺様達Bグループ…いや俺様一人で粘ってやってもいいんだぜ」


「じゃー頑張ってねイプロクス~」


「てめぇも頑張んだよっ!!」




   ———………


 そんなこんなで俺達はDグループを対処すべくタイミングを見計らっている。そう、後衛のリューゼルトが動き出すその時まで、他のグループには粘っててもらわないといけないのだ。最悪滅茶苦茶強いって話のAグループの対応も任せるつもりではいたが何故か動きを見せない。理由は分からないもののこれはラッキーとしか言いようがない。Cグループのバフは厄介だがBグループだけなら何とかなりそうだ。とは言ってもまだリューゼルトが動く様子もない。おそらくあいつも俺達の疲弊を待ってるのだろう。


「…はぁ、全く…仕方ありませんね」


 するとさっきから援護に回っていたCグループのバーケニーさんが眼鏡をくいっと位置調整すると、弓を大きく構え力いっぱい引き絞る…そして放たれた矢は大きな放物線を描き、1組後衛の位置から3組後衛のCグループ…歌と踊りで応援している女性達の前に落ちたのだ。


「「「きゃあああぁぁぁぁっっ!?」」」


 突然の攻撃に驚き応援が止まってしまい、3組が作り上げていたリズムががくっと崩れたのだ。さらにその悲鳴が戦っている3組メンバー達の集中を乱してしまい、逆に1組はここぞとばかりに攻勢に転じたのだ。


「ありがとうバーケニーさん!」


「別にお礼を言われたくてしているわけではありません。内申点のためです」


 相変わらず冷たく突き放しながらも続けざまに2射3射と放っていく。フィラーレやバカラが射線に入ろうとするが、ホオズキとラフィラが導線を遮る。


「今なら…私の歌がみんなに届く!」


「だったら先に…あんたの翼を折るだけよ!!『敵を薙ぎ払え、かまいたちを生み、突風よ』!!」


「戦いに品格なんて必要ないよ…見栄え意識し過ぎじゃない?」


「ふんっ、うろちょろするだけのおチビくんが!」


 今度はラフィラの歌がグラウンド中に響き渡る。フィラーレの強力な風の魔法をさっきまでとはうって変わり盾で軽々と弾く、そして盾を構えたままフィラーレの攻撃をものともしないまま突撃し盾でぶん殴ったのだ。地上ではバカラの蹴りや殴打をホオズキは先ほどまでの仕返しとばかりひらりひらりと身軽に躱し、隙を狙った素早い剣劇がバカラの身体を2歩3歩退かせる。この二人だけじゃない、ビヨンドやアルフィーも先ほどまでの勢いを失いこちらの人数差に押され始めていた。このまま優勢を維持するべくバーケニーさんは3組を狙うように数発の矢を放った。

 だが放たれた矢は3組Cグループまで届くことがなかった。驚くことにバーケニーさんの矢は空中で3組側から放たれた矢に撃ち抜かれそのまま衝突し合う前線の真上で真っ逆さまに落ちていくのだ。遠目からもその様子は確認できて驚きを隠せなかった。矢を打ち抜いていたのは…和弓の様なものを手にしているAグループのツヅリだった。ついにAグループが動きを見せたのだ。矢を打ち落としたことで3組Cグループはまた歌と踊りを再開し、またラフィラの歌が圧され始めたのだ。


「あーくそっ、せっかくこっちのチャンスだったってのによぉ」


「そうも言ってられないぞウルヴァ、くるぞ!」


 俺達Dグループも押せ押せなムードをしていたおかげか相手の前線がかなり疲弊していた。いやそれだけじゃない、ついにしびれを切らしたのか後衛で静観していたリューゼルトが剣を振るうと衝撃波の様なものが剣から飛び出し、あろうことか俺達1組だけじゃなく衝突している同じグループの仲間にも命中しかねないギリギリのところを体の隙間をすり抜けた。


「っま、待ってくださいリューゼルトさん!俺達にもあたっちゃうから!!」


「…っるせぇよ、てめぇらがちんたらしてるのが悪いんだろ」


「えぇそうよ、リューゼルト様の言う通り。むしろそのまま抑えといてくださらないかしら?」


 グループの空気は最悪なものだ。リューゼルトの言う事に肯定するカトレナ、その指示に逆らえず俺達と後衛とで板挟みで戦わないといけない前衛の三人…まさに俺達の作戦にとっては想定通りな状況で間違いなさそうだ。俺達は引き続きリューゼルトの攻撃に注視しつつ敵チームの前衛三人に畳みかける。


「喰らいやがれ、炎魔法弾!」


「『敵を撃ち貫け、黒弾となりて、闇よ』」


 ウルヴァが前衛三人を巻き込んだ魔砲による炎の魔法をぶっ放して怯ませるとトレイスがすかさず前衛の合間から真っ黒な魔法の弾を放ちリューゼルトに向かって飛んでいく。リューゼルトはそれを軽く弾くと、苛立ちのような表情を見せながら剣を大きく構える。


「今だドロフィー!!」


「おいっ、バカ止めろっ!」「ひいぃ!」「に、逃げねぇと…」


 敵三人がリューゼルトの様子に気付き慌てて逃げようとするが、リューゼルトから放たれた一撃は物凄い速度で俺達に迫り三人を蹴散らしながら俺達に襲い掛かる。ウルヴァの魔砲につけられた盾と、俺とトレイスの剣で受け止めるものの物凄い力に押されるのだが、即座に後方から放たれたドロフィーの魔法と衝突し合いちょっとした衝撃波となって爆散し砂煙が舞い上がった。

 ゲホゲホと敵前衛三人が咳込みながら砂煙が収まるのを待っていると、砂煙の中からは…土壁が現れたのだ。


「…壁?」


「ちょっとした足場だぜ!」


 すると俺とコノハの二人が上空から前衛を飛び越えて後衛の二人の所に飛び込んだのだ。そう、俺達はリューゼルトの攻撃を利用しドロフィーには目隠しと、砂煙中に俺とコノハの二人が跳んでいくのに最適な足場となる壁をつくる魔法をお願いしていたのだ。おかげで前衛をスキップしつつ、後衛二人の油断しているタイミングで近づくことが出来たのだ。俺は自分の剣でリューゼルトに襲い掛かり、コノハはカトレナに短刀で斬りかかる。


「っな、んなななによあんた!なんで私!?」


「およ~、そりゃあ後衛から狙うのは当然でありますからね」


 カトレナは以外にも持っていた杖でコノハを直接殴るようにして応戦し始めた、魔法に使うための杖で随分乱暴するもんだとおもうが…そんな事よりリューゼルトは横暴な態度とは裏腹に正直俺で勝てる相手か分からない。真っ当にぶつかり合っててはこっちが押されるような程戦い慣れてはいる。


「リューゼルトさん!!」


「おっとぉ、俺達を忘れられたら困るぜ」


 敵前衛三人が俺とコノハに気付き援護に向かおうと振り返るとなれば、それは残っているウルヴァやトレイス、ドロフィーに背を向ける事となる。そうなればあの三人にはそれぞれ強力な一撃ずつを叩き込まれる。すると三人の腕についている遠投不能測定器がビーッとアラームをけたたましく鳴らす。


「フリッド、レンド、ツィーレ、三人同時にダウン!速やかにフィールドから退場してください」


 審判をしていた教官から退場を言われる…いわゆる倒した状態になった事を意味する。そうなると3組Dグループは半壊状態といえるのだろう。その状況にさらに苛立ちを見せるリューゼルトはチッ、と舌打ちすらしている。そしてその怒りを俺にぶつけるかの如く俺に思いっきり剣を振るってきた。俺はその乱暴な連撃を同じく剣でなんとか受け止める。だが乱暴ながらも力ではリューゼルトの方が強い。俺は乱暴な攻撃を受け止めきれずに後ろに押し飛ばされる。


「ミナヅキさん!」


 見かねたコノハがリューゼルトの背中を攻撃する。すると怒りのままに今度はコノハに剣を振るう。咄嗟にコノハは大きく躱して上空へと逃げていった。だがリューゼルトには衝撃波を飛ばすすべがある。上空に逃げたコノハを落とすだけの方法を持ち合わせている。なら…


「背中ががら空きだぜ!!」


 わざと大声で叫びながらわざとらしい大振りな攻撃でリューゼルトに仕掛ける。当然リューゼルトは即座に振り返り再度俺と剣を交える。だがやはり俺が強く弾かれてしまう。その隙をついてリューゼルトが一気に攻撃を打ち込もうとする。


「『攻撃に備えよ、壁となりて、大地よ』」


 詠唱が聞こえたかと思えば突如俺とリューゼルトとの間に地面が盛り上がり、壁の様なものが出来上がるとリューゼルトの剣がその壁に突き刺さる。これはさっき俺達が足場に利用したドロフィーの魔法だ。俺は壁に守られながらドロフィーにグッドサインを送っといた。


「俺達も行くぜっ!」


 ウルヴァとトレイスも続いて魔法や魔法弾を撃ちこむがリューゼルトは大きくひらりと回避するが近くにいたカトレナには衝撃波が襲い掛かる。


「きゃああぁっ」


「っちぃ、あぁもうウザってぇ…どいつもこいつもよぉ!!」


 リューゼルトは怒りのままに思いっきりドロフィーが造り出した魔法の土壁を力いっぱい叩き壊すと、俺達どころかカトレナも巻き込んで石片が飛び散り、驚き顔を覆うように防ぐと真っすぐ後ろにいる3組A・Cグループの元に向かっていった。カトレナを置いてだ。


「ちょ、ちょっと!?リュ、リューゼルト様!私も」


「…ご愁傷様ですね」


 おいて行かれたカトレナもあたふたしながら後を追おうとしたところを、コノハの短刀が背中に優しくコツコツと当たり、アラームが鳴り響き退場となった。

 とりあえず俺達は計画通りDグループ同士の勝負に勝った。だがまだ終わりではない、向こうで衝突し合っている他の1組メンバーと3組Bグループ、しかもAグループも遠距離から動き出しており辛い戦いを強いられている。俺達は休憩もほどほどに戦ってるみんなの元に向かった。


「遅くなった!援護する」


「よかった…こっちももうしんどくてな、…って」


 俺達が応援に来たと同時に3組Bグループメンバーが即撤退していってしまった。Cグループのバフがあるとはいえ流石に人数がきついと感じたのだろうか。


「んだよ、もう終わりかよ。まーちょっと疲れたしここらで休憩にするか」


「…どうやらそうはいかないみたいだ」


 すっかり気を抜いているメンバーに活を入れるように言い聞かせると、3組側から4人がまっすぐこっちに歩いてきているのが見えた。Aグループだ。4人とはいえ今まで動いていないから殆ど体力は有り余っているだろう。対してこちらは主力メンバーは殆ど疲労困憊だ。それだってのに講習一の実力派集団と対峙するとは…戦わないといけないのは分かっていたが、まさかこんな最悪のタイミングとは完全に読み違えていた。いや向こうの作戦通りだったのだろう。こっちが疲れたタイミングでAグループが掃討するという…。

 だがそれだってこっちの想定にある、元々Aグループにはこっちの人数有利で相手する予定だったし、なにより相手側もCグループの一旦応援を止めないといけないくらい疲れている。とはいえだ、3組Aグループをこっち全員で相手している間にB・Cグループが休まり、また仕掛けに来られたら今度こそ体力負けするだろう。ならここは…


「ドロフィー、防壁を作れるメンバーと一緒に防壁内でみんなを休ませてくれ。みんなも休んでいてくれ」


「ちょ、ちょっと待てミナヅキ!お前」


「あぁ、俺がみんなの休む時間を稼ぐ。そしたら全員で一斉攻勢に転じてくれ」


「いやいやいや!そんな無茶な、お前だってリューゼルトとの戦闘の疲れがあるだろ、それに」


「…わかりました。では皆さん、前線を下げましょう」


 俺達の会話に割って入ってきたのは、なんとCグループのバーケニーさんだった。バーケニーさんは淡々と全員を俺から遠ざけさせると


「『敵からの攻撃を防げ、みんなの守る盾となりて、氷壁よ』」


 呪文を唱えると突如大きく分厚い壁が現れ、何故か俺とバーケニーさんを残し他のメンバーは壁の向こう側に取り残されたのだ。


「ば、バーケニーさん?」


「…勘違いしないでください。ある程度時間稼ぎが出来て、脱落したとしてもこの後の展開に私達はそんなに必須ではないためこの役を買って出てくださるのが得策だと考えたから貴方の策に同意したまでです」


「…ははは、手厳しいや」


 俺は相変わらずなバーケニーさんを背に迫ってくるAグループの4人を前に身構える。


「…なるほど、時間を稼いでみんなを休ませるってわけか」


「そのような思いつき…我らを前に無駄なことを」


「ツヅリ、デカい口叩いてへましたらダサいぞ」


「…」


 Aグループの連中が俺達を見てあれこれと口に出す。その言葉を聞き流しながら俺は剣を構えると、黒髪の美形な和服の男…おそらくヤマトエルフ系の精人種の男、キヨミツがお札の様なものを。ラバースーツのようなぴっちりとしたものに身を包んだ、まるでくノ一のようなイメージの身軽そうな鬼人種の女性、ホタルが苦無の様なものを構え対峙する。俺達の間にはお互いに無音のまま一時も目が離せないような緊張の糸が張りつめていた。だがそれは一瞬だった、たった一瞬俺の視線が瞬きによって遮ってしまったその瞬間、その場にいた二人はそこから姿を消していたのだ。

本投稿を読んでいただきありがとうございます。SKMRでサキモリと申します。


ただいま予約予定中の自分ですが…これちゃんと金曜日の5時に投稿、見れるようになってるかかなり不安です。まぁこの文章が読まれているという事は無事に予定通りの投稿が出来ていると思いますので、次回も続けて予約投稿をしていきます。

ちなみに本編は現在、Episode4のExを急ぎ書いていますが…Exもだけどキャラノートも書かないといけないという切迫した状況となってきました。さぁ、いつ初めての投稿できませんという日が来るでしょうか…


また今回も誤字脱字、文章構成などまだまだ課題がありますのでよかったらアドバイスなどしていただければ幸いです。


次回は9/11の木曜日、午後7時にEpisode5の後編を投稿しようと考えていますので、もし少しでも面白かった、続きが待ち遠しいと思えたら嬉しいです。次回もよろしくお願いします。

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