AAR
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第一次世界大戦 英国募兵ポスター
より
9月6日
15:01
東京都 某区 銀行
自衛軍特殊作戦部隊 STF 指揮官 海千救一
『こちらチーム3。人質確認作業SIT搬送完了だ。SIT15名中、8名KIA、7名負傷。内、2名が重傷である状況だ。アウト』
『こちらメディック。0-1指揮官、SIT軽傷者を確認し終えた。救急車到着まで待機する。』
「メディック、指揮官了解だ。ご苦労さん。」
救出した人質を手錠や拘束用バンドをしていた。
なぜ拘束する必要があるのか。それは、人質に敵の仲間がいた場合に備えるためだ。万が一、銃でなくともナイフや爆発物があれば大変なことになる。
俺達としては......。人質をしっかり確保したいからでもある。支援要請を受けた以上、しっかり確認してできる限り無事に全員を家に帰す。勿論、俺が率いるSTFや自衛軍部隊も。
「おい! なぜ拘束をする!? そして、いつまでやる!」
「順番です。もう少しお待ち下さい。」
このような小説やゲームなどで知っている人はもしかしたらこのような事案終了後で拘束をする必要性と意味が分かるとは思うが、ほとんどの人々は意味も分からず、理解しがたいだろう。
これを投稿している私も、ミリタリーといった世界に入らなければ知らなかっただろう。
人質は老若男女。子供や女性、高齢者に対しては女性隊員がついたり、優しく対応する。手荒い対応もする時もあるが、できる限り丁重、丁寧に対応する。まぁ、できる限りだが。
さてさて、この対応を知らない人からすると驚くだろう。やはり声を上げる人が出てきた。
「私は人質だぞ!」
「分かっています。ですが、これは必要な対応です。協力を。」
確認、検査をする時は武装した隊員が監視をしている。
俺自身もM4を下げている状態だ。背中にも突入時黒川が使用したM870を固定している。黒川は通信であるため、M870は邪魔となるため俺は持っている。
言ってしまえば、この確認・検査も人質にとっては救出されてもずっと拘束されているという状態である。精神的ストレスは酷いものとなる。
『こちらチャーリー指揮官。マスコミと野次馬連中を抑えられなくなっているらしい。対応急げ。』
「こちら0-1、ラジャー。総員へ、直ちに作業を終わらせるぞ。」
はぁー。帰りたい。
9月7日
10:00
自衛軍基地 中央指揮所 会議室
自衛軍特殊作戦部隊 STF 指揮官 海千救一
「10:00、参加メンバー確認。全員、集合しました。......司令官、入室!」
自衛軍司令官である白河美那が会議室に入室する。
同時に会議室内のAARに参加している各指揮官と隊員が起立する。
因みに、中央指揮所の建物には部隊運用等の指示を行う司令部とこのような会議室がある。
「おうぃ。これより9月6日に発生した、同時多発銀行襲撃及び籠城事件。AARを始めます。礼!」
学校や警察などがするように、全員が一斉に礼をする。
大型ディスプレイを背に、白河さんを中央に俺から見て右に特殊作戦室長。あ、役職名変更で作戦室長か。作戦室長がいる。
「おうぃ。」って。どういうことだ? どこから声を出しているんだ?
「着席。」
白河さんらを前に、右側はSTF。左側にデルタ。その後ろにシールズ、チーム3とヘリ部隊であるコマンドチームの面々がいる。
はぁ、重要だが結構座る時間が長いから腰に負担がくるんだよな。朝、ウェイトでデッドをやったおかげで腰が少し痛い。できる限りこういうトレーニングは怪我をしないように心掛けるのが大切だ。
「まずはお疲れ様。人質は怪我をした人はいるけど死者はいない。警察や銀行からは感謝されている。残念だけどSITやSATの一部では殉職者が出ている。それと、あまりいい思いではないけど資金も稼げた。後味が悪い結果であるけど、まずはお疲れ様よ。」
白河さんが全員に対して謝罪する。
後味は悪いし、報酬は高値であるというのはあまりいい気持ちではない。だが、俺らが食う食事から仕事で必要である銃や兵器。その弾薬購入費。基地維持費といった予算ということからは"善良"だけでは維持はできない。民間軍事会社である以上、難しいものだ。いかに、俺らが国際的重要組織として国連が背後にいたとしてもね。
「では、AARを開始します。まず、事案1。デルタが対応した銀行から。」
手元には写真といったものがまとめられている書類が数十枚あった。これ、美郷が作成したとある。まさか、一人でまとめたとは思えん。スゲー残業だろう。
そういえば、美郷の目の隈が凄い酷い。
「SIT優秀な奴だった。彼がいてくれて助かったよ。銃対もいい腕をしていた。」
「SITとは合同訓練していなかったよな?」
「SATはあるが、SITはまだだったな。」
SATは警備部。SITは刑事部。所属だけでなく、任務。いや、役割そのものが異なる。
警備部であるSATとは自衛隊よりも経験豊富で自衛隊より優れているところがある。また、出動も多くなることが今後も予想される。そして、合同で動く可能性がある。そのため彼らと訓練してきた。
「この事案は計6ヶ所で同じグループによって銀行を襲撃したが、SATは4ヶ所対応した。内、2ヶ所は軍が対応した。SAT側は殉職者は出ていないが、少し多くの負傷者を出した。」
「むぅ。」
この部屋にいる人間の多くが警視庁のSAT隊員と知り合いである奴が多い。俺自身もいる。
空気が重くなったところで美郷が声を上げる。
「今はAAR中。知り合い。大事な仲間が失われたのは辛い。でも、それを乗り越える必要がある。今までと同じよ。辛いけど。」
「デルタが到着したとほぼ同時刻。突入立案会議が開始。主体はデルタで行うことに。デルタ2-1は屋上から。3は裏口。4はSITと共に待機。尚、5と6は自衛軍基地で緊急対応待機中。」
「SITが確認した調査結果だと、敵は2名。素人と思われていた。理由としては動いていた監視カメラや探査カメラでは銃をカウンター上に置いていたこと、慌てていたことからだ。」
「銃は? 素人だと拳銃か?」
シールズ指揮官。チーム1隊長の中野悠人がデルタ指揮官、千崎に聞く。
素人は拳銃か?
「いや、確保した時持っていた銃は、AKだった。」
「AK!? カチューシャが持っていたものが流れたのか?」
カチューシャとは、少し前ではあるが主体は俺らが解体させた国際テロ組織だ。少数は逃走。武器もまだ見つかっていないものもあると予想される。
最悪な状態であるが、自衛軍や警察。秘密裏だが自衛隊も関わっている。勿論、アメリカといった軍隊も協力している。なんと、ロシアとも。
「それは警察がやることだ。で、突入はどうやった?」
「まず、俺が突入開始合図をする。合図と同時に副長の2-1率いるデルタ2が屋上にある窓を爆破しフラッシュバンを投擲。戦闘降下で突入。他も突入。基本は2が敵を無力化した。以上だ。」
実際に隊員が身に着けているボディカメラ映像がディスプレイで小さいが映像を流している。
2-1のか。派手だな。持っているのはMP7か。4.6mmのゴム弾を開発する自衛軍も結構ヤバいな。
しかし。千歳の動き、素早い。俺でも目で追えそうにない。
「デルタチームの突入はそこまでツッコミはなさそうだ。まぁ、少しやり過ぎだろ。」
「そうよ。作戦室長から一つ! デルタ指揮官はまだ使用を許可していないMP7セットを勝手に持ち出したことは運用する人間上、黙ってはいられない!」
「あ。そうやったそうやった。」
「室長からはデルタ指揮官に対して打ち上げ料金を出すように命ずる。」
「あぁ!?」
出た。ケチ野郎。......と思ったが仕方がないか。先のカチューシャと戦闘で多くの装備も失われた。
俺はHK416が壊れ、少し借りたグロックも壊したことや。戦車隊のM1A2エイブラムスも大破となったり、多くの車両が破損や故障。これ以外にもあるが、失った装備分をアメリカといった国が支援してくれたがまだ十分とはいえない状態だ。
スコープやサプレッサーを含むカスタム品も送ってくれたところもあったが、そういうのは自分らで買うようになっていたものもあった。例としてMP7だ。カスタム品だけでも金がかかっている。
「高く、数少ないものを許可なしで持っていくことは前から許されないことよ。」
「ラジャー。」
11:10
自衛軍基地中央指揮所 屋上
海千救一
STFが担当した銀行での対応AARは午後となった。
再開は13:00。それまでは自由だった。さて、どうするか。
ゲームだったら仲間と交流をしたり何かしらレベルアップに繋がることをしたりするだろう。
昼はまだ早い。
「ふぅー。」
屋上はヘリポートは勿論あるが、休憩できるスペースもある。
早々ヘリポートを使用する機会はほとんどない。ゆっくり休憩ができるスペースとして自衛軍では愛されている場所の一つでもある。
「お、先客か。」
「悪いか?」
「いいや。」
スポーツドリンクを持ち俺に話かけてきたのはデルタ指揮官、千崎龍介。
自衛軍では古参者であり、STFと同等の練度を持っており共同で作戦に参加することが多い。
「どうした?」
「あ、いや。さっき警視庁捜査一課にいる友人から連絡がきていて。」
さっきもあったように。自衛軍は警察、自衛隊。海上保安庁、消防といった日本の組織や機関。外国の軍隊や警察機関にも友人や知り合いがいる奴が多い。千崎の前職は自衛官であり、友人が警察に入ったり知り合ったりなどで警視庁には自衛軍でも友人とが一番多い奴でもある。
「ほう。」
「自衛軍創設とほぼ同時期。STFやデルタがまだ創設されていない頃。あの作戦覚えているか?」
「......。あれか。」
「副長こと千歳。奴も巻き込まれていた事件だ。あの事件に関わった奴らがカチューシャ残党や逮捕した奴らにもいたらしい。今回の事件にも一枚噛んでいるらしい。」
あの作戦。あの事件。
自衛軍創設してほぼ同時期。そして創設して初の大規模作戦。
作戦内容としては、ある組織が ---ーーーーをしており、警察が懸命の捜査で分かった。いや、分かっていたがーーーーや他国のーーーーも一枚噛んでおり、十分な捜査ができなかった。ーーやーーを持って捜査を妨害してきたからだ。その後、力尽くで捜査をしたことで検挙できる状況になった。しかし奴らはーーもしていたため警察では対応不可能と判断。自衛軍は当時は協力体制もなく要請といった仕組みも存在していなかった。
「奴らはーーーもーーーを持つような連中だった。警視庁SATだけでは対応できるものではなかった。まだいるとは。奴らは息の根を止めたと思っていたが。」
「まだしつこく生き続けている。」
千崎は茶葉を刻んだ煙草を吸っている。昔から喫煙者ではあった千崎だが、やはり体にはやはり悪いと気づいたらしい。こいつが言うには約5年間喫煙者だったらしい。禁煙ということと、任務という点では喫煙者という方が都合がいいこともある。
『こちら中央指揮所。旧陸、海、空軍司令官は直ちに司令官室へ集合。』
屋上や基地内で各所に設置しているスピーカーで招集命令が伝えられている。
「旧? あの人らはどうしたっけ?」
「自衛軍組織改革で、自衛軍陸、海、空軍は廃止。統合された。てか、知らなかったのか?」
千崎はこれでも名称は変わっていないが陸軍特殊部隊だぞ。
自衛軍はカチューシャ戦で組織と編成が大きく変わった。陸軍は大破したエイブラムス隊を縮小。ストライカー装甲車や装甲車を基本とした部隊を改編。ドイツから供与されたゲパルト自走対空砲やアメリカより給与されたM2ブラッドレー、パトリオット・ミサイルシステム。日本陸上自衛隊、自動車企業より輸送トレーラーが供与された。海軍は数艦艇は退役。空軍はF-35AをB型へ、計6機編成へ。A-10C、F-16Cを各4機。基本はMQ-9やグローバル・ホークといったドローンを編成している。他としては名称変更もしている。
アメリカ軍を始めとするほとんどの軍隊、自衛隊は時代に合わせた改編をしている。地上戦での優位性を保つための戦車やヘリを配備したりドローンが脅威となった今では戦車を減らす。テロの脅威があれば対テロに対応する部隊を創設したり必要がない装備や部隊は廃止・退役する。といったことをその時の情勢などに合わせて変えていくのだ。
面倒な話だ。
いや、これも軍人の仕事の一つか。
13:00
AAR 再開
「AAR再開。しかし、昼食後のこれは授業みたいで一瞬で落ちるわ。でも、絶対に寝ない!」
「フラグでしかない。」
「自滅する未来しか見えん。」
シールズ チーム3やヘリ部隊はQRFとして待機するため退席している。また、司令官の白河さんも自衛隊統合幕僚長らと合うため防衛省に行っている。今いるのはSTF、デルタ、美郷だ。
AARも重要であることだが、どうしても眠くなる。まぁ、絶対に寝たりはしないが。
「ぐがー。」
「あっ。アホだ。」
こいつ。本当に上司か?
「はい、自滅。......こいつ起きる気配がないぞ。」
「くそ。おい! 起きろ!」
すると体がビグン! と動き、目を開けた。......重要だからもう一度言おう。
こいつ、本当に上司か?
「あぁ、ごめん。残業続きでしっかり寝れてないのよ。」
「作戦室長じゃなくとも書類報告とかは他の連中でもできんのか?」
「人手不足。あ、これに関する会議が今日、1800からあるからヨロ。」
人手不足に関する会議?
日本の自衛隊や一部の軍隊もだが、安定した人数を確保するのに苦労している。
自衛軍は自衛隊と違い、国家に属する軍隊ではないため手当といったものは完璧とは言えない状態だ。募集はしていないが、元自衛官、警察官、海上保安官、消防士、医師、パイロット、船員などなど。自衛軍で役立てると思われる職業。技術などを持つ人間は自衛軍に入れている。一般の人間は受け入れていない。また、フランスの外国人部隊のように外国人を受け入れることはない。
「指揮官だけでいいから。では、本題よ。少し内容を変更するわ。これを。」
プロジェクターで動画を流す。これは、数時間前のニュース番組か。
この局は情報の差があって意味が分からんことがある。何とは言わんが。
『昨日、東京都某区にあります銀行にて、立て籠もり事件が同時に複数の銀行で発生し、それを警察、自衛軍が出動し人質には数名の負傷者は出ましたが、亡くなった人はいませんでした。しかし、対応した警察官が死傷したとの情報もあります。』
女性アナウンサーが映像と共に説明していく。
映像には警察のテントや規制線の外から撮影した映像。俺ら自衛軍の部隊も。
映像に俺達が突入するシーンや人質全員に対して手錠をし、身体検査の作業をしているところも。
『今日は軍事専門家のーー。』
「うむ。まぁ、ここまでは自衛軍へのことはあまり言われていないか。」
「ここまではよ。」
さっきの女性アナと軍事専門家。それと、某男性大学教授にアイドルと芸人か。教授とかは時々意味不なことを言う人がいるが。
『さて、今回の事件について。立て籠もりが発生した銀行は合計6ヶ所。警察での対応も行われたが、自衛軍も対応に当たったようですが。自衛軍の対応参加について、どう思われますか?』
『そうですね。6ヶ所というのは警察でも対応が難しいと思われます。交渉では解決が難しい場合に対応する特殊部隊、SATでも場所が多過ぎたと思われます。また警察からの発表では、被疑者はAKライフルといったテロリストや軍隊が持つ銃火器を持っていたそうです。そういう点では自衛軍参加は結果としては良かったと思います。』
確か、この軍事専門家は元自衛官。そして元自衛軍人。自衛軍に入っていたが、とある事件で負傷し左脚を失っている。名前はーーーーだ。自衛軍にいるということは表舞台で知っている人間はほとんどいない。そして自衛軍に所属していたことを知っている人間も少ない。
『私はそうは思いませんね。警察でも十分に対応できたと思いますよ。6ヶ所の内、1ヶ所だけですが交渉で解決できています。他の場所は警視庁特殊部隊と自衛軍特殊部隊が対応したそうですが、抵抗はそこまでなかったそうです。犯人も逮捕できているそうですし。警察が交渉で対応できたと思いますがね。』
「まぁ、そういう意見もそうだろうね。実際、素人連中ばかりだったしね。あ、その素人連中。どうやらネットで募集していたのを受けちゃったようね。ここ最近増えている闇バイトかな? ただSTFが対応したところはカチューシャの残党でプロよ。」
さっき千崎が言っていたことか。
プロはプロでとても脅威だが、素人も怖い。腰撃ちで適当に撃っても被弾するかもしれないし、流れ弾で負傷することもあり得るだろう。「素人だから。」と言っても脅威だ。
『そうとも言えます。ですが、6ヶ所目。ここは警視庁の発表では被疑者は銃器を扱ったことがあるプロだった。そして、まだ発表はありませんが警視庁刑事部特殊犯捜査係が全滅間近まで被害を被った理由。もしそこに自衛軍特殊部隊がいなかったら? 警察は全滅し人質も被害を受けた可能性がありました。交渉での解決は不可能だと判断したからこそ、警視庁特殊部隊介入は勿論。自衛軍が介入したのでしょう。』
この人は警視庁の発表のみしか情報を知らない。作戦機密は参加した人間しか知らない。それも、警視庁上層部の一部と警視庁特殊部隊、特殊犯捜査係数名だけだ。
『しかし。』
教授は黙り込む。
まぁ、そうだよ。状況を一番知っているのは現場にいる人間だけだ。
すると、空気が悪くなったため女性アナウンサーが機転を利かせて話題を変える。
『ネットでは自衛軍特殊部隊が突入する瞬間を撮影したと思われる映像が拡散しています。これを受けてネット上では様々な意見が議論されています。』
「え?」
「どういうことだ?」
会議室内が騒がしくなる。当然だ。
「報道規制をし、俺らが突入する瞬間は関係者しか知らない。しかも、屋上の様子や駐車場だけではない。俺らが装備しているボディカメラ映像も。」
「どういうことですか? 作戦室長。」
こういう映像を管理するのも作戦室長だ。機密中の機密だ。それが表で出回る理由が分からない。
美郷は目を閉じて、口を開いた。
「司令官命令。って言ったら?」
18:00
自衛軍基地 中央指揮所 会議室
海千救一
「で? 今日やる会議の内容は?」
「内容は3つ。1つ目、以前の作戦を受けて世間の反応について最終見解を話す。2つ目、今後の組織について。3つ目、人員確保問題。最後には連絡を。」
AARではいなかった人間もいる。役者は揃っている。
それでも、自分もだが装備を身に着けた指揮官もいる。QRF対応する隊も集合しているという重要会議だ。これは今まで数回はあったが、ここまでとは。
「1つ目。世間は自衛軍へは好意的である結果を得た。一方で、突入する実力行使を批判したり一部からは突入方法を批判する奴らもいる。」
「突入方法?」
突入方法で批判されるとは夢にも思わなかった。
「どうやらダイナミックエントリーが駄目だったようだ。まぁ、こういう状況下ではステルスエントリーを行い、敵を無力化するという手法が一般だ。と言っても、状況や情報を知らない奴らが批判することは愚かだと気付かないのか。」
「は、やってみろと言ってやれ。」
デルタ指揮官、千崎があの時と同じ顔をしている。”怒り”
気持ちは分かる。事案が起こり、対応する人間がしか知らない状況ではあるが、何も知らない人が批判するというのはおかしい。言ってしまえば、完璧と言える結果を出せる方法を教えるか、実際にやって欲しいと思うよ。
「では2つ目。組織改革だけど、最終結果を伝えるわ。まず陸海空軍は廃止。TFらと同様、統合される。」
【自衛軍 組織改編】
自衛軍司令部
統合通信隊
特殊情報隊
基地警備隊
基地運用隊
特殊作戦運用室長
特殊作戦軍
特殊作戦部隊 STF
特殊部隊 TF (0〜7隊)
デルタチーム (旧陸軍)
シールズチーム (旧海軍)
特殊作戦舟艇隊 (旧海軍)
特殊航空作戦隊 (旧陸軍/ヘリコプター隊)
特殊作戦航空管制隊 (旧空軍/戦闘管制部隊)
統合作戦軍
第1機甲師団 (M1A2エイブラムス戦車、ストライカー装甲車等 機甲/偵察を主体)
第0航空隊 (F-35B、F-15E、A-10 各2機)
第1無人航空隊 (ドローン/1〜5隊)
後方支援連隊(各種後方支援)
特別艦隊 FFM 一隻
「中学生が思いついたような名称が多い。」
「あぁ。」
シールズ、中野とSCT、徳武がツッコミを入れる。
まぁ、軍隊はほとんどこうだと思うが。
SCTは略称ではない。特殊/special forces=Sと戦闘管制隊/ Combat Control Team=C から取っている。
中◯病てか? ふぅ、まぁいいじゃん。
「海軍艦艇は退役。廃止。申し訳ないけど。」
「まぁ、いいです。」
旧海軍司令官は俯いた状態で座っていた。そりゃそうだよな。
この人は海上自衛隊では護衛艦あたご、いずもに乗船。その後護衛艦あきつぎ、はやぶさ艦長を務めていた。最終的には第一護衛隊群司令官着任を受けることになった。そう、着任を受けることになっただけで着任したということではない。という伝説級で特殊な人物ではあるのだが、頼りがいがある自衛軍では一番の年長者でもある人物だ。
「海に出たいのは分かる。」
「一応まだ海には出れるのだから許して。」
「それでも俗に言う予備艦隊だ。主力もない、ただの飾りだ。」
少し前までは艦隊は少しながらもあった。実際、俺達も助かったことが多い。時にはアメリカ軍の強襲揚陸艦を借りて運用したこともあった。この人にとっては海は、俺達が想像できないくらい好きなのだろう。
白河さんも困った顔をする。ほとんどの指揮官も苦笑いだ。
「さて、本題である3つ目は、人員確保。作戦行動で死傷者が発生、人員確保が一番の課題だ。そんな中、ある高校及び大学、企業、日本政府より自衛軍見学についての提案と要請。」
国家を守る、公務員
自衛隊募集ポスター
より