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緊急対応

投稿遅くなり申し訳ございません。

11:12

東京都 某区 指揮本部

警視庁特殊犯捜査係 SIT 東城咲 巡査


「おい、SATがここには来ないだと!?」

「どうやら別件で出動していて、ここに到着するのは未定だと。」

「ふざけんな。人数は十分ではないのか、奴らは!」

 指揮本部の捜査一課の理事官が机が蹴る。その衝撃で机に置いていた物が床に散乱する。

 私、警視庁捜査一課特殊犯捜査係、SITの東城。今は銀行で立て籠もり事件が発生した銀行が見える会社事務所を借りて、待機していた。

 銀行立て籠もり発生は、10:11。

 銀行が開き、少しながらも銀行に来ていた市民数十名と、銀行員がいる状況で武装した人間が侵入。

 そして、お金を回収し終えた奴らは逃走しようとしていたが、銀行員が押した緊急通報ボタンにより警察へと通報が入った状態だった。

 だが、奴らは緊急通報ボタンを押したことが分かる外にある赤いランプが光っていることが奴らが気づき、数名が銀行に戻る。その後、警察が到着。籠城へと発展したということだ。

「くそめ!!」

 この時。SATこと、特殊部隊はここと同じような現場に出動。対応していたらしい。人数非公開であるSATだが人数が割けないほどの現場の数とは、どういうこと?

「奴らが銀行に戻ったということは、余程の自信があるのか計画があるのか。防犯カメラや俺らが設置したカメラやドローン、マイクの情報収集では籠城した奴らは合計4名。武装は軍隊レベル。度胸もある。」

「SATの到着予定が未定だと、俺らが突入するのか?」

 SITである私達も突入することができる装備と訓練をしている。SAT並とは言えないが練度は高いと思っている。専門外ではあるがね。

仕方がない、突入立案を考えろ。だが、一番は交渉で済ませたい。」

 結局。この人(理事官)は、100%の判断はしないようだね。まぁ、無理もない。武装している被疑者らはAKやUZIといった、ガチの装備をしているのだから。


11:21

東京都 目黒区 自衛軍基地 中央指揮所

自衛軍特殊作戦部隊 指揮官 海千救一 STF0-1


『こちらパラディン2-1(MH-47 チヌーク)。部隊回収完了、これより帰還する。』

『こちらスター1-1(MH-6リトルバード)。出撃準備完了まで5分。』

「さてさて、SATから直々に出動要請が入りましたと。SATは一個中隊は待機させ、それ以外は出動中。警備待機と、SATの要請で向かってほしい現場に出動してほしいみたい。」

 東京都23区の地図にはSATを表す駒と要請があった現場を意味するマークが置かれていた。SITや機動隊。自衛軍部隊の駒も当然置かれているが、地図を見ているだけで吐き気がする。現場は多いし、SATも足りていないようだな。

「自衛軍は警視庁の警視総監、警備部及び警視庁特殊部隊より応援要請が入った。これにより、自衛軍は行動を開始する。現時点でのQRF(緊急対応部隊)は出撃。STF、デルタ、特殊ヘリ部隊だね。ドローン等による支援も行う。状況終了間際には応援部隊と交代する。以上、出撃。」


11:35

自衛軍  MH-60M ブラックホーク コマンド1


「おら、乗れ乗れ!」

コマンドチーム(ブラックホーク隊)全機、チーム搭乗完了。」

『離陸許可。コマンド1、2、3は......。某区、◯☓銀行付近の警察署へ向かい、そこで部隊は降下。車両にて現場に向かって下さい。』

 現場に直接部隊を降ろすということはしない。敵がスライム並に弱いなら、別にいい。だが、人質がいる中でむやみに敵を脅すことはしてはならない。卵の殻をむくように丁寧に。そして、スピーディーにね。


同時刻

自衛軍 中央指揮所

特殊作戦室室長 神居美郷

「状況が変化したり、情報が入ったら言って。」

「了解です!」

 自衛軍の一人ひとりは優秀だ。優秀で、ヤバい連中が集まった武装組織ではあるが、事務仕事は勿論必要だ。今回の事案一つ一つに対して書く必要がある。参加した部隊から、応援要請のあった組織やその組織の人間、時刻、日付。まだ分からないが、各場所での結果も報告する必要がある。司令官や日本国内閣総理大臣及び日本国政府。国際連合にもね。自衛軍上層組織には基本、作戦行動をする時は必ず報告書を作成しているのよね。

「要請があったのは、全部で3ヶ所。その中で、一つはSATが対応できそうと言っているけど。」

「オーバーロード。報告です、デルタチームが現場に到着。SITと機動隊との連携が取ることが可能で、直ちに行動を開始可能であるとのこと。許可を求めています。」

 デルタは基地からとても近かったから、リトルバードの速度ならすぐに到着したのね。地上からも行けるけど、警察の道路規制で渋滞しているから目立つけどヘリを使った方が良い。

「了解。連携を密に、行動を開始せよ。人質を無事救出し、生きて帰ってくるよう。」 

 さて、行動が開始される。今回の事例では、書類等は事案終了後にまとめて提出する。突発的、緊急時以外は、書類も必要で判子を押したり会議したりする。まぁ、他機関よりかは速いし楽ではあるけど。自衛隊時代じゃ、休暇を取るだけでも面倒くさかった。

 あ。ヘリ使用で許可証提出を国交省から言われていたこと、すっかり忘れていた。はぁ、今日も残業か〜。ありゃ、もう昼か。昼抜きか。

 意外とブラックかもしれない自衛軍。


数分前


11:56

東京都 某区 警察指揮本部

自衛軍 陸軍特殊部隊 デルタフォース 指揮官 千崎龍介 デルタリーダー


「目標にタッチダウン。展開開始、ゴーゴー!」

「行くぞ。」

 リトルバードが着陸。ベルトを外し、必要な装備を携えて指揮本部テントに入る。

 テント外で警備していた若い警察官は驚いた表情をしつつ、こちらを見てきた。

 サングラス越しでも分かるよう、笑顔で対応する。SCARを持った状態で言えることではないが。

「要請で参りました。自衛軍、千崎です。」

「お、お、お待ちしておりました。管理官がお待ちです!」

「どうも。」

 大男でガチ装備をした集団が入ると、嘘だと言えるくらいテント内が静まる。

 え? 場所、間違っている? 

「自衛軍です。意外と速いご到着で、ありがたい。早速だが、作戦を立案したい。」

「え、あ。はい。」

 SITと機動隊銃器対策部隊らがおり、管理官はSITらしい。

 状況はこうだ。

 銀行に現金輸送車到着と同時に、無防備状態だったところを襲撃された。 襲撃し、金を回収したと同時に緊急通報システムで連絡を受けた警察が到着。出会い頭だったため、襲撃した敵は持っていた銃器を警察に向けて発砲。警察官は二人だったが、無事らしい。さて、それ以降は予想できるだろう。そのまま立て籠もったてさ。くそ野郎め。

 指揮本部が設置され、交渉は開始。周辺を規制し、狙撃できる位置にSITや銃器対策部隊の狙撃手は配置されているため、いつでも狙撃し制圧はできるが......。

『こちらアーチャー。狙撃位置に到着。SITらと合流、敵2。いつでも射撃できる。指示を待つ。アウト』

 M24 SWSを装備した狙撃手、アーチャーとスポッターであるホワイトが待機している。優秀な狙撃組が集まっている、すぐ制圧はできるが。まぁ、警察から要請された任務。つまり、警察の意向に従う。

「全員逮捕が一番です。」

「えぇ。了解してます。アーチャー、待機だ。」

『アーチャー、了解。』

「さて、どうしますか。」

 敵全員を逮捕すること。それを条件にする作戦だ。上手くやらなければこちらも人質も危ない。

 全員を家に無事に帰らせる、それが目標だ。

「被疑者はどうやら計画外のことで大慌てなようです。銃も手放しています。」

「ふむ。銃を手放しているという情報だけでも、ありがたいですね。フラッシュバンを投げ込み、一気に制圧できるかもしれないな。銀行の見取り図を。」

 SITの若い女性が地図を取り出し、パソコンや資料が置いている机に広げる。 SITは女性警察官が多いのか? まぁ、いないよりかはいいのだが。

 SCARを副長に預け、メモや作戦指揮端末を用意する。要請でも実働部隊として動くのは俺らだろう。

「そうだな。まず、SITの皆さんの情報収集で人質と敵の位置ははっきりしてます。結構ありがたい情報です。勿論、それを鵜呑みにするというのは危険ですが。」

「人質は銀行員や警備員が基本です。開店してからすぐだったため利用者は7名と、少ないです。」

「今回立て籠もり事件が発生した銀行はすべて同じ系列店。その銀行に恨みがあったのか、ただ金が多かったからかは分かりませんが。結構運がこちらにあります。」

 ペンで丸を書く。それは大きな窓がある。丁度、敵がいる位置だ。

 もう一つ。裏口だ。

「現在時刻、12:01。立て籠もりから時間が経過し、奴らも彼らも補給が必要でしょう。まず、食事を提供すると連絡する。同時に屋上に控えていたデルタが窓を爆破。突入し、敵を確保。」

「もし、窓付近にいなかったら?」

 銃を持っている。脅迫し、人質だけで取りに行かせる方法をしてくるかもしれない。

 万が一のこともある。

「彼らは素人です。武器を置いている奴らです。裏口から静かに侵入。敵の裏を取りつつ、上も占領。ありがたいことにここの銀行は窓が多い。一挙に突入するダイナミックに行けば奴らはビビるでしょう。」

「スニーキングからダイナミックエントリー。」

「えぇ。どうですか? これ以上はないと思いますよ。」

 全会一致で作戦が決まった。オーバーロードにも行動開始許可を要請すると、すぐ受諾された。


12:15

銀行 屋上

デルタフォース デルタ2-1

『こちら3-1。裏取り完了。人質との接触完了。いつでも。』

『こちらK班(SIT)。待機完了。デルタのタイミングに合わせる。』

『こちら4-1。準備良し。』

「こちら2-1。いつでも。」

 デルタ2は、屋上から窓爆破し、戦闘降下にて敵を制圧するメインの役割になった。

 SCARでは邪魔なので取り回しがいいMP7に装備を変え、デルタ2の六名が待機していた。爆破は自分がやる。スイッチを押せば窓ガラスは粉々になり、破片もほとんど飛び散らない。

『こちらデルタリーダー。突入用意。突入まで、5、4、3、2、1、ゴッ、ゴッ、ゴッ!!』

「爆破。」

 スイッチを押し、窓を割る。同時にフラッシュバンを投げ込む。

 起爆と同時に裏で隠れていたデルタ3-1らが立ち上がり、敵に向けてレーザーを当てる。4-1は、銀行にある窓を破壊。SITと共に突入する。

 俺らはロープを掴み、ブレーキをかけつつMP7を構える。

「特殊部隊だ!!」

「警察だッ!」

 敵は上から降ってきた俺らに驚き、何もできない状態だった。

 MP7の引き金を引き、ゴム弾を浴びせる。ゴム弾でも至近距離で連発が速いサブマシンガンなら、痛いだろう。因みに、このゴム弾は自衛軍特製品だ。

「ゴッお。」

 情けない声をして倒れる。銃確認できない。腕を踏みつけ、銃口を頭に向ける。

 もう一人の敵も、無力化したようだ。

「武装なし。クリアだ。」

「敵確保!」「クリアだ!」「クリア!」

「オールクリア。」

 銀行は自衛軍と警察が確保した。人質確認。敵無力化、生存。

 やることは一つ。

「人質を連れ出せ!」

「Let's go !!」

 敵は拘束用の道具で、手首、腕、足首、太腿を拘束。舌を噛まないようにガーゼも口に突っ込む。

 銃も弾倉を抜き、薬室内の薬莢も抜く。安全装置を忘れずにし、回収する。

「武器、クリア。」

「人質をとっとと、運べ! 行け!」

 人質を少し手荒に扱っているのは理由がある。この用な状況では、敵味方が分からないアンノウンという状態が発生することがある。人質でも、敵かもしれないしフリーな一般市民かもしれない。一人ずつ確認が終わるまで油断できない。


12:30

銀行前駐車場

自衛軍デルタフォース  千崎龍介 デルタリーダー

『こちらアーチャー。脅威は見られない。待機を続ける。』

「リーダー、了解。2-1。」

「はい!」

 デルタ2-1/副長である塚本 友花が、MP7をぶら下げつつ、指揮をしていた。

 六上千歳。兄はあの陸上自衛隊特殊作戦群にいる、六上鐸下の妹だ。

「状況は?」

「人質の確認をしています。名前といった情報から武装の有無までしっかりと。拘束はしてません。」

 人質救出等では、味方か民間人か、あるいは敵か。この判断は重要だ。武器を隠し持ち、被害者面をして救出されてから行動するということも十二分、あり得る。

 身体検査や所持品検査をする際、外国でこのような状況では人質であろうとも軍や警察といった特殊部隊は手錠をかけて検査する。

 しかし、日本でやってみよう。マスコミに叩かれる。警察のSATで友人がいるが、彼らも同様の対応が難しそうだ。少しは配慮してほしいものだ。

「SITが対応してくれてますので、こちらは撤収準備に。」

「あぁ。スター2-1が回収にくる。こちらはギリギリまで待機。どうやら、機動隊の話ではマスコミや野次馬が接近しつつあるそうだ。マスコミのヘリもいるらしいから、注意したい。」

『こちら指揮本部。自衛軍部隊さんへ、こちらはもう大丈夫です。ありがとうございました。』

「こちら自衛軍、了解しました。スター2-1、こちらデルタリーダー。回収要請、対応できるか?」

『こちらスター2-1、了解。2分で到着する。着陸地点は駐車場。以上。』

 この銀行は有名で。系列店が東京都内だけでも多くを占める。利用者も多いため、ここは駐車場が大きい。リトルバードのような大きさのヘリなら、人質や警察、救急関係には邪魔にならないだろう。

 警察にも撤収のことは伝え、スター隊着陸地点に人が入らないように対応するようお願いした。ヘリのローターで死にたくないだろ。あと、普通に砂埃で目をやる。

『こちら2-1。着陸地点に到着した、待機する。』

「デルタ総員へ、撤収!」

 

12:44

銀行前駐車場

警視庁第2機動隊銃器対策部隊 小隊長


『人質全員確認完了。救急車による搬送開始します。』

「了解。」

 自衛軍から受け継ぎ、対応していた人質の確認が終わった。救急車で病院に搬送する。怪我がない場合でも一応搬送する。家族とはそこで会える。 

 しかし。 

「彼ら飛んだ奴らだ。」

「え?」

 隣には共に突入したSITでここの現場管理官。さっきまでは真剣な顔が嘘のように間抜けな顔でこちらを見る。「何を言っているの?」と。

「そりゃそうですよ。前にテロ組織のアジトに突入した時、彼らだけで制圧しましたからね。速かったですよ、ニンジャみたいでしたよ。」

「"忍者"以上だろ。彼ら自衛軍は。」

 俺は見た。あの部隊の動き。被疑者が素人だったとしてもだ。あの動きは速すぎる。

 彼らはいったい何なんだ?


同時刻

自衛軍基地 中央指揮所

特殊作戦室長 神居美郷

『こちらデルタリーダー、作戦完了。』 

「指揮所、了解。状況は収束しつつあり、デルタチームは別命あるまで待機。」

『ラジャー。』

「デルタフォース、作戦終了。目標の銀行は、残り1。」

 え、もう終わったの? 速い解決は素晴らしいけど、恐ろしくも感じる。

 簡単にまとめられた報告書が送られ、確認していたところだった。報告も銀行立て籠もり関係だが、予想外だった。あのデルタでも速い解決だ。報酬も増えるかね?

「STFが大変な現場となったか。」

 お、もう後方支援部門から報告書が届いている。速い仕事で素晴らしいよ。

 ......。!?

「千崎め!」

 デルタ指揮官の名前で作戦に使用していると書いてある。奴め、まだ買ったばかりで高いMP7セットを持っていきやがった。あ? 海千も、高い特製の盾を持っていっている。

「あの、馬鹿者どもがー!!」

 中央指揮所はまぁまぁ広いが、指揮所中に私の声が響いた。


次回 ダイナミックエントリー


フランス 国家憲兵隊治安介入部隊

 S'engager pour la vie

 (人命を守るために)

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