あたしの側近
両翼というより、両腕。
いつも いかめしい顔をしながら
両脇をかためてくれるふたり
あたしの側近 右往と左往
右近と左近じゃないから
かんじんなときには あたふたするばかりで
ちっとも役に立たないけど
たまに イカ飯を買ってきて
両脇でお昼ごはんを食べるふたり
あたしの側近 右往と左往
右京と左京でもないから
いざというときには おどおどしだして
ちっとも頼りにならないけど
ふと たこ焼きが食べたくなったら
ちゃんと三人ぶん買ってきてくれるふたり
あたしの側近 右往と左往
右衛門と左衛門でさえないから
ここぞというときには ぷすんぷすん煙を吹いて
まるっきり戦力にはならないけど
でも いいんだ
あんたたちが両脇をかためてくれてるから
あたしは安心して正面の敵を撃ち倒して
このピンチを打開できる
いてくれるだけしかできないだなんて
言ってるわけじゃなくてさ
いてくれるだけで こんなに心強いんだよ
だから もしたとえ
右近と左近が 履歴書を送ってきたって
右京と左京が トレード要員にあがってたって
右衛門と左衛門が フリー・エージェントになったって
あたしの側近はあんたたち
右往と左往のほかにはいない
いつも両脇にいてくれたあんたたちだから
これからもそこにいつづけてほしい
ありがとう 感謝してるよ
あたしの側近 右往と左往
かんじんなときにも ちゃんと役に立たって
いざというときにも しっかり頼りになって
ここぞというときにも 主戦力になってくれたのなら
どんなにいいだろうかって思わなくもないけど
このさい ぜいたくは言うまい
飛車・角行というより、金将・銀将。