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ナル男  作者: 沖田 楽十
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前編

「……何してんの?ナル馬鹿」

「オイオイ、My妹よ。僕の事は、お兄様かお兄ちゃん、若しくは兄貴と呼べと言ったろ?」

「マジキモッ!其の年齢(今年23歳)で僕とか言ってんじゃねぇーよ!其れに、お兄様って呼べる分類じゃねぇーじゃん、ナル男が」

「……ナル男…?」

「そうだよ。ナルシスト男、略してナル男。分るぅ?アンタみたいな奴、一番キモがられるんだよぉ」

「ふーん、そうなんだぁ。俺って、皆から意識されているんだなぁ。芸能人レベルじゃん俺。凄くね?なぁ、おり?」

「知らないッ!アンタなんかと血の分けた兄妹なんて、一生認めるもんか、馬鹿!!」


後ろから聞える、ナル男の声。恥かしい、私の事を呼ぶな、馬鹿!!思わず顔を下に向け、擦違う人に顔を見られない様にダッシュする。

何時からだっけ?アイツの事、兄貴として、見られなくなったのは…。あの日から、だったと思う。アイツが、部屋に引き籠ってから。

学校での虐めに耐え切れなくなったアイツは、自室に引き籠る様になった。其れから、家族が不安定になったんだと思う。そう、全て、アイツが壊した。私の幸せを…。


前をちゃんと向いて無かったからなんだろう。アイツのせいで、誰かとぶつかった。御尻がズキズキ痛む。何って日だ。今日は、全てが空回りじゃないの。

何で私ばかり、こんな目に遭うんだろう。神様なんて、本当は居ないんじゃないかと思う。だって、もし居たとしたら、私は神様に見捨てたられた、可哀想な人じゃんか。


「オイ、何処見てんだよ!ブス」

「………ブス?!私がぁ?」

「そうだ、御前だよ。他に人なんて居ないだろ!ブスに加えて、馬鹿も入ってんのかよ?」

「……っんだとぉ!?私は馬鹿じゃないし、ブスじゃない!馬鹿だったら、アイツだけよ!!」


手に持ったバックを思いっ切り男に叩き付け、此の場から離れる様に走る。あぁ~あ…。此れで、学校も遅刻決定だわ。もう、最悪。


「……何だよ、あの女…」



滑り込みで、何とか学校に間に合った。セーフ。坂先さかせんが来る前で良かったわ。と、私が席に着いたのを見計って、佐奈さなが此方にやって来る。

はぁ…。正直、佐奈と話してると疲れる。何か、親友だと思われてるらしく、馴れ馴れしく話掛けられるし。

付合わない方が良いって分ってるけど、周りはもうグループ出来てるし、一人になりたくないから、無理して付合ってる。


「……でさぁ、そうなんだよね。ほら、私が……」

また、自分の自慢話ですか。人の話聞いてないし。佐奈は、唯単に話し相手が欲しいだけ。其れも、自分の話だけ聞いてくれる人が。

そんな人だから、佐奈の周りには誰も近寄らない。だから、同情した私が、佐奈に話掛けた。迂闊だった。こんなにも我儘な子だったなんて。


「おい、其処ーッ!HR始めるから、御喋り止めなさい!!」

「はーい♥あっ、じゃあまたね、織」


私、全然喋って無いんですけど。ってか、あの子がずっと、喋ってただけなんですけど。坂先、何見て言ってんの?私が、喋ってる様に見えた?

大人なんて、結局物事でしか考えない。人気のある子には態度を変えて話すし、最低な奴等だ。大っ嫌い。皆、嫌いだ。死ねば好い。


「今日は、転校生が来たぞ」

『男?女?』

「男だ」

『きゃぁぁぁぁ!!』

「女子、あんまり騒ぐと転校生が驚くだろ?入って好いぞ、八月朔日ほずみ


ガラって音が教室内に響いた所で、私とさっきの男の目が合った。最悪…。何で、さっき喧嘩別れしてもう会う事は無いと思ったのに、また会ったんだろう。しかも、同じクラスだし。正直、気まずい。目を合わせられない。


「八月朔日 健人けんとです。宜しくっ」

「じゃあ、八月朔日の席は…と、立花たちばなの所が空いてるな」


……ゲッ…。坂先、嫌がらせですか?ってか、御前も来んなっ!他行け!他ッ!


「……おい。後で、さっきの返してやるよ、立花サン」

「………っ」


神様…。此れって、あんまりにも不公平じゃないですか?絶対今日が命日になりますよ私。


「……なぁ?」

「………」

「……ブス…」

「誰がブスよッ!此の、暴言野郎!!」

「立花。今は授業中だぞ。御喋りなら後にしてくれ。其れから、汚い言葉を吐くな」

「……っ、すいません……」

「……プッ…怒られてやんの」

「だ、誰のせいでぇ…っ」

「なぁ。御前が言ったアイツって、誰の事よ?」

「…はぁ?」

「さっき言ってたじゃん。『馬鹿だったら、アイツだけよ!!』って」

「あぁ…、ナル男の事ね」

「ナル男?」

「そう。自分大好きで、自分のチャームポイントを人に話したがる、ナルシスト男」

「略してナル男…か」

「うん、まぁね。私の兄貴なんだけどね」

「御前、自分の兄貴の事、ナル男って呼んでんの?」

「そうよ、悪い?」

「否、全然悪かねぇーけど。ってかさぁ、今日、御前ん家寄って好い?」

「はぁ?何でぇ?」

「其の、ナル男って奴に会ってみたいからだよ」

「……あっそ」


ちょっぴり、期待してしまったじゃないか。此れはまるで、少女漫画の様な展開になるんじゃないかって、本のちょっとだけ。

あっ、あんまり私、漫画見てる訳じゃないから。そう、小学生の時の話であって、本当だからね。誤解しないでよ、分かった?


「……ナル男にナル女か…」

「…はぁ?」

「いや、別に…クスクス」


時間は過ぎるのが早くて、気付いたら放課後になっていた。隣に居る男はというと、グッスリな様で。静かに席を立とうとした。

冗談じゃない。誰が、あんな馬鹿と会そうとする奴が居るか。アイツのせいで、私は友達を無くした事がある。其れに両親だって…。


「……其れが、御前が兄貴に会したくない理由か?」

「…!起きて…た…の?」

「御前、結構口に出るからなぁ。で、理由が其れ?友達の事や、両親の事か?」

「……っそうよ!だって、アイツが居るから、友達だって出来ないし、親だって……」

「其れは御前のエゴにしか過ぎないぜ。勿論御前の両親だって、全部兄貴を理由にして、元々は――」

「煩いッ!其れ以上言うと、殺すから!全部、アイツのせいで、私の幸せは奪われたのッ!アイツが居なきゃ、私は……」

「……御前…」

「死ねッ!馬鹿野郎!!」


何をムキになってるんだろうと、思った。けど、私のプライドが崩れる気がして、ナル男の事を責める自分が情けない気がして、私は認めたくなかった。

後ろで聞える八月朔日の声。今は聞きたくない。だって、もし聞いてしまったら、私の足元は崩される。そんな恐怖が脳内を巡った。

もう、自分を責めたくない。あの時の様な生活を送りたくない。ねぇ?私って何?一体、誰に此のドロドロとした気持ちをぶつければ好い?教えてよ…。

後書き

最初はうやむやの儘進めてたのですが、書いてるうちに段々のめり込んで、二つに分ける事にしました

現代のストレス社会を描いた作品なのですが、伝わらないですよね…(-_-;)

人のせいにする事で自分のストレスを無くそうとする織と、其れを否定する健人。そして、織のストレスになってる兄のナル男(笑)


初出【2010年11月10日】の一部加執筆&削除を除き、ほぼそのまんまの文章の配列に後書きを改めて読んで……ぶっ飛んだキャラ出してたなぁと思いました(笑)

後この頃の私、ちょうどある作品の影響もあって、現代社会の闇を描く事にめちゃくちゃ憧れてた気がします(`・ω・´)

ってか主人公である織ちゃんを筆頭に、クラスメイトの健人くん…めちゃくちゃ尖ってるなぁ…( ;´Д`)あの頃の私、尖ったキャラブームでもあったんかなぁ??読んでて序盤、気分悪くて途中で放棄しそうだったぞ…(>人<;)((←!?

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