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竜使いのラーシャ  作者: 紅月
恋と友情と建国祭
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前準備

 たっぷり昼過ぎまで寝たラーシャが、ルーキスと共に部屋から出ると祖母のシューリカとセイラが談笑していた。


「あら、ラーシャにルーキスも。目が覚めたの?」


 シューリカに笑顔で迎えられ、ラーシャは頷くと席に着く。

 すると、すぐにセイラが熱いお茶を淹れてラーシャに渡した。


「はい、どうぞ」

「ありがとう、セイラ姉。…ところでゼン兄は?」


 熱いお茶を冷まそうと、必死に息を吹きかけながらラーシャが質問すると呆れたようにセイラが肩を竦める。


「今日は日勤よ。ラーシャの舞台を観てからそのまま、仕事に行ったわ。…あんまり寝てないから大変なんじゃない?」

「ラーシャの大舞台だもの。無理をしてでも観たかったんでしょう?それよりも、ルーキスもラーシャもすごく素敵だったわ」


 シューリカの言葉にハクレンとドルフがうんうん、と頷く。


【竜達の戦いとかすごい迫力だったな!あれってニア嬢が考えたのか?】


 ドルフの言葉にラーシャはグッと胸を張ると頷いた。


「もちろん!!ニアは何だって出来るんだからっ!」

【ニアは本当に凄いよな。あそこまでの舞台の演出を一人で手掛けたんだらな】

「多才だよねー」


 ラーシャはそう言いながら、やっと冷めてきたお茶を飲む。

 商いの才能もあれば、演出の才もあって本当にニアは凄いし、尊敬に値する。

 自分には取り柄なんてものは無いから、少し羨ましいとさえ思う。


【ラーシャ。そろそろ準備した方がいいんじゃないか?】

「え?」


 物思いに耽っていたラーシャはハッとして、顔を上げる。

 まだそれなりに時間もあるし、そんな急ぐ必要もない。

 思っていた事が顔に出ていたのか、そんなラーシャを見てルーキスは顔を顰めさせた。


【いつも時間に余裕があるって言って、ギリギリまで支度しないで遅刻し掛けるんだからもう今から準備しとけ】

「うっ…」


 ルーキスの辛辣な言葉に、言い返すことが出来ないラーシャは渋々お茶を飲み干すと立ち上がる。


「わかってるよって。…お茶ご馳走様でした」


 ラーシャがそう言って、コップを流し台に持って行こうとした瞬間、セイラに腕を掴まれた。


「…セイラ姉?」


 訝しげな顔をしてセイラを見ると、彼女は眩しいくらいの笑みを浮かべた。


「今日は大切な日だからねっ!!私が髪を結ってあげる!」

「大切な日?」

「いいから、いいから!ラーシャが気にすることじゃないけど、せっかくのお祭りだもん。オシャレしなくちゃっ!」


 セイラの言葉に戸惑っていると、シューリカも同意しながら立ち上がる。


「そうね。セイラ。ラーシャをお願いね?私はコップ洗っちゃうから」

「わかりました!私が腕に寄りをかけてラーシャを変身させますっ!」

「まぁまぁ、楽しみだわ」


 ラーシャを置いて二人で盛り上がったあと、セイラは早速ラーシャを引き連れて歩き出す。

 向かうはもちろん、ラーシャの部屋。


「さぁ、忙しいわよ。着る物決めたら次は髪型よね」

「せ、セイラ姉?髪を結うだけなんじゃ…」

「あら?服も選ぶわよ。今日は特に気合を入れないとね。…ルーキス、ドルフ。外に行って水を汲んできて。ラーシャったら、目ヤニなんてつけて…」


 セイラはそう言って苦笑しながら、ルーキス達を見送ると表情を引き締めた。


「さ、始めるわよ」

「…お願いします…」


 それからラーシャは着せ替え人形の如く、セイラに何度も何度もいろんな服に着せ替えられながら今日の祭りにいて行く服を選んでいく。

 正直、このままでは祭りまでに体力を失ってしまいそうになったのは内緒である。

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