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竜使いのラーシャ  作者: 紅月
恋と友情と建国祭
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再出発

「家を出たら仕事は何をするんだ?」


 ベインの質問に、フォルテは少し考え込んでいると寝ていたと思っていたダルテがパチッと目を開く。


「フォルテ転職すんの!?」

「今まで寝てた癖に急に話入ってくんなよ」


 フォルテが面倒臭そうにダルテをあしらうが、酔っ払いは全く気にする風もなくへにゃっとした笑みを浮かべる。


「えー、フォルテが転職するならさぁ、麒麟商会に来いよー!俺がお義父さんに頼んでやるからさぁ!!」


 そう言ってダルテはフォルテに抱きつく。

 素面なら絶対、怖くてフォルテにそんなこと出来ない。

 酒の恐ろしさをベインは実感する。

 今日がダルテの命日にならないように、そろそろ止めてやらないと。


「やめとけって。そもそも、結婚してもないのにそんな融通きくわけないだろっ!!そんな適当なことばっかり言ってると、婚約破棄されるぞ」

「婚約破棄!?絶対嫌だ!」


 ベインの脅しに、ダルテは再び泣き出し、麦酒をすすりながら鼻を鳴らす。


「それ位にしておけよ?ニアに怒られる」

「嫌だぁぁぁぁ!」

「こいつすげぇ、めんどくさいな」


 フォルテが呆れたように言うと、ダルテの相棒のティルティか申し訳なさそうに頭を下げる。


【本当、悪いわね。…ほら、ダルテ。もう泣かないのよ】


 ティルティはそう言って、ダルテの頭を撫でて泣き止ませる。


「まったく、少しは大人しくしてろよ。…安心しろよ、麒麟商会に入るつもりなんて無いからな」

「じゃあ、どこに入るんだ…?」


 フォルテの言葉に涙を拭ってダルテが首を傾げる。


「せっかく実家を出るんだ。家業の玉葉みたいな貿易商にはもう働かない。二度とな」


 フォルテはそう言って、少し考えるとスッとベインを指差す。


「ベインと同じように、騎士団に入るか」


 ニヤッと笑ってフォルテは楽しそうに言う。

 それとは逆に、ベインは顔をギョッとさせてフォルテを凝視する。


「正気か!?お前、酔ってるだろ!?」


 フォルテが騎士団に入って厳しい訓練してるところなんて、とてもじゃないが想像出来ない。

 ベインの反応にフォルテは、気に食わなさそうに眉間に皺を寄せた。


「正気だ。いいじゃねぇか。ラソはその辺のやつより強いし、俺だって訓練すればそれなりにやれんだろ」

「いや、ラソが強いのは知ってるけど…お前に訓練耐えられるか?」


 思わずベインが本音を漏らすと、フォルテは鼻を鳴らす。


「ラーシャに耐えられるんだから俺にだって耐えられんだろ」


 フォルテのその言葉にベインは、天井を仰ぎ見て思わず手で目を覆った。

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