鈍感
「ベイン、そんなの今聞かなくてもいいだろ?」
セルジュが聞かれたわけでもないのに、顔を真っ赤にさせて、バックンバックンと暴れる心臓を押さえて抗議した。
案の定、ベインは眉間に皺を寄せる。
「なんでお前が顔を赤くしてんだよ?別にいいだろ?隠すようなことじゃねぇし」
そう言ってニヤッと笑うとベインは、そっとセルジュに耳打ちをする。
「それにセルジュだって気になってるだろ?」
「それは…っ!」
セルジュはベインから離れると、口籠った。
気になると言えば、気になる。
でも、知りたいかと言えば話は違ってくるのだ。
唸り声を出しながら黙るセルジュを見て、ラーシャは小首を傾げてから、ふぅとため息をついた。
「急に変なこと言うからびっくりしちゃったじゃん」
「別に変じゃねぇだろ?俺たちはもう十八だぜ?建国祭で装飾品を渡す相手くらい考えるだろ?」
そう言うベインにラーシャは肩を竦めさせた。
「みんなはそうかも知れないけど、私にそんな人いると思う?」
「わからないから聞いてんだろ?…で?どうなんだよ?」
さらに言及してくるベインにラーシャは、苦笑する。
「いるわけないじゃん。当然、装飾品だって用意してないよ」
ラーシャは、ないない、と手をヒラヒラさせた。
「それに私に渡そうとする人だっていないだろうし、私には関係のないイベントだよ」
きっぱりそう言い切るラーシャにベインとセルジュは微妙な顔をして黙り込む。
そんな二人の様子に気づかないラーシャはグッと体を伸ばす。
「んー!…さてと、私はそろそろ帰ろうかな。師匠との訓練の前に少し休みたいし」
ラーシャは立ち上がると、お尻についた砂を払い落とす。
「二人はどうする?もう帰る?」
ラーシャの質問にセルジュ達は顔を合わせる。
「いや、俺たちは…」
「もう少し残るかな」
二人の言葉にラーシャは頷いた。
「そ?じゃあ私は先に帰るね!!また明日!」
ラーシャはニコッと笑って手を振ると、ルーキスと共に帰って行く。
それを見送りながら、セルジュがため息を零した。
「ラーシャのあの鈍感さは、何とかならねぇのか?」
「無理だろ」
ベインの言葉にセルジュが即否定すると、ニクスが慰めるように彼の頭に乗っかる。
【まぁ、それもラーシャの魅力の一つだよ】
【それにしたってもう少し気付いてもいいような気がしやすけどねぇ】
ナイラの言葉にベインは頷いた。
「本当だよな。…セルジュもソルも苦労するな」
ベインの労るような言葉にセルジュは、苦笑いを浮かべることしか出来なかった。




