未来を共に
「ダルテ、私と結婚して下さいますか?」
ニアの言葉にダルテは目が落ちるのでは?と心配になるくらい見開いた後、情けない顔をする。
「プロポーズは俺からしたかったのに…!」
ガックリと肩を落とすダルテに、彼の両親は楽しそうに笑うとその背中をニアの方へと押す。
突然の事によろめくダルテの手を、ニアがすぐに掴んで支えると二人の視線がピタリと重なった。
「本当は、来年の建国祭でプロポーズするつもりだったんだ。…ロアンと婚約してても」
困ったようにダルテはそう言うと、ニアの手を取ったまま膝をつく。
「ニア、こんなに情けなくて頼りない俺だけど、絶対に君を幸せにする。…だから、結婚しよう」
「私からプロポーズしたのに断るなんて事あると思います?」
ニアはポロポロと涙を流しながら、そう言ってダルテの頭を抱きしめた。
「結婚しましょう!ダルテ、愛してますわっ!!」
ニアの言葉を聞いた瞬間、ダルテはそのまま彼女を抱き上げ、力強く立ち上がった。
「一生大切にするっ!!」
二人が幸せそうに笑うのを見て、ラーシャが涙を流しながら、その光景を見つめた。
二年前からずっと、ダルテへの想いを泣きながら抑えつけてきたニアを知っているから、本当に良かったと心から思う。
ラーシャは涙を拭うと、鼻を啜る。
自分だけ泣いてちょっと恥ずかしいと思いながら、周りを見るとソルとベイン、シーラは大号泣していて、セルジュとアルスは涙ぐんでいた。
みんな、心の中ではニア達の恋愛がうまくいく事を祈っていたのだ。
それがやっと結ばれた。嬉しくない訳がない。
「後でフォルテにも教えてあげなやきゃ…!」
ハンカチを取り出してシーラが言うと、ベインも頷く。
「あいつもダルテを応援してたからきっと喜ぶぜ」
それから、ラーシャ達はニアとダルテの元へと駆け寄り口々に祝福の言葉を贈る。
【ニア様とダルテが結婚するって事は、エルとティルティも家族になるって事ですねぇ】
ハッとしてエルはそう言って、満面な笑みでティルティを見つめる。
すると彼女は物凄く嫌そうな顔をした。
【ダルテ達が幸せになるのはいいけど、あんたと家族になるだなんて最悪だわ】
全力で拒否をするティルティにエルは首を傾げる。
【うーん、こういうのってなんて言うんでしたっけ?】
【嫌よ嫌よも好きの内じゃないかな?】
ニクスの言葉にエルは笑みを輝かせる。
【それです!それ!!!ティルティはやっぱり、エルが好きなんですねぇ】
【違うから!】
心底嫌がるティルティをものともしないエルに、ルーキスは呆れたような顔をする。
【ポジティブにも程がある…。ニクスも余計な入れ知恵するなよ】
【えー、絶対満更じゃないと思うんだけど】
【まぁ、これから一緒に生きていこうと思うのならば、それくらい鈍感でないとやって行けぬからな…良いのではないか?】
珍しくフォローを入れるベルナデッタをルーキスは少し驚く。
すると、彼女が耳元でそっと囁いた。
【そう言ってやらぬと可哀想であろう?ニクスはお前に拒否られている度にそう思っているのだろうからな】
【…】
ルーキスは黙り込むと、楽しそうにエルと会話するニクスを見て、もう少し構ってあげようかと、思う。
その時、ラーシャ達に突然通信が入った。




