助けに
【こんな奴、庇う必要なんて無いのに…】
ポツリとニクスは呟くと、体の力を抜き大人しくなった。
その事に、セルジュがホッとするのと同時にアルティが触手から解放され、檻の床へと投げ捨てられた。
白目を剥き、口から泡を吐くアルティをセルジュは一瞥すると、すぐにデイルの元へと駆け出す。
「デイル団長!!」
要塞が突然崩れだし、その場が騒然となり怒号が飛び交う中、デイルを見つけたセルジュが叫ぶ。
突然の事に困惑していたデイルも、一緒にいたゼンと共にセルジュの元へと駆け寄ってくる。
「セルジュ、これは一体…!」
「アルティが、起爆の魔石を発動させました!もうすぐ要塞が崩れますっ!!」
セルジュの報告にデイルが一瞬、表情を強張らせると、すぐに引き締めて頷く。
「ラーシャ達は脱出したかい?」
【ラソ達とは合流出来たみたいだけど、ルーキスもラソもまだ要塞の中にいるよ】
冷静さを取り戻したニクスが、険しい顔をしてそう告げる。
それを聞いてゼンが弾かれたように、走り出した。
「なら、今すぐ助けに行きます!!崩壊は始まったばかりだから、間に合うはずだ…!」
デイルの返事も聞かずに、ゼンはそう言うとアイシャに飛び乗り要塞へ向けて飛び立つ。
「一緒に行きます!!ニクス、頼む!」
セルジュもニクスに、元の大きさに戻ってもらうとすぐにその背に乗り込む。
【しっかり掴まってて!飛ばすよ!】
ニクスは地面を強く蹴り上げると、一陣の風となって空へと舞い上がる。
それを見ていた、デイルの相棒である紫竜のレイヴが怪訝な顔をした。
【行かせてしまってよろしくて?】
「ダメに決まってるでしょ?…レイヴ、お願い」
普段の穏やかなデイルの声とは、一転して重く低い声で命じる。
【全く、損な役割ですこと】
レイヴは、ため息混じりにそう呟くと咆哮を上げた。
ーーその刹那、この周囲一体に魔法障壁が現れセルジュ達の行手を阻んだ。
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