こんな事なら
三匹の竜に首輪を着けたのを確認すると、女はアルティに手を挙げて合図を送った。
それにニヤリとアルティは口角を吊り上げる。
「いいだろう!さぁ、受け取れ!!!」
アルティが高らかに声を上げた次の瞬間、中庭の上空に二十匹程の竜が姿を現した。
上空にいる竜達と女の黒竜が一斉にラーシャ達に向かって口を大きく開ける。
何をする気なのか気づいたルーキスが叫び声を上げた。
【やめろっ!!!】
ルーキスはラーシャ達の元へ駆け付けようとするが、首輪を着けられた男に羽交い締めにされてそれが叶わない。
力を封じられ、能力はおろか体を戻す事さえも出来ずにラーシャ達を守る術が無く、ただここで、ラーシャ達が殺されるのを黙って見ていることしか出来ない。
それでも、ルーキスは張り裂けそうな声で叫ぶ。
【ラーシャに手を出すな!やめろ!!!】
「やれ!」
だが、ルーキスの声は誰にも届かず、無情にもアルティの一言で竜達が一斉にラーシャ達向かって攻撃を放つ。
「フォルテ!!!」
ラーシャは咄嗟にフォルテの腕を強く引いた。
「なっ!…っ!?」
突然の事にラーシャの手を振り解こうと抵抗した瞬間、バランスを崩したフォルテは尻餅をつく。
ラーシャはそれに構う事なく、座り込むフォルテを守るように覆い被さると、彼の頭を強く抱きしめる。
絶対にフォルテに傷一つ負わせないっ…!!
ラーシャがより一層強くフォルテを抱きしめた瞬間、耳を劈く程の轟音と衝撃がラーシャ達を襲った。
もうもうと立ち込める土埃のせいで、ラーシャ達がどうなったのか全く見えない。
たとえ見えたとしても、二十匹もの竜達の同時攻撃だ。
人間なんてひとたまりも無く、肉の塊すらも残っていないだろう。
「はっ…なん、で…」
掠れた声でニアはそう呟くと、大きく開いた瞳からボロボロと涙を零す。
自分を助けに来たが為に大切な友人を失ってしまった。
こんな事になるなら、いっその事自分が死んだ方がずっとよかった。
後悔と絶望で胸が押し潰されそうになりながら、ニアはただ土埃が治るのをただ待つ事しか出来なかった。
いつも読んでいただきありがとうございます。
本日の投稿時間が遅れてしまい申し訳ありませんでした。




