思わぬ味方
「団長、もう諦めた方がいいですよ」
ため息混じりにそう言ったのは、ゼン。
「覚えてますか?何年か前にルーキスが密猟団に捕まった時、ラーシャは俺が大人しく待ってろってキツく言いつけたにも関わらず、セルジュとニクスまで巻き込んで敵地に乗り込んだんですよ?今回だって、大人しくしてるはずありません」
そう言ってゼンはラーシャの背中を思いっきり叩く。
「痛っ…!」
あまりの痛さに悲鳴をあげてラーシャが恨めしそうにゼンを見れば、真剣な眼差しが帰って来た。
「どうせ団長から許可が降りなかったらこのまま、カルミアの本拠地に乗り込むつもりだったんだろ?」
「うぐ…」
ラーシャは目を泳がせて、黙秘を試みる。
それを見てゼンはそれ見たことか、とばかりに肩を竦めた。
「セルジュとベインだって、そのつもりのはずです。言うこと聞かないで、勝手に乗り込んで最悪の結果になるくらいなら最初から作戦に組み込んだ方がいいと思います」
ラーシャは驚いて目を開く。
ラーシャの行動を全てお見通しで、ゼンが味方になってくれているのだ。
前回は“お前が来ても何も出来ることはないし、足手纏いだ。待ってろ”って言ってたのに。
少しはラーシャの実力を認めてくれたのだろうか。
そう思ったら少し照れ臭くて、ゼンから顔を逸らす。
ゼンの説得を聞いてもなお、デイルは依然険しい顔をしたまま口を開く。
「それでも命令を聞けなければ大勢の犠牲が出てしまう事だってあるんだ。…他の騎士達の事を考えればやっぱり許可を出すなんて出来ないし、一般人である君の参加も認めることは出来ないよ」
これでは堂々巡りになってしまう。
どうにかして、デイルを説得できないだろうか。
ラーシャは必死に頭を回転させて打開策を見出そうとしていると、デイルが一際大きなため息をついた。
「でもまぁ、ゼンの言うことは一理あるよね」
諦めたようなその声色に、ラーシャはセルジュ達と顔を見合わせるとすぐにデイルを期待に満ちた目で見つめる。
「じゃあ…!」
ラーシャが期待を込めてそう言うと、デイルが困ったように笑って頷いた。
「参加を認めるよ。…でも、絶対に命令には従ってもらうよ。もし、従わなかったら強制退団だからね。…その覚悟はあるかい?」
いつも読んでいただきありがとうございます。
本日の投稿時間が遅れてしまい申し訳ありませんでした。




