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竜使いのラーシャ  作者: 紅月
過去と挫折と約束
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ソルとセルジュ

 セルジュとソルは食事が終わると二人で協力をして兄弟子達が使用した食器をソルの母と姉である、フィアナとシアが待つ流し台へと運び込む。


「二人ともありがとう。これで最後かしら?」


 

 フィアナに食器を渡しながらソルが頷いた。


「これで終わり。あとやる事なければ工房の掃除してくるんだけど」

「ええ、もう大丈夫よ。お掃除お願いね」

「やった、行こうぜ!セルジュ!!」


 嬉々としてセルジュに声をかけるソルにシア呆れたように声をかける。


「あんた、掃除終わったらちゃんと宿題しなさいよ?ソルは宿題そっちのけで装飾の練習するんだから…セルジュ、ソルの事お願いね?」

「わかりました」

「何言ってんだ、セルジュ!俺ちゃんとやるってるだろ!」


 抗議するソルにセルジュは「はいはい、わかったわかった」と受け流して、手を引いて工房へと連れて行く。

 それを見送ってから、フィアナとシアは顔を見合わせて笑う。


「ふふ、セルジュも大分馴染んで来たわね」

「そうね。最初の頃は全然笑わないし、どうしようかと思ったわ」

「少しずつでもあの子の心の傷が癒えてくれればいいんだけど」


 フィアナはそう言って苦笑した。


「ちょっと重くなっちゃったわね。…ねぇ、シア?頂き物のクッキーがあるのだけど食べる?」


 その言葉にシアの目が輝く。


「もちろん。二人だけで食べましょう!男共には勿体無いわ!」

「じゃあお茶の用意するわね!」

「私は洗い物をさっさと終わらせるわ」


 それから二人は秘密のお茶会を始めるべくすぐに自分の仕事に取り掛かった。




++++++++




 セルジュは井戸から汲んだ水を持ってくると早速作業台の上を拭き始める。


「あ!大きい鱗見っけ!ラッキー!!」


 ソルは嬉しそうに床に落ちてた鱗を拾うと袋に入れた。

 それを見ていたセルジュがため息をつく。


「ソル、早く掃除しないと部屋に戻れないぞ」

「わかってるって!でも、俺たち見習いはこういう屑を拾わないと、練習できないんだからしょうがないだろ?…この大きな奴はお前にやるからな!」

「…ありがとう」


 セルジュが苦笑して言えばソルは得意げに笑い、使えそうな鱗がないか目を皿のようにして掃き掃除をする。

 セルジュがソルの家に居候するようになって2年経つ。ソルと一緒に工房の雑用や家事を手伝う傍ら、装飾品の作り方を習っている。

 夢は騎士団に入っていつか騎士団長になることなのだが、装飾品作りは結構楽しい。

 鱗を彫る作業が難しいのだが最近では鱗を割らないでなんとか彫れるようになってきた。

 ソルの教え方も意外に上手でわかりやすい。

 そんな事を言えばソルが調子に乗りそうなのでセルジュとニクス、ベルナデッタだけの秘密である。


「早く宿題終わらせて作業の続きやりたい…」

「今、ソルが作ってる鱗を貼り合わせて作るステンドグラス、すごい綺麗だよな」

「へへ、だろ!あれをさ、天窓作ってつけようと思うんだけどどう思う?」

「…まずはフィアナさんかシアに確認を取ってからじゃないと殺されると思う」

「…確かに」


 ソルは少し顔を青くさせて同意した。


「…そう言えば、ラーシャどうだった?」

「ん?あぁ…。フラウ先生に竜使いは諦めた方がいいって言われたらしい」

「…そうか…」


 セルジュはそう言って作業台を拭く手を止めた。


「それは…辛いだろうな」

「小さい頃からずっと竜使いになるんだって言ってたからなぁ」

「諦めるって?」

「話し合うって言ってたけど…多分あいつの中ではもう答えは決まってると思う」

「…ルーキスのために諦める、か」

「多分な。今のままじゃ世界を巡るのも厳しいだろうし」

「巡ってる最中に襲われたら殺されるだろうしな…」


 セルジュがそう言うと重い空気が部屋に流れる。

 それ以上話す気になれなくて黙って掃除をしていると、扉をノックする音が聞こえた。

 二人は顔を見合わせてから、セルジュが扉を開くとニクスがいた。


「ニクスどうした?ベルナデッタと先に部屋に居るんじゃなかったのか?」

【…いや、それが…】


 セルジュの質問に言いにくそうに言葉を濁すニクスに首を傾げた。


「どうした?」


 ソルも気になって尋ねるがやはり言いにくそうにしている。


「うーん…。セルジュ、後は俺がやっておくからニクスの話聞いてやれよ」

「いいのか?」

「もうあと少しだし大丈夫だって。任せろよ」

「悪いな、ニクス行こう」


 セルジュはニクスを連れ立って雨の降る外へと出た。

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