宝
「セルジュは?何か言いたい事があるかい?」
話を振られ、セルジュは少し考えてから口を開く。
「身代金の引き渡しはどうするつもりですか?カルミアはニクス達を介して身代金を渡すように要求していますよね?」
これは、セルジュ達が作戦に参加できる口実の最終手段だ。
「虹霓竜でなければカルミアはニア達を返還してくれないのでは無いのですか?」
「そうだね。でも、虹霓竜はこの国の宝だ。密猟団に渡す訳にはいかない。…ウィンター氏もそこは理解して頂きたい」
デイルの言葉にウィンターは顔を真っ赤にして、机をドンッと叩く。
「国にとって虹霓竜が大切なのは理解している…!!だが、ニアは…私の大切な娘で私達にとって何にも変えられない大切な宝だ!」
「わかっています」
そう答えるデイルにウィンターは勢いよく首を横に振った。
「嘘だ!お前は何もわかって無い!!!お前にもしも子供がいて同じ要求されたら、虹霓竜の方が大切だと言って簡単に見捨てられるのか!?」
悲痛な叫びにデイルは一度目を伏せてから、再び視線をウィンターに向ける。
「…自分は結婚はしていないので想像でしか話す事ができません。説得力が無いと思いますが…もし、自分の子供が誘拐され虹霓竜を巻き込むような事があれば、子供を犠牲にする事も仕方ないと思っています」
「…ならば、私の娘に犠牲になれと?」
震える声でウィンターが尋ねたその瞬間、会議室の扉が開け放たれた。
「ええ、その通りです」
騎士達が驚いて振り返ると、そこにはニアの婚約者であるロアンとその後ろにフォルテとラソ、そして何故かリズベルトが入って来た。
「皆さん、お疲れ様です。僕の婚約者の為に集まって頂き本当にありがとうございます」
ロアンはそう言って笑顔で言うと、デイル達の元へとフォルテ達を引き連れて歩いて行く。
「話は聞いていました。デイル騎士団長、貴方は素晴らしいです。例えどんな犠牲を払ったとしても、この国の利益を守る…本当に見習うべき姿ですね」
ロアンはデイル達の前に着くなり、賞賛すると今度はウィンターを見て肩を竦めさせた。
「ニアと従業員はもう諦めましょう?」
その言葉にウィンターは目を見開く。




