除外
演習場へと降り立つと、すぐにラーシャ達は駐屯所に向かって走り出す。
「会議室にみんな集まってるってレミさん言ってたよな?」
「うん。とにかく急ごう」
ラーシャはそう言ってセルジュ達と共に中へと入り会議室へと急ぐ。
所属する騎士達が全員収容出来る大きな会議室の扉を開くと、既に集まっていた騎士達が一斉に振り返った。
その視線に、居心地の悪さを感じながらもラーシャ達は頭を下げる。
「遅くなりました」
ベインがそう言えば、デイルは険しい顔で頷いた。
「ご苦労様。とりあえず座って」
そう言われて、ラーシャ達は一番後ろの席に座る。
一番前には、デイル、フリーラにニアの父親であるウィンターとその執事のケルディがいた。
ケルディは相変わらず顔色が悪く、ウィンターは深く項垂れていてラーシャ達が会議室に入って来たことにも気付いてなさそうだった。
ニアが誘拐されたのだ、生きた心地などしないだろう、とラーシャが心配そうに見つめていると不意に顔を上げたウィンターと目がパチッと合った。
その瞬間、ウィンターはふらつきながら立ち上がるとラーシャ達の元へと走って向かって来た。
【ウィンター!落ち着くです!!】
ウィンターの相棒である青竜、ビクターが引き留めようと叫ぶが、全く耳に届いてない。
「ラーシャ!セルジュ!!」
そう言ってウィンターは二人の前に来ると頭を下げた。
「頼む!あの子を救ってくれ!!!」
「に、ニアのお父さん!?」
驚くラーシャに構う事なく、ウィンターは続ける。
「ラーシャとセルジュしかニアを救えないんだ…!」
絞り出すような声に、ラーシャとセルジュは顔を見合わせた。
頭を下げ続けるウィンターにどうしたらいいのか分からずに困惑していると、デイルがやって来てその肩を掴む。
「ウィンターさん先程から言っていますが、今回はこの二人は作戦から除外します」
その言葉に、ウィンターはガバッと頭を上げるとデイルを睨みつけた。
「何故だ!?うちの娘の命が懸かってるいるんだぞ!?」
「わかっています。それでも、協力はさせませんよ」
きっぱりと言い切るデイルにウィンターは悔しそうに顔を歪める。
そんな二人を見て、ラーシャが戸惑っているとセルジュが口を開いた。
「団長、俺達は協力を惜しむつもりはありません。ニアは俺達の大切な友人です。もちろん、ダルテも」
セルジュの言葉にラーシャも頷き、自分の胸に手を当てる。
「それに私達は騎士です!市民を守るのが私達の使命ですよね?」
「そうだよ。それが騎士の使命だ。…それでも君達の参加は認めない。ベインもね」
デイルはそう言って背を向けると、不服そうな顔をしているウィンターを引き連れ前へと戻って行く。
それに納得出来ないベインが椅子から立ち上がった。
「ちょっと待って下さい!!!!」




