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竜使いのラーシャ  作者: 紅月
勇気と無謀と思惑
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心得

「大丈夫そうか?気絶してるけど傷は深いのか?」


 ソルの質問に、ベインが首を横に振る。


「いや、傷はそこまでじゃないと思うんだが…」


 ベインはそう言って立ち上がると、キッチンから清潔なタオルを手に取りそれをバケツに汲んであった水で濡らす。


「血が止まってるみたいだから、これで頭を拭いてやってくれ」


 そう言って、ベインは絞ったタオルをソルに投げ渡す。


「え!?俺が!?こんな大怪我した人にそんな事やったことないんだけど…!」

「わ、私がやります。貸してください」


 狼狽えるソルの手からアルスがタオルを奪うと、手際良く男の顔や頭の血を拭う。


「へぇ、すげぇな。手慣れてる…」


 感心したように言うソルにアルスは苦笑した。


「これでも、騎士団の二次試験は受けましたから。応急処置の心得はあります。…傷が浅くてよかったですね。これなら、命に別状は無さそうです」


 アルスはホッとしたように言うのと、同時に通信を終えたラーシャが戻って来た。


「レミさん、すぐに来てくれるって。…この人、ここ店主かな?」


 ラーシャが心配そうに覗き込んでそう言うと、頭部以外の外傷がないか確認していたセルジュが顔を上げた。


「多分。頭以外に傷も無い。頭部の傷が浅い事から大量出血は考え難い。…この血痕は店主のじゃなさそうだな」


 セルジュの言葉にラーシャは少し残念そうに頷いた。

 不謹慎かもしれないが、この血痕が店主のものだったらと願ってしまった。

 私情を挟まないと決めたばっかりなのに。

 ラーシャは首を横に振ると、あることに気づく。


「あれ?店主の竜は?いないの?」

「それが、見当たらないんだよな。今もナイラ達に店主の竜を探してもらってる最中なんだけどさ」


 ベインも腑に落ちなそうな顔をする。

 本来、竜は相棒である人間から離れようとしない。

 そんな竜が近くにいないという事は、その身に何かあったか、あるいはセルジュの父、リライのように何らかの理由ですでに竜と死別しているかだ。


「竜が無事ならいいんだけど…」


 ラーシャが心配そうに言った刹那、眠っていたはずの店主がカッと目を開き介抱していたアルスの両腕を掴んだ。


「ひっ…!!」


 アルスが怯えて身を引くと、オルフェが店主との間に入って低い唸り声を上げた。

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