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竜使いのラーシャ  作者: 紅月
勇気と無謀と思惑
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労う

 この二年の間に“種を蒔く者”は、信者を飛ぶ鳥を落とす勢いで増やし続け、最近では国教である竜神信仰を超えるのではないかと、囁かれている。

 金竜、アウルム。銀竜、アルゲン。リーツェに力を与え、この国を建国した二匹の竜の総称が竜神様。

 竜の国の国教の神は実在するにも関わらず、実在しない世界の終わりに導く女神の方が信仰を集めている。

 何とも可笑しな話だと、ラーシャは思うがシューリカに言わせてみれば“人は目に見えない、存在しないモノに強く惹かれる”のだという。


 だからって、世界の滅亡を望む宗教に入信するだなんて…。

 それほどまでに、ロベリエは追い詰められているって事だろうか。

 それなら、何か力になってあげられる事は無いか?


 そう思ったところでラーシャは首を横に振った。

 いずれにしても、きっとロベリエはラーシャの助けなんて欲しくは無いだろう。

 とりあえず、今はそっとして置いて、何か危ない事に巻き込まれそうになったら助け出そう。

 ラーシャがそう決心して、何度か頷くと背後から声を掛けられ、振り返るとそこにはセルジュとベインがいた。


「お疲れ様、ラーシャ」


 労ってくれるセルジュにラーシャは笑顔で頷く。


「ありがとう。セルジュとベインはこれからね。頑張って!予想以上に忙しいから」

「やっぱりそうだよなぁ…。俺らの時も結構笛の音聞こえてたから仕方ないか」


 ベインはそう言って、諦めたようにため息をつく。


「ベインはまだ、準夜勤だけだからいいでしょ?セルジュなんて、準夜勤と深夜勤の連続勤務なんだから」

「本当にそれな。…セルジュ、お疲れ様」

「お疲れ様」


 まだ、任務もしてないうちから二人に労われてセルジュは苦笑する。


「まだ、疲れてないから…。それに、連続勤務はスノウコルドでもよくやってたから慣れてる」

「まだ一年目の時からそんなハードなことを…!やっぱりイヴァン騎士団長鬼だわ」


 そう言って身体を震わせて見せるラーシャに、ベインとセルジュが声を上げて笑い合う。


 今回、セルジュだけが準夜勤と深夜勤の連続勤務の理由はニクスにある。

 ニクスは闇の眷属であり、夜ならば闇を自由に扱う事が出来る故に夜の森で何かあった場合、子供達を迅速に助ける事が出来るからだ。

 ちなみに、相棒の花竜のリリーが森、全体の状況を把握出来る為、副騎士団長であるフリーラに至っては三連続勤務である。


 ひとしきり笑った後、ラーシャはそうだ、と言って真顔になった。


「どうした?」

「まだ、四割子供達が契約できてないって言うから、騎士のみんな大変だと思って残業を申し出ようかと…」

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