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竜使いのラーシャ  作者: 紅月
異変と激動と動き出す運命
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挨拶

「お初にお目に掛かります。私、貿易商、豊穣の月をさせていただいています、リズベルトと申します。竜の国の太陽であらせられる女王リーツェ様にご挨拶申し上げます」


 世界をリズベルトの噛む事なく、スラスラと告げる口上にフォルテは内心舌を巻く。

 流石は世界を股に掛ける貿易商だ。

 女王を前にしても落ち着いている。


 …自分とは大違いだ。


 リズベルトが挨拶を終えると、次は自分の番だ。

 フォルテは深呼吸をして、緊張で渇ききった口を無理やり動かす。


「ぎ、玉葉の当主、ファランのむ、息子のフォルテです。こ、こち、こちらは相棒のら、ラソでございます。じょ、女王陛下にご挨拶申し上げます…!」


 頭を下げながら、物凄く噛んだ事に羞恥で顔真っ赤にさせるフォルテ。

 こんな所を家族に見られたら、なんて言われるか…。


「うむ。遠い所、わざわざ呼び出して済まなかったな。…久しいな、ラソ。変わりないか?」


 リーツェに声を掛けられ、フォルテに倣って頭を下げていたラソはパッと顔を上げて満面な笑みを浮かべる。


【うん!!ボクは元気だよっ!またリーツェに会えて嬉しい!!】


 無邪気なラソの言葉に、リーツェも思わず笑みを浮かべた。


「そうか、そうか。ラソが元気でよかった。…フォルテが大切にしてくれているおかげだな。心より感謝する」

「え、いや、お、俺は…!」


 予想外の言葉にフォルテが顔を上げるが、慌てて頭を下げた。

 まだ許可も出ていないのに、顔を上げるのはマナー違反だ。

 失態にフォルテの心臓が激しく脈打ち、その音は耳にまで届き鼓膜を揺らす。

 このままでは、ベルとか言う騎士に謁見の間から追い出されてしまう。

 フォルテが身構えていると、リーツェの笑い声が聞こえて来た。


「そう身構えずとも良い。…表をあげよ」


 リーツェの言葉にフォルテは胸を撫で下ろして顔を上げる。


「…っ」


 フォルテはハッとして思わず息を呑む。

金竜と銀竜に永遠の命と若さを与えられたその女性は、とても美しかった。


【フォルテ、リーツェに見惚れてるの?】


 小さい声でクスクス笑うラソをフォルテは軽く睨みつける。


「うるさい、黙ってろ」

【はーい】


 フォルテに怒られ、ラソは素直に頷いた。

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