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竜使いのラーシャ  作者: 紅月
異変と激動と動き出す運命
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見かけに寄らず

「大事にならずに済んでよかったわ」


シャノンの言葉にアビーも頷いた。


【本当、本当。ベルったらシャノンの速さに驚いてたよ?きっとシャノンはただの回復係くらいにしか思ってなかったんじゃない?ふふ。ゴリゴリの武道派なのに…ぶふっ】


 楽しそうに語るアビーの口をシャノンが鷲掴みにすると、微笑んだ。


「ちょっと喋り過ぎね、アビー?」


 アビーは必死にコクコク頷き、やっとの思いで解放してもらう。

 ちなみにシャノンは“武道派”と言われるのが死ぬほど嫌いであり、家族以外の他人に言われると容赦なく張っ倒すほどである。


「なんでライゼの能力スキルを知ってたのかしら?」


 話を変えるように、シャノンが質問するとライゼが、珍しく険しい表情で答える。


「花の国の子の話をしたの覚えてる?」

「ええ…。あの自ら食人花に食べられったていう…」

「そう。あの時、僕は能力スキルを使ったんだけどきっと彼もその場にいて見てたんだろうね」


 シャノンはリズベルトの人懐っこい笑みをを思い出して、眉を顰めた。


「“豊穣の月”のリーダーって事は、“種を蒔く者”の教祖だから、その場にいてもおかしくないけれど…人は見かけに寄らないわね」


 ライゼの予想通り、人を操る能力スキルを所持していたとしたら、彼が対象者に死ぬ事を指示してしまうような冷酷な人間には見えない。


「そうかな?」


 ライゼはそう言って歩き出す。


「ちょっと待って。ライゼはそう思ってないってこと?」


 シャノンが追い掛けながらそう質問するとライゼは頷いた。


「大体、裏で糸を引いているような奴は人当たりが良くて、人好きのする顔の人だなんだよ」


 ライゼはそこまで言うとニッコリ笑う。


「僕みたいにいつも笑ってる人とか、悪いこと考えるように見えないでしょ?」

「…なるほどねぇ?」


 シャノンは小馬鹿にしたようにそう言うと、ライゼを追い越してさっさと待機するように言われた部屋へと歩いて行く。


「えー、ちょっと、そう思わないの?ねぇー」


 慌ててシャノンの後追いながら、その背中に質問を投げかけるが答えは返ってくる事は無かった。

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