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竜使いのラーシャ  作者: 紅月
過去と挫折と約束
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試合準備

 危機回避訓練の担当であるソフィアの号令によって試合が始まった。

 もう試合も4試合目に突入し、ついに最後の試合である次の試合がラーシャ達の出番だ。

 試合を終えた生徒達は空を見上げて歓声を上げている。

 その歓声を聞きながらラーシャはルーキスに着けた竜帯に不備はないか今一度確認して、深呼吸をした。


「うわー、緊張してきた」

「大丈夫ですわ。みんなで協力して勝利を手にしましょう」


 緊張しているラーシャにニアはリーダーである証の青いマントを着けて悠然と微笑む。

 ラーシャ達の今回のカラーは青だ。その青いマントはとてもニアに似合っていて…とても羨ましい。

 そのマントを着けられるのはあくまで竜に乗りこなすのが優れている者だけだ。

 ラーシャもいつかあれを着けてルーキスと共に授業を受けたいがそれは無理だろう。


「そうそう。ボールが当てられなくてもお前達は逃げる事だけに専念しろよ。フォローは任せろ」

「ありがとう、ソル」


 苦笑してお礼を言えば、黙って話を聞いていたセルジュがラーシャの背を軽く叩く。


「焦るな。焦ってもいい結果は出ない」


 心を読んだようなセルジュの言葉にちょっと驚いた後、ラーシャは頷いた。


「わかってるよ。まずは目の前の問題からコツコツと片付けるよ」

「あぁ」


 その時、生徒達の歓声が一際大きくなった。どうやら、試合が終わったらしい。


【さて、皆様方。いよいよ出陣ですよ!!】


 ワクワクした声でエルがそう言えば、ラーシャ達は互いに顔を見合わせて頷きあうと自分の竜の背中に乗る。


「あ…」


 ルーキスの竜帯に自分の紐を繋げようとした時、紐が少し擦り切れかかっているのにラーシャは気がついた。

 危機回避訓練の時はルーキスの動きはかなり激しい。それが原因で擦り切れてきたのだろう。


【どうした?】

「ううん。なんでもないよ」


 今日くらいは保つだろう、とラーシャは構う事なく帯に紐を繋いだ。


 明日の授業までに紐を調達しよう。ゼン兄、予備持ってないかなぁ…。


 そんな事を考えながら校庭の真ん中に移動すると一列に整列をして、フォルテ達と向き合う。

 もちろん、相手のリーダーはフォルテ。

 フォルテ達はラーシャ達を見て馬鹿にしたような目で見ている。


「ルーキスの白い鱗を今日も真っ赤にしてやるよ」

「そう言っていられるのも今のうちだから」


 フォルテの言葉にラーシャがそう言い返すと、フォルテが鼻で笑う。


【お兄ちゃん!今日もボク頑張ってお兄ちゃん達に勝つね!!】


 フォルテが乗る灰色の虹霓竜であるラソが少年のような可愛い声で宣戦布告をするが、あまりにも可愛くてピリピリしてた空気が一瞬和む。


「くっ…!フォルテには勿体無いくらいの天使!…ルーキスの弟、本当に危険ね」

【それは同意する】

「はいはい、おしゃべりはそこまで。みんな準備はいいかしら?」


 向かい合う2チームの間にソフィアが入ると、お互いのチームを見て準備が整っているのを確認する。


「では、始めますよ。いいですか?ルールは必ず守るように。人にボールは当てない。竜の能力による攻撃は禁止」


 両チームが頷くのを見て、ソフィアは満足すると笛を口に加えて左手を高く掲げた。

 それを合図に全員が竜紐を強く握り締め、竜は高く飛び上がる為に身構える。

 そして、笛が力強く吹かれるのと同時に腕が振り下ろされるのと同時に8匹竜が空へと舞い上がった。

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