仲裁
【貴様、ソルに手を出したらどうなるか思いらせてやろうか…!!】
怒りに身を震わせるベルナデッタの口からはすでに、炎がチロチロと溢れ出している。
「ベルナデッタ!!人に向かって攻撃するのはダメよ!」
このままでは、フォルテ達が黒焦げになってソル達が捕まってしまう。
焦るラーシャにルーキスがため息をつく。
【落ち着けラーシャ。フォルテ達にはラソがいる】
ラソの能力はルーキスから前に一度聞いたことはあるが、実際には見た事ない。
いくら能力を無効化に出来るとはいえ、あんな天使みたいに可愛いラソがベルナデッタの炎を打ち消せるとは思えない。
「でも…!」
ラーシャがどうしようかと考えあぐねいていると、フォルテの肩からラソが飛び出し、ベルナデッタの前に来る。
【ベルナデッタ!ソル!フォルテが乱暴してごめんね!!!ボクが後でちゃんとフォルテに言い聞かせるから、許してあげてごめんなさい!】
泣きそうな顔で何度も頭を下げるラソに毒気を抜かれたベルナデッタはため息をつくと、口の中の炎を収めた。
【全く、ラソには敵わぬな。しっかり、その阿呆を躾けてやれ】
【うん!ありがとう!!ベルナデッタ!!やっぱりベルナデッタは優しいね!!】
ラソが嬉しそうに尻尾をパタパタと振るのを見て、思わず頬が緩みそうになる顔を無理矢理引き締めてベルナデッタは咳払いした。
【今回だけ故、忘れるな】
【はーい!!よかったね!フォルテ】
ラソが肩に留まって言うが、フォルテは鼻を鳴らすだけで何も言わない。
「ラソは相棒なんだからもう少し愛想良くすればいいのに。ねぇ、ルーキス」
ラーシャがそう言って声を掛けるが、ルーキスは黙り込んだまま、ジッとラソを見つめている。
「ルーキス?」
ラーシャは怪訝そうな顔をして、もう一度ルーキスの名前を呼ぶ。
すると、ようやくルーキスはラソから視線を外してラーシャと目線を合わせた。
「大丈夫?どうかした?」
【いや…、何でもない…】
歯切れの悪いルーキスの返答にラーシャはますます訝しむ。




