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竜使いのラーシャ  作者: 紅月
異変と激動と動き出す運命
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幸福

 円卓の間では、使用人達がテキパキとお茶とお菓子の用意をしているところだった。

 リーツェはライゼの手を離すと、自分の席に座り他の者にも座るように促す。


「失礼します」


 そう言ってそれぞれが椅子に座ると、使用人達が目の前にお茶とお茶菓子にチョコレートケーキを用意してくれる。


「ありがとう。お前達は少し下がっていろ」


 リーツェがそう言えば、使用人達は恭しく頭を下げて円卓の間から出て行く。

 残されたのは、リーツェ、ライゼ、シャノン、ベル、レトの五名とそれぞれの相棒の竜だけである。

 もちろん、そこには金竜アウルムと銀竜アルゲンの姿はない。


「チョコレートケーキなんて久しぶりだなぁ」


 そう言って嬉しそうに頬張るライゼを見て、シャノンも嬉しそうに微笑んだ。

 毒の心配もなく美味しいものを食べれるのは、竜の国だけだ。

 心の底から安心して食事を楽しめるのはとても幸せな事だと、帰国する度に思う。

 シャノンはケーキを一口食べて思わず頬が緩む。

 甘さと苦さが絶妙に調和されたチョコレートの風味と洋酒の香りが鼻に抜け、幸福感で満たされていく。

 ため息が出る程の美味しさに、ゼンとラーシャにも食べさせてあげたいと思う。


「帰りにリーツェに言って、お土産でケーキお願いしてみようか」


 不意に小声でライゼが囁く。

 思っていた事が顔に出ていたのかと、驚いてライゼを見ると彼は悪戯っぽく笑みを浮かべた。


「僕だってゼン達に喜んで欲しいからね」


 驚いていたシャノンは柔らかい笑みを浮かべて頷いた。


「そうね」


 普段からふざけているところがあるが、人の感情に機敏なところは彼のいいところだと、シャノンは改めてそう思いながらお茶を飲む。


「さて、では早速だが報告を頼む」


 お茶とお菓子をある程度楽しみ、頃合いを見てリーツェがライゼ達に報告を促した。

 ケーキを口一杯に頬張っていたライゼは慌ててお茶で流し込んでから頷いた。


「そうだね。まずは当初の目的だった各国の平和協定の話だけど…。んー、まぁ問題は無かったかな…?」


歯切れは悪いライゼにリーツェが首を傾げる。


「何かあったか?」

「そういう訳じゃないけど、とりあえずリーツェに言われた通り、雷の国、氷の国、治癒の国、風の国に行って各国の王にアルゲンが見た夢の話をしたよ。まぁどの国の王様も半信半疑だったけどね」


 その時の事を思い出しのか、ライゼはうんざりした顔で言う。

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