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竜使いのラーシャ  作者: 紅月
異変と激動と動き出す運命
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愛しき人

  突然の事に驚いて思わずアイシャは飛ぶのを止めて、周りを見回す。


「!?…これって!」


 セイラが目を見開いて驚く。

こんな事が出来るのは、白緑竜しかいない。

 そして、フリーラの演習に参加している白緑竜はたった一匹しかいない。

 ジャックの相棒…。


【フロスト!】


 上を見上げれば、白緑竜のフロストが飛んでいた。

 驚くアイシャを見てフロストは得意げに笑う。


【助けに来たよ!愛しのアイシャ!!僕の天使!】


 フロストはアイシャにベタ惚れで、会う度にこの調子で正直うんざりしている。

 言ってる事がいちいち気持ち悪いし、本当に近寄らないで欲しい。

 が、助けて貰ったのだ。ここは素直にお礼を言った方がいいだろう。


【いや、マジでキモ】

「アイシャ、本音がダダ漏れって言うか、キャラ変わってる」


 辛辣過ぎるアイシャにセイラが苦笑しながらツッコむ。

 助けて貰ったのは、事実なのだからここは大人になってお礼を言わなければならない。


「ありが「セイラ!!!無事か!?あぁ、よかった僕のマイスイートハニー!!」

「は?キモ」


 前言撤回。

 うっかり忘れていたが、今日は相棒をシャッフルしているからフロストの後ろに乗っているのはジャックじゃなかった。

 セイラのお礼を遮って気色悪い事をのたまっているのは、ヘイル。

 ゼン、セイラ、エルドラの同期で将来、セイラと結婚すると宣言している男だ。


「あぁ!せっかく助けたのになんて冷たいんだ!!でも、そんな君が大好きだっ!結婚しよう!!」

「無理」


 セイラは即答すると、天を仰ぎ見て盛大なため息をついた。

 何も助けに来るのがこいつじゃなくてもいいだろうに。

 何でよりによってこいつなのか。


【そりゃあ、セイラの事が好きだからじゃない?】

「あら?声に出てた?」

【ダダ漏れ。…これならリリーに捕まった方がマシね】

「同感だわ」


 アイシャとセイラがため息をつく。


【天使!そんな不安そうな顔をしなくても大丈夫さ!僕が命に変えても君を守る!!君に仇なす者は一人残らず僕が氷漬けにしてみせるから安心して!!】

【ないわー】

「セイラ!こっちにおいで!ボクが君を全力で守る!!さぁ、信じて…!」

「自分の身は自分で守りまーす」


 全く相手にされないがフロストとヘイルはほうっと、うっとりため息をつく。


【見た?あの冷たい目】

「ああ、見た。…本当に」

「【最高】」


 両者が恍惚とした表情を浮かべてそう言った瞬間、食人花が勢いよく生え、両者を捕食した。


【あ】

「…」


 アイシャとセイラは何事も無かったように森の中の移動を再開した。

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