花竜の真の能力
ゼンの説明を簡単にすると、範囲は森の中。
騎士達が森の中に逃げ、それをフリーラとリリーが捕まえる。
騎士達はただ逃げるだけではなく、フリーラとリリーに攻撃をすることが出来る。
制限時間の日没までに一人でも逃げ切れるか、又はフリーラとリリーに一発でも銃弾を当たることが出来れば騎士達の勝利である。
竜と人間は別々に行動しても良しとする。
何か不審者や要救助者が異変がいた場合は、すぐに中断して、本来の任務に戻る事。
それが大まかなルールのようだった。
「で、小銃の魔力出力のダイヤルは小にしとけよ?ちょっと痛いくらいで。訓練中に死傷者が出たら笑えないだろ?」
ゼンの言葉にラーシャ達はすぐに小銃のダイヤルを小に設定した。
ここまで説明を聞いたロベリエは首を傾げる。
「ただのゲームのようですけど、どうしてみなさんこんなに怯えるんですか?」
ロベリエの質問はもっともで正直、ラーシャも説明を聞いただけでは恐怖を全く感じない。
それはベインもだったようで、うんうんと頷いている。
「あー…そうな。うん。危機感は全くないよな」
ゼンはそう言ってうんざりした顔をする。
「考えて欲しいんだが、常に敵に囲まれてるのってすごい怖いし、神経をずっと張ってないと行けないから精神的にも体力的にも辛いだろ?」
「確かにそうだけど、でも、相手はフリーラ副団長とリリーの二人だけだよ?囲まれってるって言うのはちょっと大袈裟じゃない?フリーラ副団長達が囲まれてるって言うならわかるけど…」
ラーシャがそう言うと、ルーキスは呆れたようにため息をついた。
【馬鹿だな、ラーシャ】
突然、馬鹿にされてラーシャは眉間に皺をギュッと思いっきり寄せた。
「え?私何か間違った事言った?」
ムッとするラーシャにルーキスはやれやれと首を横に振る。
【リリーは花竜だぞ?ベイン、花竜の能力は?】
ルーキスに突然、質問を投げかけられたベインは、思わずビクッと肩を震わせた。
「は?えっと…さっき話してた通り、草花の成長を助けるとかだろ?」
【半分正解だな。成長を助けるのは、花竜の能力の一部に過ぎない】
「つまり?」
ラーシャは早く答えを言えと、ばかりにルーキスに詰め寄った。
【個体にも寄るだろうが、リリーが本気を出せば、森の全ての植物を操る事など容易く出来るだろうな。つまり、範囲である森の中はリリーの勢力圏だ。どこに隠れても居場所はバレるし、全ての植物が敵でいつ襲ってきてもおかしくないと思って挑んだ方がいいって事だ】
ラーシャ達は顔を見合わせて、黙り込んだ。




