ライバル
「まさか…ラーシャ…!」
ついに、セルジュの想いが実ったのかとゴクリと生唾を飲む。
一年間離れ離れになるという状況でやっと、ラーシャにも恋の自覚というものが現れたのか。
セルジュが知ったら、きっと踊り出すに違いない。
ただ、個人的にはソルも応援したいところではあるが…。
難しい顔をして、一人唸っているとピシッとラーシャに指を差された。
「もちろん、ベインも私のライバルよ」
「はぁ!?」
思わず素っ頓狂な声を上げてベインがギョッと目を見開く。
俺が、いつ、どこで、そんなフラグを立てた!?
おいおい、勘弁してくれよ…!!俺にはミラという愛しい女性がいるんだ!!
そもそも、そんな趣味はない!!!
ベインが口をパクパクさせて、頭の中で怒鳴り散らしている事など知る由もないラーシャは得意げにふふん、と笑った。
「私にとって同期はライバル!ロベリエにも、ベインにも、ルシェ。もちろんセルジュよりも強くなるんだから。そしたら、実力を女王陛下が認めて竜使いになれるはず」
ラーシャの言葉にベインはスンッとすると空を仰ぐ。
「まぁ、ラーシャだしな…」
「え?何?私おかしなこと言った?」
困惑しながらラーシャがルーキスに聞くが、ルーキスは何も答えてはくれなかった。
セルジュとロベリエも話終わったようで、みんなのところに戻って来た。
「お待たせっ!
ロベリエの怒りが収まった様子にラーシャはホッと胸を撫で下ろす。
「何話してたんだ?」
「内緒内緒!セルジュも言っちゃダメよ?」
ベインの質問を軽くあしらうと、ロベリエはセルジュに念を押す。
「わかってるって」
セルジュは苦笑しながら頷いた。
「別れは済んだか?そろそろ俺たちも戻らなければならない」
イヴァンはそう切り出すと、身体を大きくしたフロウに颯爽と跨る。
「一年会えなくなるんだから、もう少しゆっくり話させてやればいいじゃん」
ルシェの言葉にイヴァンは首を横に振った。
「そうしてやりたいのは、山々だがそろそろノエルが爆発する頃だ。最近はノエルに業務を押し付けすぎたからな」
ノエルの名前が出た瞬間、ルシェは顔を真っ青にさせてスティーリアに元の姿に戻ってもらいすぐに乗り込む。
「セルジュ!急げ、ノエルを怒らせると怖いのはお前だって知ってるだろ?早く帰らないと!!」
ルシェに急かされ、ニクス大きくなってもらいその背の上に乗る。
「慌ただしくて悪いな」
「仕方ないよ。スノウコルドの騎士は竜の国で一番忙しいで有名だからね。…セルジュとニクスの事、頼んだよ」
デイルがいつになく真剣な顔で言う。
「任せろ」
短い言葉だが、イヴァンの力強い言葉にデイルは信頼の笑みを浮かべて一歩下がる。
「セルジュ、気をつけて」
「ああ」
「手紙待ってるから」
ラーシャはそれだけ言うと、デイルに倣って下がる。
ラーシャ達が下がったのを確認してから、フロウが飛び上がりそれに続いてスティーリア、ニクスの順で飛び立った。
「行って来ます!」
セルジュがそう言えば、ラーシャ達は手を振りそれに応える。
セルジュ達が見えなくなるまでラーシャ達は手を振り続け、スノウコルドで厳しい訓練に挑むセルジュの無事を祈った。




