ルーキスを探して
「それにしても、ルーキスが勝手にいなくなるなんて珍しいな?」
ベインの言葉にセルジュが頷いた。
「そうだな。いつもなら、絶対ルーキスはラーシャから離れないのに」
二人の会話を聞いていた、ニクスが少し困ったような顔をする。
【王城だから、危険は無いと判断したんだろうね】
「それだって、ルーキスがラーシャに何も言わないなんておかしいでしょ?何かあったの?」
ロベリエの質問にニクスは少し考えた後、観念したように口を開く。
【まぁ、ルーキスはこの場所が好きじゃないんだ】
【ルーキスはここに来たことあるんですかい?】
ナイラが驚いたように言うと、ニクス頷いた。
【もちろん。ボク達はここで生まれたからね】
ニクスの言葉にその場にいる全員が驚いて目を見開いた。
【まぁ、本当に嫌いなのはあの二匹なんだけどね】
「あの二匹ってまさか…」
気づいたセルジュにニクスは頷いた。
【ボク達の生みの親である金竜と銀竜だよ。…ルーキスはあの二匹に会いたくなくて逃走したんだよ】
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ラーシャはニクスが言っていた方向へ向かいながら、ルーキスを探す。
こんな状況じゃなければ、美しい庭園を楽しむところなのだが…。
「ルーキス!どこ!?」
大声で呼んでみたが、反応がない。
奥の方にいると言っていたが、どれだけ奥へ行ったのだろう。
流石にあんまり奥の方に行ったら怒られそうな気がする。
早く見つけないと。
「ルーキスさーん、どこに行ったんですかぁー!おーい!!…はぁ。もしかしたら、ルーキスってば、先に戻ったのかな?」
もし、そうならそろそろ戻らないと。
その時、月朧の木々の向こう側に人影が見えた。
どうするか悩んだが、とりあえずその人にルーキスを見たか確認をして見ていなかったら、セルジュ達の元へ戻ることにしよう。
ラーシャはそう決めると、小走りに木々の間を抜けてその人物の元へ向かった。
「あの…!」
木々を抜けるのと同時に声を掛けてラーシャは目を見開く。
そこには青みがかった美しい黒髪を持つ少女が鼻唄を歌いながら、庭園に設置されたテーブルにお茶の用意をしていた。




