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竜使いのラーシャ  作者: 紅月
異変と激動と動き出す運命
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葬風士

「姉ちゃんが、スノウコルドで俺にってお土産で買ってくれたんだ。…形見だから大切にしろってハリアが言ってた」

「そうね。その腕輪、ミラが選ぶときに一緒にいたんだけど、タウが土いじりが好きだからって言ってたよ。これさえあればシンシアを貸さなくて済むって」


 その言葉にタウは顔を真っ赤にして眉間に皺を寄せた。


「別に借りてたわけじゃない!!暇そうだから借りてたんだっ!」

【タウ】

「うっ…」


 ハリアに怒らられてしょんぼりして、俯く。


「姉ちゃんに構って欲しかったんだ。…いつも母ちゃんの代わりに家事とかしてて忙しそうで、なかなか遊んでもらえなかったから。…シンシアを借りて花に水をやる時は作業の手を止めて一緒に水やりをしてくれたんだ」


 一人で自分達を育ててる母親を早く楽にさせてあげたいって言ってたミラ。

 きっと出来ることは何でも手伝って母親を助けていたのだろう。

 祖母であるシューリカに甘えっぱなしの自分とは大違いだ。

 家事や弟の面倒をみながら、騎士の訓練をこなしていたミラは本当に凄いと感心しながら、ラーシャは口を開いた。


「そっか。ミラの事大好きだったんだね」


 ラーシャの言葉にコクンとタウが頷いた。


「ミラもタウの事大好きだったと思うよ。タウの話をする時のミラは凄く優しい顔してたから。その腕輪、ミラがタウのために真剣に選んだ物だから一生大切にしてあげてね」

「当たり前だ!ずっと着けてる!!」

「うん。約束だよ」


 ラーシャがそう言ってタウに小指を差し出すと、タウも笑って差し出された小指に自分の小指を絡めた。


「約束!」

「タウ!ハリア!こっちに来てちょうだい!!」


 二人が約束を交わしたその時、手招きしながらラリアがタウを呼んだ。


「今行く!じゃあ俺行くな!話来てくれてありがとう!!」


 タウは絡めていた小指を離すと、ハリアと小走りでラリアの元へと向かっていた。


【素直でいい奴だな】

「本当にねぇ」


 ラーシャとルーキスがタウの背中を見送っていると、ミラの家の扉が突然開き中から二人の女性が出てきた。

 最初に出てきた女性は顔を出しているが、その後に続く女性は顔が見えないように薄いベールを垂らしている。

 そして、一番ラーシャの目を引いたのは、歩くだけで服が靡く薄い衣を幾重にも重ねた竜の国ではあまり見ない衣装。


「素敵…」


 ラーシャが思わず呟くと、ベールを纏った女性が優雅に頭を下げた。

 それを見てラーシャも慌てて頭を下げる。


【あれは、風の国の葬風士の正装だな】


 ルーキスの言葉にラーシャは驚く。


「え?ルーキス、見たことあるの?」

【昔な】


 ルーキスは苦虫を噛み潰したような表情でそう言うと、それ以上は言う気がないようで黙り込んだ。

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