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竜使いのラーシャ  作者: 紅月
異変と激動と動き出す運命
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プレッシャー

 それから、ラーシャは騎士の仕事が終わると時間を見つけてはソルに差し入れを持って工房に訪れるようになった。

 ある時は、セルジュと共に。ある時は、ニアと。

 ベインも一緒に行くと言っていたが、ソルに拒まれ差し入れをラーシャに託していた。

 そうこうしている間に時間が流れ、ついに作業五日目になった。

 昨日が深夜勤だったため今日は休み。

 ラーシャは昼食後、工房を訪れると井戸のところで目の下に隈を作ったソルに出会でくわした。


「ソル!?その隈どうしたの!?」

「おう…ラーシャ…」


 ソルは桶に溜めた水を顔を洗いながら、返事をするとへらりと笑った。


「ちょっと、な」

【“ちょっと、な”では無い、阿呆が。余が早よ寝るように言っておるのに“後少し、後少し”と言っておって結局は夜明けまで作業しおったわ】


 ベルナデッタに怒られながら、ソルは苦笑した


「でも、出来たぜ」


 その言葉にラーシャは目を見開く。


「えっ!?…出来たの?」

「ああ。いい出来だと思うぜ。今日の夕方、ベインが取りに来る予定になってるんだ」

「そうなんだ!私も見たい!!見せて!見せて!」


 デザインとかは、見せてもらっていたが実物はまだ見せてもらった事がない。

 あのデザインがどうなったのか、すごく気になる。


「ラーシャでもダメだ。先に見せるのはベインだって決めてるからな」

「えー…まぁ、でも、そりゃそうよね…」


 ラーシャが、ガックリ肩を落とすとその肩を誰かが叩き驚いて振り返るとそこにはセルジュがいた。


「俺だってまだ見せてもらってないんだ。今回のソルの決意は想像以上に硬い」

「そっか…。なんか凄そう。期待が膨らんじゃうね」


 ラーシャがそう言うと、ソルは顔を引き攣らせて一気に顔色が悪くなる。


「プレッシャーが凄い…」

【仕方ないであろう。余はもう既に見ているがなかなかの出来だと思うぞ?】


 ベルナデッタに褒められ、ソルの顔色が回復した。


【ベルナデッタが褒めるの珍しいね。そんなに出来がいいなら、きっとベインも喜ぶね】

【夕方が楽しみだな】


 ニクスとルーキスもソルの装飾品に興味があるようで目をキラキラさせているが、その横で再びソルの顔色が悪くなる。


「ニクス、ワクワクしてるとこ悪いが今日は前夜勤だからベインが来る前にここを出る」

【え!?】

「二人はベインと入れ替えだからね…」

【そんなぁ…】


 がっかりするニクスにセルジュは苦笑した。

 それからしばらく三人で話した後、ソルは工房へと戻って行った。

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