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竜使いのラーシャ  作者: 紅月
再会と覚悟とスノウコルド
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 その日の夜、デイルは明日の朝出発するのでイヴァンに挨拶をする為に執務室を訪れていた。


「そうか、明日の朝出立するか」


 イヴァンの言葉にデイルはニコッと笑って頷いた。


「うん。ゼンがすごく喜んでたよ。やっと解放して貰えるって。正体を明かした三日間はずっと第十騎士団の騎士達と訓練や見回りをしてたみたいだからね」


 それを聞いたイヴァンは小さく笑う。


「ゼンは昔から団員達に可愛がられてたからな」

「からかい甲斐があるよねー」


 デイルはそう言って肩を竦めさせた後、目元をフッと緩めた。


「いやぁ、とりあえず無事に試験が終わってよかったね。お疲れ様、イヴァン」


デイルの労いの言葉に、イヴァンは鼻を鳴らす。


「全然無事じゃないだろう」


 デイルはため息をつくと、首を横に振った。


「まぁ、そうだけど。死竜の出現は不運だったとしか言いようがないよ」

「…」


 デイルの言葉にイヴァンは何も言わない。

 イヴァンの表情を見るだけで、悔しさが伝わってくる。

 死竜が現れないようにイヴァンは聖光の能力スキルを世界樹から賜ったのだ。

 その死竜が現れ、死者が二人に竜が二匹も死んでしまった。

 悔しくないはずがない。


「イヴァン、自分を責めるのは良くないよ」


 気遣うデイルに、イヴァンは頷いた。


「お前に言われなくてもわかっている。これ以上死竜が現れないように見回りは強化するつもりだ。今後、このような事は絶対に起こさない」

【よく言った、イヴァン。さすがスノウコルドの騎士団長だ】


 フロウに褒められ、イヴァンの表情がほんの少しだけ明るくなる。

 その時、部屋をノックする音が響きイヴァンとデイルは顔を見合わせた。

 夜と言っても人の部屋を訪れるには遅い時間だ。

 緊急事態にしては、ノック音は落ち着いている。

 イヴァンはデイルから視線を外して扉に視線を向ける。


「入れ」


 その言葉を受けて中に入って来たのは、セルジュとニクスだった。


「どうしたんだい?セルジュ。こんな遅い時間に」

「すみません、夜の散歩してたらたまたま、執務室にイヴァン騎士団長とデイル騎士団長がいるのが見えたので」


 セルジュはそう言って頭を下げた後、真剣な表情をして二人の騎士団長を見つける。


「自分勝手で申し訳ないのですが、お二方にお願いがあり、参りました」

「お願い…?」


 首を傾げてデイルはイヴァンと顔を見合わせた。


「なんだ?言ってみろ」


 イヴァンに促され、セルジュはお願いの内容を口にする。

 その予想もしなかった内容に、デイル達は驚き目を見開いた。


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