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竜使いのラーシャ  作者: 紅月
再会と覚悟とスノウコルド
336/831

盛大に

 人混みから抜け出すと、四人はそれぞれホッとしたような顔をしてお互いの合格を喜び合う。


「本当によかった…!みんなで合格出来て」


 ラーシャの言葉にロベリエが同意した。


「これで胸を張ってジルジに帰れるわ」

「そうだな。…向こうに帰ったら、みんなで打ち上げをしよう」


 気を落ちしている自分たちを元気付ける為にセルジュが提案してくれたのに気付いたベインは頷く。


「ああ、頑張ったからな。…美味いもんでも食べようぜ」


 その言葉にラーシャが目を輝かせて手を上げ、はいはい!と声を上げる。


「打ち上げの会場は卒業式の後に行った“竜の窯”がいい!!あそこの串焼き美味しいんだよね」


 うっとりしながら思い出すラーシャの横で、ルーキスとニクスも口の中に涎を溜めながら頷く。


【フルルフの串焼きまた食べたいな】

【美味しかったよね。すごくジューシーで一口噛んだだけで、じゅわっと肉汁が溢れ出して…】


 ルーキス達の会話を聞いて、ナイラとセツが生唾を音を鳴らして飲み込む。

それを見て、ロベリエは苦笑する。


「じゃあ、打ち上げは“竜の窯”しましょ」

【やった!楽しみだぜ!!!なぁ、ルーキス!!他にはどんな肉があるんだ!?】


 セツに尋ねられたルーキスは饒舌にどんな肉があって何が美味しいのかを答える。

 楽しそうなルーキスをラーシャは嬉しそうに見つめた。

 最近ずっとルーキスに心配ばっかり掛けていたせいで、表情がずっと忙しかった。

 こんなに楽しそうなルーキスは久しぶりに見た気がする。

 帰ったらたくさん美味しものを食べさせてあげて、泣くほど喜ぶマッサージをたくさんして労ってあげよう。

 その瞬間、悪寒がしてルーキスは体を震わせる。


「そういえば、ゼン先輩はどうしたんだ?ラーシャの合格発表絶対一緒に見ると思ってたのに」

「あー…」


 ベインの言葉にラーシャは苦笑した。


「ゼン兄は第十騎士団の人たちに捕まって、仕事してる」

「管轄外なのに?」


 セルジュが驚いて目を丸くする。


「セルジュ達と別れた後、治療してもらおうと思って医務室に行く途中でゼン兄に会ったから、話してたら騎士の人が来て…」


 ラーシャはその時の事を思い出す。


『ゼン!!久しぶりだなっ!!』


 体格のいい先輩騎士を見て、何かを思い出したのか顔を真っ青にするとゼンが顔引き攣らせて笑みを浮かべる。


『お、お疲れ様っす…!』

『今暇か?』

『いや、俺今、妹と…』

『暇だよな!?よし!一緒に見回り行こうぜ!!!』


 ゼンの話を全く聞かずに先輩騎士は肩に腕を回す。


『さ、行こうぜ!』

『ああああああああああああっ!!待って!ちよっ!!ああああああああっ!!』


 満面な笑みを浮かべる先輩騎士に首根っこを捕まれ連れて行かれるゼンの絶叫が今も頭から離れない。

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