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竜使いのラーシャ  作者: 紅月
再会と覚悟とスノウコルド
312/828

自業自得

 喚き散らし、なんとかニクスが生み出した闇の触手から逃れようとベインが必死に暴れるが、びくともしない。


「ニクス、絶対にベインを解放するなよ」


 騒然とする会議室で、セルジュはそう言って席から離れてベインの元へと向かう。


「ベイン!!もうよせ!」

「うるさいっ!!早くこれを解除しろよ!!お前だって大切な人が殺されたら、許せないだろ!!?殺してやりたいだろが!?」


セルジュはチラッとラーシャの顔を見てからベインに視線を戻す。


「そんなのぶっ殺すに決まってんだろ!!!」


 その目には怒りの炎が揺らいでいた。


「生まれて来た事を後悔させるくらいに嬲り殺してたまらない…っ!」


 押し殺した声でそう言い放つセルジュにベインは食い下がる。


「だったら!俺の気持ちがわか…「だけど!!」


 セルジュはベインの言葉を遮って叫ぶ。


「だけど、お前にキルディを殺させるわけには行かない!!!こんなクソ野郎を殺して、お前の人生を台無しになんかさせない!」

「俺の人生なんかどうでも良い!!こいつはミラさんの命を奪ったんだぞ!?」


 セルジュはかぶりを振った。


「どうでも良いわけない!!!なんでわからないんだ!?ミラがそんなこと望むわけないだろ!!」

「…っ、」


 ベインはハッとして、すぐに顔をクシャッと歪めると力なく項垂れ小銃を取り落とした。


【もう大丈夫そうだね】


 ニクスはホッとしたような顔をしてベインの拘束を解除する。

 ベインは膝から崩れ落ちると床に手を突き嗚咽を漏らす。


「…セルジュ、止めてくれてありがとう」


 背後から掛けられたラーシャの言葉にセルジュは振り返ると、少し困ったような、恥ずかしそうな顔をした。


「…少し偉そうなこと言ったかな」

「ううん。かっこよかったよ」


 ラーシャはそう言った後、セルジュ達前を通り過ぎ未だにヴァルリアの障壁の中で震えているキルディの前に立った。

「キルディ。どっちが嘘をついているのか、これではっきりしたわね」


 感情のこもらない冷え切った声でラーシャは言った。


「貴方は生涯決して騎士になる事は出来ない」

「なん、だと…!」


 声を震わせるキルディの姿は痛々しかった。

 それでも同情は一切沸いてこない。


「自業自得ね、キルディ。自分の浅はかな欲望のせいで全てを失ったのよ」

 ラーシャがそう吐き捨てると、キルディは床に己の拳を叩きつけて絶叫する。


「ああああああああっ!!!嘘だ!!僕は、僕は…!騎士団長の息子だ!!騎士になれない訳がないっ!!」


 キルディの叫び声にイヴァンが顔を顰めさせる。


「黙れ!!事実が明らかになった今、言い逃れは出来ん!!」

「うっ…ああ、ちが、違うんですっ…騎士、団長…!ら、ラーシャが…!ラーシャが!!」


 未だに言い訳をしようとするキルディに再びイヴァンが怒鳴ろうとした刹那、会議室の扉が勢い良く開いた。

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