暴風
次の瞬間、死竜を中心に暴風が吹き出しラーシャ達に襲い掛かる。
ラーシャの身体はその強風に耐えられずに浮き上がると、そのまま吹っ飛ばされて障壁に身体を叩きつけられた。
「かはっ…!」
ミシッと嫌な音を立てて骨が軋み、口から血を吐き出すとラーシャはそのまま雪の上に落下した。
「けほっ、けほっ!…肋何本か持って行かれた…」
起きあがろうとするが、胸が痛くて起き上がれない上に落ちた時に左の手首が変な風に曲がり折れた。
「さい、あく…」
ラーシャは顔を上げて死竜の方を見ると、未だに目を痛がっていて暴風が吹き荒れている。
ルーキス達も雪の上に寝そべり風をやり過ごしている様な状況だ。
『ラーシャ!無事か!?』
通信石からの声にラーシャは安堵して頷いた。
「なんとか、生きてるって感じ。肋骨とかは折れたみたいだけど。ベインは?」
『俺は咄嗟にナイラが出してくれた土壁でなんとか風を凌げてる!』
「そう、よかった…」
ベインに怪我が無くて本当に良かった。
ルーキスとナイラもきっと無事だ。
『それより、ラーシャ可笑しいと思わないか?』
「え?」
『キルディは間違えなく“十分で障壁は消滅する”って言ったんだよな?』
「言ったよ」
『十分なんかとっくに過ぎてるだろ?あいつ、俺たちが不利になる様にわざと時間を短めに言ったんじゃね?』
ベインの言葉にラーシャは思わず乾いた笑い声を上げた。
確かにキルディならやりかねない。
完全に信用したラーシャが間違っていた。
このまま狭いこの空間で戦い続けるのは難しいだろう。遅かれ早かれ全滅するのが目に見えている。
「はぁ…、この障壁をぶち壊したくても風で吹っ飛ばされた私がぶつかっても割れないんだから、簡単には壊せないしどうしよう」
『もし生きて帰れたらぶっ飛ばしてぇな』
「その時は私も一緒にやるね」
暴風と胸と左手首の痛みで動けない中、そんな会話をしながら何気なく上を見上げると障壁の外に黄竜の姿が見えた。
その黄竜を見てラーシャは目を開く。
「え!?お、オルフェ!?」
『はぁ?オルフェとアルスは先にスノウコルドに戻ったはずだろ?ここにいるはず…』
言葉の途中でベインは口を閉じた。オルフェの姿を見つけてそれ以上何も言えなくなった。
「なんでここに…!」
ラーシャは戻るように説得しようとアルスの通信石に繋げようとしたが、全く繋がらない。
ここからでは何もでき無くてラーシャは不安そうにアルスとオルフェを見上げる。




