墜落
キルディの魔力で出来た銃弾は寸分の狂いもなく、竜玉の方へと吸い込まれるように飛んでいき、再生した腹の肉の中へと消えていった。
キルディは目を見開くと、忌々しそうに舌打ちを打つ。
『もう再生したのか!?くそっ!ルーキス!!もう一回光線を放て!!』
キルディの身勝手な言葉にラーシャは顔を真っ赤にさせる。
「出来ないんだよ!!夜だからいつもより力が出ないルーキスが、一生懸命力を溜めてくれて作ったチャンスなのに、なんて事してくれたのよ!!」
ラーシャが怒鳴った瞬間、ルーキスがハッとして空を見上げた。
【まずい!!ラーシャ!しっかり掴まれ!!】
「え?…っ!?」
ルーキスの忠告と同時に、上から息が出来ない程の突風が吹き下ろし、空を飛んでいる竜達に容赦なく襲い掛かると全員を地面に叩きつけた。
ルーキスが受け身を取らずに、うつ伏せで地面に墜落してくれたお陰でコルネのように潰されずに済んだが、墜落の衝撃で全身に激痛が走る。
「くっ…けほっ、る、ルーキス大丈夫…?」
激痛に咽せながらラーシャが安否を確認すると、ルーキスがゆっくり頷いた。
【大丈夫だ、雪の上だからな。…痛みはまだマシな方だ】
ラーシャはホッとしたように頷いて周りを見回す。
上から吹き下ろす風は止んだが、全員がその場に倒れ込んでいる。
一番近くに倒れているキルディは、竜紐が切れたのかヴァルリアからだいぶ離れたところ倒れていた。
全員無事なようで安心したのも束の間、ルーキスが重いため息をついた。
【全く厄介な事になったな。ファムの竜玉があいつの体に馴染ん出来たらしい。…完全に馴染みきってないから、風の能力を使うとしばらくな間は動けないだろうが、これが馴染んだら…】
「勝ち目無しってわけね」
死竜が再び動き出す前に何とかしないと。
「ラーシャ!!無事ね!」
通信石ではなく、直接声を掛けられ驚いて振り向くとそこにはミラの姿があった。
「ミラも無事でよかった!!」
「シンシアが守ってくれたから怪我一つないわ!!動けるならみんなを助け起こすの手伝ってくれないかしら!?シンシアと手分けしているんだけど、時間がないから人手が欲しいの!!」
「わかった!任せて!!」
ラーシャが快諾して、竜紐を外して雪原に降り立つのを見届けるとミラは一人で倒れているキルディの元へ駆けつける。




