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竜使いのラーシャ  作者: 紅月
再会と覚悟とスノウコルド
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救出

 ナイラがもう一度、攻撃を仕掛けようとした瞬間、身体を震わせるとその場からすぐ離れ、それと同時に雷が落ちる。

 ナイラの優れた危機察知能力には、毎回ベインは感心させられていた。

 ナイラがいなければ、この戦闘でとっくに死んでいただろう。


「ギャァァァァァァァァァァッ!!」


 その時、通信石からでは無く耳に直接飛び込んできた悲鳴にベインはビクッと肩を震わせるのと同時に肉の焼けた匂いが鼻を突いた。

 慌てて周りを見ると、すぐ近くにオルフェではない黄竜がいた。その背には服を焼け焦げにさせてぐったりと倒れ込む男が乗っている。

 頭から血の気が引くのがわかったが、すぐに気持ちを切り替えた。


「ナイラ!!」


 ベインは黄竜の元に向かい、自分とナイラを繋ぐ竜紐を外して黄竜に飛び移り、男の安否を確認する。


「大丈夫か?おい!!」


 返事は無いが、身体が火傷で赤く爛れさせながらも辛うじて息はある。

 その事に安堵するが、安心できる状態では無い。急いで治療を施さなければ男は死ぬだろう。

 ベインはすぐに黄竜の背中を叩いた。


「聞こえるか?お前の相棒は生きてる。お前はこのまま戦闘を離脱してスノウコルドに戻れ。そしたら、助かるかもしれねぇ」

【で、でも…ヴァルリアに邪魔されるかもしれない】


 これまでも、戦闘の時に逃げ出そうとする者にはヴァルリアが障壁を展開してその退路塞いで妨害をしていた。

 黄竜の言葉にベインは安心させるように努めて明るい声を出す。


「大丈夫だ、ヴァルリアに障壁を出す余裕があるとは思えねぇし、それに俺の知り合いに黄竜がいるけどそいつめちゃめちゃ早く飛ぶんだ。…お前も同じ黄竜なんだ。ヴァルリアが障壁を出すよりも早く逃げろ。コイツの命はお前に掛かってる」


 ベインの言葉に覚悟を決めて、黄竜が頷いた。


【わかった】

「頑張れよ、俺が降りるのと同時に行け。…聞こえてるか?相棒が頑張るんだ、お前も簡単に死ぬなよ!最後まで抗え」


 ベインの言葉が届いたのか、酷い火傷を負いながらも男は弱々しく頷いた。

 返事が出来るならきっと助かる、大丈夫だ。


「よし、気を付けろよ!」


 ベインが飛び降りるのと同時に黄竜は稲妻のような速さでその場を飛び去っていった。

 飛び降りたベインを背中に乗せると、すぐにナイラはその場を離れ、触手から逃げる。


「俺が助けてる間、触手の相手ありがとうな!」

【これくらい朝飯前でさぁ!彼らは大丈夫そうですかい?】

「ああ!きっと大丈夫だろ!」


 ベインの言葉にナイラも安心してため息をついた、その横を物凄い勢い赤竜が飛び去って行った。

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