逢引き
「い、イヴァン騎士団長…!」
ラーシャが驚き過ぎて声を震わせて叫ぶ。
イヴァンはそれに特に反応する事なく、二人に近づいて来る。
その後ろには、ノエルもいた。
「何だ、お前達逢引きか?」
イヴァンの言葉にキョトンとするラーシャと顔を赤くするセルジュとノエル。
「あいびき…?あいびき…逢引き!!!?」
言葉の意味を理解したラーシャが顔を真っ赤にして叫び出す。
「逢引きしてませんっ!!!」
そんなラーシャを見て、セルジュ、ニクス、ルーキスは逢引きの意味は知ってるんだと妙に感心してしまう。
そんなセルジュ達に気付かずにラーシャは、首をブンブン横に振った。
「セルジュとはそんなんじゃないです!!散歩しててたまたま会っただけですっ!」
ミラに付き合ってるのか、と聞かれた時は笑い飛ばしたが何故だかイヴァンに言わられと生々しく感じられてなんだが物凄く気恥ずかしい。
ラーシャが必死に自分との関係はただの幼馴染である事をイヴァンに説明しているのを見て、セルジュはなんとなく切なくなりため息を吐いた。
そんなセルジュの両肩にニクスとルーキスが止まると頭をポンポンと撫でる。
【気にするな。ラーシャだぞ?】
【そうそう。ラーシャだから】
「…ありがとう」
ニクス達から慰められる事でさらに切なくなるが、とりあえず苦笑してお礼を言う。
その時、イヴァンが両手をあげて降参のポーズをとった。
「わかった、わかったから!ただの幼馴染なのは理解したから黙れ」
「わかっていただけたならいいです!」
ラーシャはやり遂げた顔をして言うと、セルジュの方を見て笑顔になる。
「ちゃんと誤解を解いたよ!」
「あ、あぁ…ありがとう…」
笑顔が引き攣らないよう細心の注意を払ってセルジュはラーシャにお礼を言う。
イヴァンは二人のやり取りを聞いて呆れたような顔をする。
「逢引きでは無ければ二人はここで何をしている?」
「眠れないので夜の散歩です」
ラーシャがそう答えれば、イヴァンは、ほぅっと眉を顰めた。
「眠れない、か。…ノエル」
「は、はい!」
急に話を振られてノエルが背筋をピンっと伸ばして返事をする。
「訓練が生ぬるいんじゃないか?眠れないのはまだまだ元気な証拠だ。明日からもっと厳しくしてやれ。疲れて失神するくらいにな」
「ち、違うんです!!」
イヴァンの言葉にラーシャは顔を真っ青にさせて慌てて、訂正をする。
「この前見た弱った竜が気になって眠れないんです!!」
このままでは、まずいと思ったセルジュもラーシャに同意して何度も頷く。
イヴァンは少し驚いた後、少し考え込む。
「ならばお前達も一緒に行くか?」
「団長!?本気ですか!?」
それを聞いたノエルが咎めるように叫ぶが、イヴァンは全く気にする事なく頷いた。
ラーシャとセルジュは何のことだが分からずに首を傾げた。
「俺は今からその竜の弔いをしに行く。お前達も来るか?」




