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竜使いのラーシャ  作者: 紅月
それぞれの覚悟と夢と試験
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朝のうちに英気を養う


 夜明け前、ラーシャは目を覚ます。昨日と違って全然眠くない。

 何故なら今日は待ちに待った契約の日。寝坊なんてしてられない。


「よし、頑張るぞ」


 そう呟いて、普段なら絶対やらないベッドの整理をしてから暖かくて動きやすい服に着替える。

 それから今日持っていく鞄の中身を忘れ物がないか五回確認をする。


「どうしよう…やる事が尽きた…落ち着かない…」


 気持ちがソワソワして落ち着かない。何度か深呼吸してみてもソワソワしてしまう。


「ラーシャ、起きたの?」

「起きてるよー!」

「起きてるなら顔を洗ってらっしゃい」


 ドア越しでシューリカに言われてラーシャは机の上に置いてあった笛を首から下げ、鞄を持って部屋から出る。


「おはよう、おばあちゃん!」

「おはよう。ラーシャ」


 ラーシャはシューリカに挨拶を済ませて外の井戸へと向かうと、そこにはすでにゼンとアイシャがいた。

 ゼンが濡らしたタオルで元の大きさに戻ったアイシャの顔を丁寧に拭いているところだった。


「おはよう、ゼン兄、アイシャ。珍しいんじゃない?朝からアイシャを磨くなんて」

「おはよう。…今日は国中の騎士団が集められるんだ。身だしなみに気をつけないと所属してる第八騎士団にも、アイシャにも顔に泥を塗ることになるからな。念入りにしないとな…よし、竜帯を着けるから小さくなってくれ」


 アイシャが小さくなると、昨日手入れしていた竜帯を首に装着した。


【ありがとう、ゼン。今日は気合を入れていくわよ!】


 同じ騎士団とは言えど、第十騎士団まである竜の国の騎士団はそれぞれプライドが高く、ライバル意識も高い。

 顔を見合わせる機会があれば、常に競い合っている。


「大変だね」

「お前だって今日は国中の学校が参加してくるんだから身だしなみや、振る舞いには気をつけろよ」

「えー、竜を探すのが必死でそんなのに構ってられないよ」

【あら?ダメよ。それじゃあ竜と契約できないわよ?】

「え!?なんで!?」

【だって、竜もこの短い時間で貴方達の態度や行動を見て一生共に過ごしたいパートナーを見つけるのよ?態度悪かったら契約したくないでしょ?…ラーシャ、鼻くそほじって食べてる竜と契約したい?】


 アイシャの言葉にラーシャは心底嫌そうな顔をした。


「え、そんな竜いるの?」

【知らないけど】

「…」


 ラーシャはとりあえず、変な行動しないように気をつけよう。と静かに心に決めた。

 手始めにまずは寝癖から直そう。ラーシャが井戸で水を汲もうとすると、ゼンがバケツを差し出す。


「井戸に落ちたら困るから汲んどいた」

「ゼン兄優しい!」


 礼を言って早速、ゼンの汲んだ水で顔を洗い寝癖を必死で直す。全ては竜に嫌われないために。

 しばらくして、アイシャが持ってきてくれた鏡で入念に寝癖や涎の跡が無いかを確認して満足そうに頷く。


「よし!完璧!!」

「いつもそれくらい頑張れよ」

「朝は身だしなみよりも寝ていたい派」

「女子力無いな…いて」


 ゼンの足を全力で踏みつけると、ラーシャは逃げるように家の中に入る。そこには、テーブルの上に朝ごはんとラーシャとゼンのお弁当が二つずつ置いてあった。


「二食分のお弁当作っておいたから鞄にしまっちゃいなさい」

「ありがとう!!」


 作ってもらったお弁当を早速、鞄に仕舞い込む。


「ほら、これも持って行けよ」


 後から来たゼンもラーシャに茶色い袋を手渡す。


「何これ?」


 中を見ると、胡桃やナッツなどの木の実が入っていた。


「行動食は持って行った方がいいぜ。移動しながら食べられるし」

「ありがとう…!今日は本当に優しい!」

「いつも優しいだろうが」

「ほらほら、早く食べちゃいなさい」

「「はーい」」


 シューリカに促され二人は席に着くと、目玉焼きの乗ったパンを食べ始める。


「二人ともたくさんお食べなさい。今日は体力を使うんだからね」


 シューリカはフルーツの乗ったお皿も追加でテーブルの上に乗せた。


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