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竜使いのラーシャ  作者: 紅月
再会と覚悟とスノウコルド
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部屋

 外の案内が終わり、施設の中も一通り案内が終わるとこの日は解散となった。

 男子は四階、女子は五階に部屋を用意されていた。


「じゃあ、セルジュ、ベイン。またあとでね」

「あぁ」


 ラーシャは四階に着くと二人に別れを告げて、五階へと向かう。

 不意に視線を感じて振り返ると、ベインがうっとりした顔でこっちの方を見ていた。


「…っ」


 あまりの気持ち悪さにゾワゾワッと背中に震えが走る。


「ほら、行くぞ」

「ちょっと待って…!ミラさん!!」


 セルジュに強制的に連れていかれながらも必死に手を振るベインを見て、ミラが笑顔で手を振り返す。

 すると、ベインはだらしない顔をしてそのままセルジュに連れて行かれた。


「ベインって、面白いよね」

「そ、そう?」


 楽しそうに笑って言うミラにラーシャは顔を引き攣らせて答えた。


 五階に着くと、それぞれの部屋の扉に果物の絵が掛けられ、部屋がチームごとに割り振られていた。


「ラーシャはリンゴを挟んで隣の部屋なのね。落ち着いたら遊びに来て!私も行くから!」


 ロベリエはそう言って同じモモチームの子と一緒に部屋へと入っていった。

 モモチームは女子はロベリエともう一人の子の二人しかいないが、仲が良さそうで良かったとラーシャは安堵する。


「ラーシャ、早く中に入ろう?」

「あ、うん!今行く!!」


 ロベリエを見送っていたラーシャは慌てて、自分を待つミラとアルスの元へ駆け寄る。

 バナナチームの部屋は一番端にあった。


「ワクワクするね」


 ミラはそう言うと扉をゆっくり開ける。


「おお…!広い!!」


 ミラが先に入り、その後をラーシャとアルスが続く。

 正面には窓と棚が置かれ、左の壁際にシングルベッド、右の壁際には二段ベッドが置かれていた。

 クローゼットも完備され、思っていたよりもすごくいい部屋だった。


「私、二段ベッドの一番上がいい!!二段ベッドの上で寝るの憧れてたんだ!!」


 そう言ってラーシャが真っ先に二段ベッドに駆け寄るが、首根っこをルーキスに咥えられ引き止められた。


「な、何するのよ!」

【ラーシャはやめとけ。お前は寝ぼけて井戸に落ちそうになるやつだぞ?絶対寝ぼけで落下するに決まってる。怪我して試験受けられないなんて絶対嫌だろ?】

「うっ…」


 物凄く、真っ当な事を言われてラーシャは唇を噛み締めるが渋々頷いた。


「わかったよ…」

【よしよし】


 ルーキスとラーシャの掛け合いを楽しそうに見た後、ミラはアルスに声を掛けた。


「アルスはどこがいいとかある?」

「えっと…あああ、あの、あの、わ、私は…」


 声を掛けられると思ってなかったのか、慌てふためくアルスを宥めるように、相棒である黄竜のオルフェが肩をポンポンと叩く。

 アルスは何度か深呼吸を繰り返すと、ようやく落ち着きを取り戻した。


「あ、あの、私は、ででで、で、出来れば、かこ、囲われてた方が、おちつ、おち、落ち着くのでし、下が…」


 全然落ち着いていない事に、ラーシャは苦笑すると頷いた。


「じゃあ、アルスは二段ベッドの下ね」

「ってことは私は上ね。シンシア、落ちそうになったら助けてね?」

【大丈夫よ、あなたは寝相がいいんだから。むしろあたしが落ちそうになったら助けてほしいわ】


 ミラの相棒である青竜、シンシアはそう言うと真っ先に二段ベッドの上に飛んで行きベッドに寝転がる。


【ふかふかでいいベッドだわ】

「あ、ずるい!!私も!」


 荷物を床に置いて、ミラも梯子を使って二段ベッドの上に行くと寝転がり、それを見ていたラーシャとルーキスもシングルベッドに早速寝転がり寝心地を確かめる。


「うわ…ふかふかで、眠くなる…疲れが癒やされていく…」

【確かに。長旅後には最高のベッドだ…】


 少しまったりしていると、ずっと扉の前で立ち尽くしているアルスに気がついてラーシャは身体を起こして首を傾げた。


「アルス、どうしたの?少し休めば?疲れたでしょ?」

「あ、あの、らららら、ラーシャにひと、一言お、おお、お礼を言いたくて…!」


 顔を真っ赤にして、アルスはそう叫ぶと頭を勢いよく振り下げた。


「たす、助けてくれ、くれて、あ、あり、ありがとうござ、ございました!!」


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