人の上に立つ資質
結果は、今日の夜勤はブドウチームに決まった。
次の日からの日勤はバナナチーム、前夜勤はリンゴチーム、夜勤はモモチームが担当する事に決まった。
ちなみに夜勤の次の日は休みになる。
このシフトを一日ずつずらして行く事になり、ラーシャの休みは今日から四日後になる。
早速、今日から働く事になるブドウチームはチーム内の自己紹介もそこそこにノエルに連れられて第十騎士団の宿舎へと案内されて行った。
残された他の三チームは、その場で待機となりその間自己紹介をしておくように指示を受けた。
「じゃあ、とりあえず自己紹介でもしましょうか」
ミラがそう言うと、キルディが明らか不機嫌そうに鼻を鳴らした。
「何でお前が仕切るんだ。ここの隊長は僕だ。でしゃばってくんな、八位のくせに」
キルディの言葉にミラは目を丸くすると、急に笑い出した。
今度はその場にいる全員が驚いてミラを凝視した。
「み、ミラ…?」
「あぁ、ごめん。おっかしくて…ふふ」
心配するラーシャに一言謝ってから、ミラは深呼吸をしてキルディを真っ直ぐ見つめた。
「だって、隊長のくせに全然人の上に立つ資質が無いんだもの。成績だけで隊長を決めるのも考えものね」
「なんだと…!!」
顔を真っ赤にして怒るキルディに構うことなく、ミラは喋る続ける。
「だってそうでしょ?人の上に立つならまずは、みんなを平等に扱わないと。自分より下のものを馬鹿にするなんて、隊長失格ね。部下に慕われないわよ?部下に慕われてない隊長なんて滑稽だわ。後ろから刺されても知らないわよ?」
ミラが笑いながらそう言えば、キルディが身体を震わせ、ことの成り行きを見守るラーシャ達は顔を真っ青にさせる。
このままでは、キルディが憤死してしまうのではないだろうか。
それくらい怒っているにも関わらず、ミラは止まらない。
「少なくともテヘラの騎士団長は物腰が柔らかくて一人一人、ちゃんと尊重してくれてとても尊敬出来る人だったわ。…バルギルザの騎士団長ってもしかして威圧的で部下から嫌われてるのかしら?」
「「あ」」
ラーシャとベインが揃って声を上げる。
ヴェスパルの街で絡まれた時、キルディは自分の父親は騎士団長だと言っていた。
父親まで侮辱されて、いよいよキルディが爆発するのでは…?
二人の心配は的中して、キルディが勢いよくミラに掴み掛かろうと手を伸ばした。
「お前…!」
キルディの手がミラに触れる寸前、キルディの手が見えない壁に阻まれて掴み掛かることができなかった。
「ヴァルリア!!」
【暴力はダメよ。今わね】
そう言ったのは、キルディの相棒、紫竜のヴァルリア。
【これで失格にでもなったら、目も当てられないでしょう?】
「…チッ」
キルディは舌打ちをすると、ラーシャ達から離れて背を向けた。
どうやら怒りを必死に鎮めているらしい。
その事にラーシャ達はホッと安堵すると雰囲気最悪の中、自己紹介を始めた。




