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竜使いのラーシャ  作者: 紅月
再会と覚悟とスノウコルド
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城壁

 スノウコルドに着いてまず目に飛び込んできたのは、街を囲む分厚く高い城壁だった。

 ジルジや他の管轄地区には城壁など無く、それだけスノウコルドが厳しい地であるとまざまざと見せつけられた気がした。


【ラーシャ、城壁をよく見てみろ】

「城壁?」


 ルーキスに促されて城壁を見て首を傾げる。


「城壁がどうしたの?」

【わからないか?…まぁ、城壁をぐるっと見て回ったわけじゃないからわからないか】

「どう言う事?」


 状況が飲み込めていないラーシャにルーキスが得意げに説明をする。


【スノウコルドの城壁には魔物の侵入を防ぐ為に門がない。陸路から街の中に入るのは、不可能。唯一入るには空路だけ。…つまり竜に乗ってないと入れない】

「逆に言うと、街の人も竜がいないと外に出れないって事よね?なんでそんなめんどくさい事を?」

【子供を魔物から守る為だ。ジルジだって子供だけで森を入るのが禁止されてただろ?】

「されてたけど、ここまでじゃ…」

【スノウコルドでは、ジルジと違っても子供が一歩外に出れば絶対に生きては帰れない。だから、親の目を盗んで子供が街から出ないように門をなくしたんだ】


 ラーシャはルーキスの説明を聞きながらスノウコルドを見下ろした。


「あの城壁がないとみんな安心して暮らせないって事ね…」

【そうだ。…まぁ、ブレイズルチャとか鳥型の魔物は頻繁に襲って来るけどな】

「それはそれですごく危険…」


 その時、通信が入りラーシャは耳飾りに触れる。


『街の外の城壁の前に人集りを見つけたわ。きっとあそこが集合場所ね。…降りるわよ』


 ロベリエの言う通り城壁の外を見ていると確かに人集りがあり、ラーシャ達もそこに降り立った。

 そこには、それぞれの管轄の色の竜の刺繍を施した受験生達がいてそれぞれ談笑をしているようだった。

 どうやら、第十騎士団の者はいないようで試験に間に合った事にラーシャは安堵する。


「まだ始まってなくてよかったな」


 ラーシャの心の内を読んだかのようにセルジュが言った。


「本当よ。時間が押してるって言われた時はどうしようかと思った」

「あら、押してたのは本当よ?だから全力で飛んできたんじゃない。あのままだったら絶対遅れてたわ」


 ロベリエは不服そうに言うと、セルジュが真面目な顔で頷いた。


「わかってる。だから、感謝してるんだ。ロベリエがリードしてくれてすごく助かる」


 セルジュが真顔でそう言えば、ロベリエはサッと目を逸らした。


「年上だから、当然のことをしたまでよ」

「ロベリエ、顔赤くないか?」

「赤くないわよ、ベインの目が悪いんじゃない?」

「いや、絶対赤…っ、いってぇ!!」


 思いっきり足を踏まれてベインが悲鳴を上げた。

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